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【 八月の詩 】 光を見るために生まれたよ


ピカッと光ったよ
     
僕はまだ生まれたばかりで
眼も開いていなかったんだけど
それでもはっきりわかるくらい
     
ピカッと光ったよ
     
僕の誕生を祝福する光が
世界をくまなく照らし出し
僕には一瞬でわかった
僕のやってきた世界は
素晴らしく美しい世界
     
ピカッと光ったよ
     
お母さんの胸に包まれ
その美しい光に包まれて
僕の細胞が歓喜の声をあげ
僕の表皮はめくれ上がった
     
ピカッと光ったよ
     
そうして僕はお母さんと旅だち
街の上をぐるぐると飛んだ
見渡す限りの街は
メラメラと美しく燃えて
それが僕の唯一の記憶
     
ピカッと光ったよ
     
僕は八月六日生まれ
僕の生まれた街は

ヒロシマっていうんだってさ



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