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わたしとヨック。


 楽しいときも眠たいときも。
 こんにゃろ〜ってイライラしているときも。

 かなしいときも、とくになんでもないときだって。

 わたしのそばにはいつでもキミが傍にいてくれる。

 ナハハ。
 愛されてますねえ〜、わたし。


 キミの名は、ヨック。欲です。
 そう、欲望のこと世の、ありとあらゆる。

 ヨックはわたしのことが大好きなわけですね。

 ダハ〜、照れちゃいます。が。

 欲に好かれて。果たしていいことがあるのか。
 ないアルよ!!わたしはそう思います。

 余計な欲には引っ込んでいてほしいものです。


 ハッ。

 そんなことを言ったら、ヨックがかわいそう。

 ヨックは、さみしがりやなんですから。
 わたしがいないと生きていけないヤツなんです。

 欲は欲のままでは生きられません。
 人の手によって満たして、昇華させてあげなければ人生を全うできないわけでございます。

 ふと見回しただけでも、9種類のヨックがわたしの周りをフヨついておりました。

 きょうはそんな、わたしの周りをフヨつく、わたしのことが大好きなヨックたちを紹介したいと思います。

 しばし、お付き合いを〜。


 ①モグ

 まんまるな形をしたモグは、朝も昼も夜も問わずわたしの周りをフヨつきます。

 とくに、昼から夜にかけては、すごい。
 目の前を、ゆ〜っくり左右へ移動しやがるのです。

 しかも。
 通り過ぎるときに、いい匂いがしやがるだと。

 邪悪すぎる。
 この野郎め。煽り性能高すぎるやろ。

 10代から20代前半のころはよくモグが見えましたが、その頃よりは減りました。

 食べ放題レストランよりも、一品一品頼めるお店を好む傾向になったのは、オトナになった証拠。

 いい言い方をすればそうですが、要は老化

 モグが見えなくなってしまったら、わたしたちの命の終わりは近いのかもしれませんね。


 ②ヨクネル

 ネル
も昼夜問わずわたしの周りをフヨついています。

 基本的にモグがひと段落するとネルが出てきて、わたしをフワフワの中へ誘います。

 これから仕事なんだとか、そんなことはお構いなし。ネルに誘われたら、その誘いを断ることはできません

 あれよあれよという間に手を引かれ、フワフワで低反発なネルのお腹にダイブするよう諭されます。

 そ、そんなァ。まだ、12時半だよ?
 仕方ないなァ。10分だけだからね。

 気付いたら休憩時間を25分オーバーしていた。
 なんてことが、あったとかなかったとか。

 うむ、なかったことにしておきましょう


 ③モンモン

 モグ、ネルときて、モン。
 ニンゲンにとっての三大ヨックでございます。

 モンは夜行性
 昼間も浮遊していますが、エネルギーが微弱なので手で追っ払えばなんて事ありません。

 夜は、モンモンっと両腕に力こぶを作りながらこちらへ接近してきます。

 ひー!想像するだけでコワイ!キモチワルイ!

 しかし。

 太い腕につかまってしまったが、最後。
 モンモンと過ごす夜は長く、濃密ですよ。フフ


 ④ホピー

 えーなにこのシャツ、カワピー!!
 おもしろそうなゲーム!ホピー!!

 ホピーは自力で飛べないので、高いところからわたし目掛けてダイブしてきます。

 買って。
 着るかな?ちゃんとプレイするかな?
 そんなことは関係ありません。

 着るかとか、やるかとか。ではなく。
 欲しいか、欲しくないか。でもなく、その先。

 買うことに快感を感じるこの人生。

 オワタリアンでございます。

 ホシー!ホシー!と叫んでいるだけでホピーが満足するとお思いですか?するわけがありません。

 欲しいなら、買うんです。
 それだけ。以上。解散。

 お賃金入ったし、ご褒美に買っちゃおうかな〜。


 ん?!?
 思ってたより、高い。

 3,900円だろうと思っていたシャツが、8,900円ですってよ奥様。

 オーマイグッネス。
 それが、オマエラの、やり方かァー!

 「これじゃ、買えないわ。」
 その言葉に、ホピーが反応します

 そして、ホピーが別のヨックを呼んできました。
 カネホッスです。


  ⑤カネホッス

 とにかく図体も声も大きいカネホッスは、近所迷惑で周りのヨックからも煙たがられています。

 唯一、ホピーとは仲良し。
 はたから見ると凸凹コンビなのに、仲がいいだなんて微笑ましいです。

 しかし、カネホッスの大声はわたしにはあんまり効きません。だって、叫んだってお金は増えないんだから

 「お金ほしいよ〜」とは思うけど、ないんだから

 そこは現実的なわたしです。
 金はいつでもねェんだべさ。

 一度深呼吸して冷静になると、カネホッスの姿は見えなくなりました。
 そして一緒にいたホピーも、カネホッスと一緒に消えてしまったようです。

 おふたりさん、達者でな〜!
 たまには、遊びにおいで〜!たまにでいいぞ〜


 ⑥オレノモン

 「お前のモノは、オレのモノ
 どこかで聞いたことのあるセリフですね。

 そんな発言をしてる人の周りには、オレノモンがフヨついてるのでしょう。まんまとやられちゃってます。

 オレノモンの特徴は、長く、伸縮する腕
 その腕でなんでもとっ捕まえてしまいます

 わたしの場合、片想いの人に想いを馳せている時や、わたしが好ましく思っていない人と、大好きな友人が仲良くしているのを見かけた時に、オレノモンが現れます。


 「オレノモン、だよな?

 キャーッ!イケメン風の言葉を囁きながら、わたしの肩に腕を置きます。なんだコイツ。

 一丁前にかっこいいじゃねえか。惚れてまうやろ。

 その長い腕で。
 片想い中のあの人をとっ捕まえてどうにかしたい
 好まないアイツを吹っ飛ばしちゃいたい

 そういう思いが、オレノモンを強くします。

 甘い囁きに誑かされてはいけません。
 それは、オレノモンの罠です。

 そして気がつくと、傍にもうひとつヨックがフヨついているのです。


 ⑦オモイー

 オモイー
 かわいい名前とは裏腹に、恐ろしいヨックです。

 オモイーはオレノモンの傍にいることが多いですが、同じタイミングで登場することは少ないです。

 オレノモンと交代するように出てくるのです。

 オモイーはまず、わたしの頭の中を好きな人や気になる人のことでいっぱいにしてきます。
 もう考えたくないよー、なんてことにはなりません。だって好きですし、気になるんですから。

 むしろ、もっと考えたい。もっともっと。
 そうやって脳を蝕みます。ヒエー!恐ろしい。

 そのうち、こんな思考を巡らせてきます。

 「こんなに求めてるのは、わたしだけ?
 「わたしのことももっと好きになってよ

 いやー、重いですね。
 これが、オモイーの特徴。とにかく重い

 わたしの中に寄生して、わたしを誰かに依存させることで満たされるヨックなのです。ヤメテケロー!

 寄生されてしまうと、もう、そのダレカのことしか考えられなくなります。

 オモイーに寄生されないためには、まず、オレノモンに誑かされないようにしなければなりません。

 甘い囁きには惑わされないように
 誰かに依存しても、いいことはない

 のは分かってはいるんですが、依存しているときはそれに気づけません。

 なぜかって、オモイーたちに踊らされ、誑かされ、壊されているからです。

 オモイーに寄生されたら、元の生活に戻るのはとてつもない時間がかかるのです。


 ⑧テーヤ

 テイヤーッ!

 テーヤは、武術のように手や足を操り、大きな声で自分をアピールします。

 いろいろとアピールしてなんだかすっごく頑張っているのに、テーヤのことが視える人は、あまりいないようです。

 なんで?どうして?こんなにいろいろと頑張ってるのに。わたしのこと、ミトメテーヤ


 そう。テーヤの正体は、承認欲求

 認めてほしい気持ちの強いわたしは、テーヤのことは日常的に視えています。鬱陶しいほどに。

 仕事頑張ってるつもりなんだけどなァ。
 わりとオシャレ頑張ってるつもりなんだけどなァ。

 そんな気持ちが、テーヤを強くさせます。

 誰も自分のこと褒めてくれない。なんで?
 え、もしかしてわたしのこと視えてない?

 ここにいるんですけど!

 認めて欲しい。褒めてほしい。
 そんな思いが強くなり、テーヤへのエネルギーが限界まで溜まると、一体どうなってしまうのでしょうか。


 ⑨ケンジョック

 テーヤが、ケンジョックに進化してしまいました。

 進化。
 えぇ、もちろんこれはヨックのお話です。

 ミトメテーヤ!もっとホメテーヤ!
 とうとう、そんな気持ちが膨れ上がって抑えきれなくなってしまいました。

 これやったらバズるかな?
 みんなに見てもらえるかな?

 ケンジョックは、テーヤのときに集めたパワーを周囲に爆発させることで強くなっていきます。

 最初は小さなところから始まります。
 コーディネートをSNSにアップしてみて、いいねの数に一喜一憂する。

 前の投稿よりいいねの数が減った!なんでだ!
 今回のほうが個人的には好きなのに!

 そうなると、より派手に、より過激にアピールしながら周囲を攻撃していきます。


 あ、わたしの中のケンジョックはこれくらいの比較的小さい範囲で抑えられています。

 ジセイシンというスーパーマンを心に宿らせていますからね。
 「セイセイ待たれよ」という声が聞こえたら、従うようにしているんです。

 いや、9つものヨックにまみれてるくせに自制心もへったくれもないだろうが!

 とお思いの方!
 ソノトーリでございます

 でもまぁ、究極。捕まらなければいいんです。
 どれだけ欲にまみれても。
 ケーサツのご厄介にならなければ、オッケー。

 わたしの中のスーパーマンは、まだまだ現役ってことですね。アハハ


 とのことで。

 冒頭
 ヨックだけがわたしのことを好き、みたいな書き方をしましたが、それは違いますね。

 ヨックわたしは、相依存
 お互いに依存し合っている関係性でございます。

 そこにジセイシンがいてくれるから、ヨックとわたしはひとつになることなく、バランスが保たれているわけであります。


 もしもジセイシンが消えてしまったら

 恐ろしすぎてそんな結末は考えたくないですが。

 そのときにはもう、牢屋の中か空の上にいるのではないですかね。

 わたしだけではありません。
 ニンゲンはヨックの影響を受けやすいですから。


 いつも心にジセイシンを。
 ヨックは、あなたのすぐそばをフヨついていますよ。 


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