太陽とコーヒー
朝は嫌いだ。改まった感じがするし、眠いし、テレビは真面目なニュース番組しかやっていない。
出来ることなら、朝を迎えないで永遠に夜でいて欲しいと思ってる。
でも、朝窓から光を僕の顔に突き刺す太陽がそうはさせてくれない。だから僕は太陽が嫌いだ。
「朝よ、来ないでくれ」とベランダから叫んでも、朝は来る。
なら仕方ないと、渋々起きるのが朝の8:30ごろ。
朝を迎えたくない僕を無理矢理起こす太陽には責任を取って欲しいのだが、会話が出来ないので、どうにか朝を生きることを選択することにした。24年前にね。
この決断は本当に時間がかかった。
だって、この決断をしないと神が子宮から出さないって言うのだもの。
24年間、太陽との付き合い方を試行錯誤してきた。
特には、カーテンを閉めっぱなしにしたり、夜まで目を覚さないように前夜念じながら眠りについたり。
ただ、全部結局はうまく行かず、巷で流行っていた「コーヒー」というものに手を出してみた。6年前に。
どうやら、この飲み物、眠くならないらしいのだ。
こんな怪しい飲み物に手を出してしまうくらい、当時の僕は追い込まれていた。そりゃそうだ、眠いし、不機嫌だし、辛いのだから。
記念すべき最初の一口。黒く濁ったちょっと独特の匂いがする飲み物は、生暖かい音頭で僕の口から今でなぞるように落ちていった。
体に変化はない。
ただ、ほんのり焦げた豆の匂いと生暖かく体をなぞる感覚、それから太陽の光が気持ちよかった。
自然と朝の太陽光を受け入れてしまっていた。
あれから6年。
僕は今でも朝、コーヒーを飲みながら太陽と仲良く過ごしている。
ありがとう。コーヒー。
これからもよろしく、太陽。
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