北京ドタバタ旅行(48)
変なことを言い始めた父を連れて、道路を横断し、向かいのレストランに入りました。入り口には大きな字で烤鴨と書いてあります。烤という字は日本語にはありませんが、「焼く」という意味です。しかし焼くというよりこの場合ローストするという風に考えればいいと思います。
このローストした鴨のことはあまりにも有名で、「北京ダック」と呼ばれています。しかし我が家の場合、名前こそ知っていましたが、それがどういうものかは見たことも聞いたこともありませんでした。
北京に来たからにはこれだけはどうしても食べないと、北京に来たことにならないなどというほどの思いこみを持っていた我が家は、メニューから北京烤鴨というのを見つけだし、小姐にこれ!などと指さしたのでした。
もちろん他の料理を頼んだのですが、見たことのない漢字が並んでいて、その漢字からは内容が類推できません。出来の悪い受験生がするみたいに、鉛筆を転がすように適当にメューから等間隔で指の停まったところのメニューを注文する事にしました。
適当に注文を終わって、回りを見渡すと、夕暮れ時でもあり、結構家族連れやグループでやってきています。テーブルは例によってくるくると真ん中が回る中華式のもので、テーブルクロスなどかかっています。日本でいう「レストラン」と言うべきものであって、我が家がよく利用する「めしや」というのよりかなり高級な感じです。
店内の奥にレジがあり、その付近には若いボーイさんが3人と小姐が2人ほどいて、待機しています。さらにその奥は厨房になっているようで、私たちの席からは中のコックの姿が見えます。その窓の所にはローストされ、きつね色になった北京烤鴨が4、5羽逆さに吊られてぶら下がっています。
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