PFAS緊急学習会のご報告
先週土曜日、2023年9月9日に開催致しましたPFAS緊急学習会「三鷹の水って大丈夫なの?」のご報告を致します。
当日は雨が降るかと心配もしましたが、幸い晴れて蒸し暑くなりました。スタッフの告知の甲斐あって、43名の参加者の皆様にお越しいただきました。厚く御礼申し上げます。ありがとうございました。
講演会の講師は「多摩地域の有機フッ素化合物(PFAS)汚染を明らかにする会」共同代表の根木山幸夫先生。
まず、何故PFASによる水汚染が問題になっているのかを学び、次に沖縄でのPFAS汚染について状況を学びました。
アメリカでは2022年に大規模なデモがアメリカ環境保護庁(EPA)の前で起こりました。米軍基地では消火訓練のためにPFASを含む泡消火剤を使い、日頃からPFAS漏出の懸念があります。水や油を弾くので、便利だという事で、テフロン加工の調理器具、防水スプレー、紙ストロー防水加工、飲料に使われる紙パックなど、私たちの身近でも多く使われて、そのために生活が便利になったと考えられている一面もあります。
PFASにはPFOS、PFOA、PFASの代替成分として使われてきたPFHxSなど、色々な種類がありますが、腎臓癌や胎児、幼児の健康リスクが懸念される毒物です。
2022年の大規模なデモを受けて、アメリカ環境保護庁(これからEPAと表記)は、2016年には生涯健康勧告値をPFOSとPFOAを合わせて70ng/L(ナノグラム、リットル)と定めていたものを、大幅に基準値を下げました。PFOSとPFOAそれぞれ、PFOS:0.02ng/L、PFOA:0.004ng/L、計0.024ng7/Lと定め直しました。ただ、この数値は測れないという理由と、企業からの突き上げもあって、基準値が4ng/Lに直されようとしているようでもあります。
日本政府は、問題を注視し、対応を検討すると言いながらも、PFASの暫定基準値を2020年5月に計50ng/Lと定めたまま、全く変更をしていません。
因みに、ナノグラム/リットルという単位が、どのくらいの量の水に対してどの程度の量のPFASを基準にしたものなのかと比較すると、東京ドーム一杯分の水に対して小さじ一杯のPFASが、1ng/Lという量になります。ごく少量でも毒性が非常に強い事が伺われます。
アメリカでは、アメリカ国内でのPFAS汚染対策としては合計約1兆円の基金を使っていますが、アメリカ国外の米軍基地での対応を渋っている状況です。
ドイツや韓国の米軍基地においては、アメリカ軍は行政機関が独自に調査をするために米軍基地に入る事を認めたのですが、日本では沖縄の普天間基地でも、嘉手納基地でも、日本の側による調査はできていません。日米間では環境捕捉協定が結ばれていますが、その中ではアメリカ軍に調査の許可をする義務を与えていません。日米合同委員会において、日本の政策決定が成されているため、住民の手の届かないところで勝手に重要な事が決まり、水は汚染され放題になっています。
PFASによって病気になった人へのインタビューや、沖縄米軍基地による水汚染をなんとかして解決して欲しいと防衛省に詰め寄る沖縄の住民達の訴えを克明に映し出しているビデオも見ました。
ビデオを見終わった後は根木山先生が講演をされました。根木山先生は主に多摩地域のPFAS汚染に関して詳しく調査されています。
アメリカではアメリカ軍基地に関しては汚染の実態を調査したがらないのですが、米国内の基準に関しては厳しくしていると根木山先生。
多摩地域には米軍横田基地がありますが、立川市や国立市、国分寺市でのPFAS汚染はかなり高いそうで、井戸水や湧き水が飲めなくなっているようです。国立市のママ下湧水公園、国分寺の名水 お鷹の道・真姿の池湧水群もPFAS汚染されているとの事。
多摩地域では、34の井戸をPFAS汚染のために取水停止しました。多摩地区30の自治体のうち、水道水と汲み上げ井戸のPFAS汚染が高い自治体は20です。
多摩地域での住民の血液検査の結果、国分寺市では9割近くの人の4つのPFASの値が基準値を超えています。府中では2倍、国分寺市では1.5倍の血中濃度。
横田基地では2010年から2017年までの間に、何回もPFAS漏出事故が起きています。横田基地周辺の地下水の流れは浅層地下水は南東方向に流れ、深層地下水は北西・北・北東方向に流れているので、横田基地がある昭島市よりも周りの地域の汚染が深刻になるようです。
PFASは別名フォーエバー・ケミカルとも呼ばれるように、長く環境や生物の体内に留まるため、この問題は数100年は続くとハーバード大学は報告しました。
この問題はアメリカが世界各地で米軍基地を持ち続ける事や、デュポン社はじめとする大手企業による排水汚染、私たちの一見便利な生活を維持する事とも切っても切れません。
PFASの毒性が明らかになってから、PFHxSという代替物質が使われましたが、PFHxSにも毒性がある事が判明し、ヨーロッパでは使用を禁止しようとする国もあります。なので、開発と汚染はイタチごっこのようなものです、と根木山先生は仰いました。
また、企業は靴の防水加工や紙パックの製造、調理器具の加工などでも大量のPFASを使い、環境に排出するため、水俣病のような公害となっていますが、住民に対してきちんとした補償や責任を果たそうとしていないのが現状です。
米軍基地に関しては、日米地位協定の見直しが必要です。米軍は、70年代に訓練中に起きた大規模な火災事故から、PFASを消火剤として使った消火訓練を日常的に行なっているため、漏出事故以外にも風でPFASが飛ばされる可能性もあるようです。
今後私たちの世代のみならず、もっと若い世代に影響が広がり、今の子供世代が対処しなければならなくなります。原発と同じく、次の世代に負の遺産を渡さないよう、私たちがしっかり問題に取り組まないといけません。
根木山先生の講演後、スタッフの男性から三鷹市のPFAS汚染状況についての報告がありました。
彼は東京都が公表したデータと、三鷹市議会の質疑応答から、次のように資料を作って配布してくれました。
令和5年度に東京都が実施したPFOSおよびPFOA、PFHxSの水質検査結果は、上連雀給水所、三鷹新川給水所、両方ともPFOS・PFOA合算して5ng/L未満、PFHxSも両給水所とも5ng/Lとなっています。(水道の蛇口から出てくる水)
ですが、令和4年度の地下水調査においては、9月13日PFOSおよび PFOAを合わせて41ng/L、PFHxSは25ng/Lという数値が出ています。(三鷹市 詳細地点は不明)
9月1日に前田まい議員が、9月4日には三鷹市議会議員の野村羊子議員が、三鷹市に対してPFAS汚染状況について一般質問しています。
三鷹市の回答は、3年に一回、水源井戸の調査を行っており、上連雀給水所野崎2号水源でPFOS、PFOAの合計値が13ng/L、PFHxSの値が14ng\L。
他の給水所においても、新川給水所牟礼3号水源にて高い数値がご覧のように出ています。(写真参照)
三鷹市において、私たち安全な水を求める市民の会三鷹では、健康調査や市や東京都独自の取り組みを求めて活動していく旨をご報告して、学習会は終了しました。
会場の皆様からも根木山先生に対して質問が出たり、温かいカンパのご支援もいただき、誠にありがとうございました♪
私たちの活動に参加してくださる新メンバーも募集しております!
今後ともどうぞ宜しくお願い致します。
安全な水を求める市民の会三鷹
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