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君と僕とで描く未来【連載小説No.1-2】

初回【No.1-1】はこちら↓↓↓


翔悟は泣いていた。久しぶりに見る翔悟の涙に再び悟は戸惑う。
「どうした、何も泣くことは無いだろう。」
「俺さ…」
翔悟はぽつりぽつりと静かにゆっくり話し出した。
両親から悟とは違うんだから、と毎朝のランニングどころか一緒にいることさえ反対されていたこと。見返したくて頑張っていたこと。それでも悟に追いつけなくて悔しかったこと。悟と居たから京大に行きたいと思ったしやりたいことを見つけられたこと。今の翔悟がいるのは悟がいたからだ、と。だから大学くらい自分の力で合格してみたい。
「だからさ、勉強は1人でしたいんだ。」
悟は翔悟が今まで抱えていた思いに気づいていなかった。親に反対されていたにもかかわらず一緒にいてくれたことなんか特に。
「なあ翔悟、お前俺がいたからって言うけどさ、俺も翔悟がいたから今までやってこれたんだぜ。翔悟が一緒に走ってくれるから今日はいいや、なんてならずに毎日続けてこれたんだ。でも、翔悟の気持ちもわかった。勉強は1人でしたいんだろ?だったらそうしよう。だけど朝の30分だけ俺にくれ。迎えに行くから一緒に走って学校いこう。6時に迎えに行くよ。学校に着いたらそれぞれで勉強しよう。俺からは話しかけないから存分に集中してくれ。だから朝の30分だけ。どうだ?」
「わかった。ごめん、ありがとう。」
「お礼を言うのは俺の方さ。いつも付き合ってくれてありがとうな。これからもよろしく。」

翌日の悟はいつもより30分早く動き出した。毎日の日課は2時間。30分も短くなると調子が狂う。自分が提案したんだからと気持ちを奮い立たせ、まだ薄暗い朝の街へと駆け出していく。

久しぶりに1人で走ると街の景色が変わって見えた。いつもはほんのり明るく陽の射し始めた頃に走っていたが今日はまだ薄暗い。それが少し寂しく感じられた。

飛ばしすぎたな。と呟いた声は明け方の空気にただ流されていった。この声を受け止めてくれる人がいないのはとても虚しかった。
早く受験が終わればいいのにな、とそればかり考えながらいつもの休憩場所である公園の芝生にころがった。
小さい頃からの遊び場で翔悟とより仲良くなるきっかけとなった場所であるこの公園がいつもより広く感じられた。空を眺めぼんやりしていると名前を呼ばれた気がした。ハッとして起き上がるとそこには複雑な表情をした翔悟がいた。
「おま…、なんでいるんだよ。勉強は?」
戸惑いつつもいつもの顔に会えた安心感で少し綻んだ顔をして悟が聞くと翔悟も少しはにかんで答えた。
「いや…さぁ。今まで毎日走ってたんだ。今日から急に勉強に切り替えられなくて…体を動かしたくてそわそわして仕方なかった。どんなルートを通ってもこの公園で休憩するだろ。だから来てみたんだ。」
「馬鹿だなぁ。」
2人は笑い合い、公園を一周した後、また後でとそれぞれの帰途に着いた。


今日はここまで。って言いながら続き書いちゃいました。
今度こそ今日はここまで、です。
尻に敷かれている翔悟父、その性格を翔悟がしっかり引き継いでいますね。支えるタイプ、とてもいいと思います。

続き【No.1-3】は…いつかな、早ければ明日のうちに、遅くても17日までに出す予定です。
不定期にはなりますが1回1000字-1500字程度で区切りをつけて連載していこうと思うのでどうかこれからもよろしくお願い致します。
♥を押していただけると執筆が捗ります。
誤字脱字に気づいた場合は教えて下さると大変助かります。

ここまで読んでいただきありがとうございます🌟

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