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君と僕とで描く未来【連載小説No.1-3】

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シャワーを浴びて翔悟の家に向かうと家の前に男の人が立っていた。翔悟ではないがどこか翔悟と似ている。悟は直ぐにそれが翔悟の父だと気づいた。
「おはようございます。」
恐る恐る挨拶をしてみると意外とさっぱりとした優しげな声が聞こえた。
「おはよう。悟くん久しぶりだね。」
悟が翔悟の父に会うのは小学校6年生の時以来だ。子供だけでは危ないから、とランニングについてきてくれていた。中学に上がってからは2人だけで走るようになった。
「一緒にいることを反対されていると聞いてたからびびったよ。」
「悟くん、ごめんな、反対してるのは主に妻なんだ。」
妻の方が権力があるからね、と苦笑いをしながら翔悟の父は話す。
「妻がね、どうしても翔悟を悟くんと比べてしまうんだ。翔悟と悟くんは違うんだし、翔悟だってよくやってるんだ。何度話をしても聞く耳を持たなくて…。翔悟と悟くんには悪いなと思っていたんだ。だけど悟くんは今日から翔悟のために予定を変えてくれたんだろう?だからどうしてもお礼が言いたくて。君と出会うまで引っ込み思案だったんだよ翔悟は。君について行くようになって明るく積極的になってくれてとても嬉しいんだ。悟くんのおかげだよ。ほんっとうにありがとう。どうかこれからも仲良くしてやってくれ。」
「父さん!」
玄関から翔悟が駆けて来る。
余計なこと言わないでよ!と父に声をかけつつ悟の元へ。
行ってきます、と翔悟の父に背を向け2人は学校に向けて出発した。

「明日からどうする?」
「やっぱ俺お前がいないと無理だよ」
「ははっ、俺もだ!」

翌朝から、いつも通り2人で走った。放課後は先生たちが帰るギリギリまで学校で勉強して一緒に帰った。家に帰ってからも必死に勉強した。学校が休みの日は朝走った後、一緒に自習室に行ったり、お互いの家に集合したりして受験本番まで必死に勉強した。
模擬試験の日も中間試験の日もランニングの日課は2人一緒に変わらずこなした。それでも2人の成績は伸び続けた。

そして迎えた共通試験当日。
いつものペースを崩さないためにこの日も走った。一緒に受験会場に向かいお互いの成功を祈った。
2日間に渡る試験を終え、疲れ果てた僕達は夜の公園で自己採点をした。
いつもより空気が澄んでいて気持ちが良かった。満天の星空に自己採点結果を掲げた。
「っしゃ!」
2人は満面の笑みで叫んだ。
「ここからが本番だ。追い込みかけるぞ。でも、その前に、明日1日だけリフレッシュしよう。行きたいところがある。」
「わかったまたあした、いつもの場所で」
悟は翔悟の提案を快諾した。どこに出かけるかは知らないが翔悟が行きたいと言う。リフレッシュは大事だし久々に出かけるのも悪くない。それに翔悟の提案を悟が無下にするはずもなかった。


【No.1-2】を少し編集し直しました。
【No.1-4】はまた今週中に出します。
不定期にはなりますが1回1000字-1500字程度で区切りをつけて連載していこうと思うのでどうかこれからもよろしくお願い致します。
♥を押していただけると執筆が捗ります。
誤字脱字に気づいた場合は教えて下さると大変助かります。

ここまで読んでいただきありがとうございます🌟

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