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ネブタ・ファイト・クラブ

ラッセラー ラッセーラー ラッセラッセラッセラー  伝統的な掛け声とともに、花笠、白地の浴衣に色鮮やかな帯、おこしを着た跳人たちが跳躍を繰り返し、鈴の音が熱帯夜に涼やかな響きを残す。  LED電球を内蔵した巨人が引き手に導かれ、道路脇に並んだ観客に大見得を切る。  青森の夏、ねぶた祭りである。  日本最大の夏祭り、ねぶた。  その起源は平安時代、坂上田村麻呂の東北侵略に遡るとも言われる。  戦争が起源だからというのでもないのだろうが、若い衆が多く集まるハレの日ということも

    • 現実/仮想/僕/君

       リアルであろうとバーチャルであろうと、夕暮れ時の学校の廊下は常に非現実的だ。  大人になってから学生の頃を思い返すと、エッシャーの絵の中で生活していたように感じる。  窓から差し込む夕陽が周囲を眩しいほど鮮やかな朱に染める一方で、夜の闇のような影が所々で長く伸びる。  校庭から聞こえる運動部の声は、実際の距離よりどこか遠い。  文化系の部員が校内に残っているはずなのに、無人のような静けさが校舎を満たす。  そして、記憶の中で響く音楽に重なり、ピアノの曲がかすかに聞こえる。

      • アフタースクールウォーズ、或いはオヤジ達のカワイイ戦争

        「ゲンGが死んだ!この人でなし!」  2-X組教室後方のドアに築いたバリケードからモブカワイイ悲鳴が上がる。  前方ドアのバリケードに陣取っていた俺が視線を向けると、黒髪ロングに大きなリボン、大正チックな和服制服の美少女(この作品に出てくる少女は皆美少女なので、以下少女と略す。少女と書かれていたら美少女のことである)が大の字で倒れていた。  保健委員のワッペンを腕に巻いたおかっぱセーラーの少女が和服少女の腕を取り、脈を確認して首を振る。 「くそっ、第二次世界大戦を生き抜いた長

        • デス・レース・レーサー!!

          轟轟豪爆牙牙牙牙牙!!!!! ひゅうッ! 音速を超えるスピードを弾きだすエンジンががなり立てる! この音を聞いた瞬間だけは、敵も味方も(当然味方なんてこのレースにはいない!)浮かべる表情は、今の俺と同じだ。 心臓の鼓動を無理やり押しつぶされるような音圧に、思わず口角が上がる。 愛車「デストロス」のいななきに満足しながら、目の前に並ぶメーターのチェックを済ませる。 油圧、バッテリー、核融合炉の状況を確認。 オールグリーン。 しかし、その作業を3度こなし、4度行う。 これから始ま

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