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みかんのオモテとウラ

忽那諸島・中島に暮らし始めて1週間経ちました。9月20日、朝から太陽が眩しい1日でした。今日は朝から、昨日に引き続いて森さんご夫婦のみかん畑のお手伝いに伺いました。

午前中は、昨日の畑とは違う場所にある、温州早生みかんの畑に行き、マルチシートを敷く作業のお手伝いをさせていただきました。
マルチシートを木の根元に敷いておくとで、みかんがより甘く美味しくなるんだそうで、この手間を加えることでより高い値段で出荷することができるようになるんだとか。
温州みかんの木は比較的背が低めで、枝が地面の近くまであり、それを避けながら何度も地面に屈んでシートを敷いていかないといけません。スクワットをたくさんしているような状況で、運動不足の身にはつらいところでした。

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木にはつやつやとした青いみかんがたくさん実っていました。森さんがみかんを見て「今年は美味しそうなのができた。皮も薄くて絶対に美味しくなる」とおっしゃっていて、今から収穫のときがとても楽しみになりました。

昨日の摘果の作業も、接木のことも、知らないことばかりでしたが、マルチシートを敷くことがあるということも、私は初めて知りました。きっと、まだまだ知らないことばかりだと思いますが、みかんを作ると一口にいっても、本当にたくさんの労力が注がれていることを痛感します。

昨日と同じく、途中で休憩をしながらのおしゃべり時間もありました。

今日教えていただいたのは、みかんの「おもて年」と「うら年」がある、ということ。みかんの木にたくさんの実がなる年のことを「おもて年」、反対に、みかんの実があまりならない年を「うら年」と言うんだそう。今年は「おもて年」だそうで、摘果の作業が大変です。「おもて年」でみかんの木が疲れてしまうこともあるそう。植物はおもしろいなあ。

午前の作業が終わってからは、お昼ご飯の休憩を挟んで(一旦お家に帰って、30分だけ泥のように寝ました)、少しずつ暑さの厳しさがやわらぎ始める14時頃から、森さんのせとかの畑へ行きました。

せとか畑は、山の上のほうにあり、麓には小学校の跡地があるのですが、今は更地にされ、ヘリポートが整備されています。森さんもそのお子さん達もこの小学校に通っていたそうです。「この畑におったら小学校から子どもの声が聞こえてきててね、いいなあと思ってたんよ。今はお年寄りが多くなってしまったけどねぇ。」とおっしゃっていて、その当時の風景と、その頃からの島の移り変わりを想像してしまいます。

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せとか畑では、夏から秋にかけて伸びてくるみかんの青い木の芽(夏秋梢というそうです)をハサミで切っていく作業と、実についているオヘソのような部分を落としていく作業を行いました。

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夏秋梢は、冬のあいだにあまり成長できない芽なので、この段階ですべて切ってしまって、木がよく育つ春の芽をまつんだそう。せとかは枝に鋭い棘があり、青い芽にも鋭い棘がついています。芽を切ってから、この棘も一つひとつハサミで落としていって、収穫時期に人の手足を傷つけないようにします。
実についているオヘソのような部分も、この時期に取ってしまわないと収穫の時期に腐りやすくなってしまうんだとか。

品種によってもお世話やお手入れの方法が異なっていて、以前には想像もできなかったようなたくさんの労がかかっていることをひしひしと感じます。

昨日から伊予柑、甘平、温州の畑でお手伝いをさせていただいて、せとかは特に難しそうだなあと感じたわたしは思わず、「せとかは手がかかるんですね」と言ったのですが、森さんは「せとかは手をかければかけるほど綺麗なみかんができる。やけん作りがいがある。」とおっしゃっていて、みかん作りを創意工夫されながら取り組まれている森さんの姿は、とてもかっこいいなあと感じました。

午後の作業のあいまの休憩には、アイスクリームまでごちそうになってしまいました。3人で畑のすみっこで食べるアイスは、とっても美味しかったです。援農に行っていることになっているはずなのに、みかんのことを教えていただいたり、お気遣いいただくばかりで、なんだかわたしの方がいろいろとお世話になっているようで、申し訳ないような、一方でうれしくもある、そんな気持ちになった1日でした。

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今日もお月さま、きれいでした。

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