𓂃𓈒𓏸 𝐍𝐎𝐎𝐊 𝐋𝐄𝐓𝐓𝐄𝐑 𓂃𓈒𓏸 2024年8月号

定期購読マガジン 『𝐍𝐎𝐎𝐊 𝐋𝐄𝐓𝐓𝐄𝐑』 2024年8月号をお届けします

NOOKの活動をもっといろんな方に知ってもらう機会になればと、月に一度、𝐍𝐎𝐎𝐊 𝐋𝐄𝐓𝐓𝐄𝐑を配信しています。
ご購読いただいた売上は、NOOKの活動を継続するための資金として使わせていただきます。またNOOKのWebサイトより、直接ご寄付いただくことも可能です。わたしたちの活動はちいさなものですが、この記録組織を変わらずに続けていくために、どうかご支援いただけますと幸いです。

𝐍𝐎𝐎𝐊 𝐋𝐄𝐓𝐓𝐄𝐑限定のコンテンツは現時点で大きく３つになります。

✦ 語らいの記録 ✎𓂃
『語らいの記録』では、多くの旅を通じて出会った語りを絵画や文章で記録し続けている画家・作家の瀬尾夏美が、毎月ひとつの語りを取り上げ、その語りが生まれた空間をやわらかな文章で編み直します。

✦ 今月の絵手紙 𓍯
『今月の絵手紙』では、画家・作家の瀬尾夏美と、美術作家の佐竹真紀子が毎月担当を交代しながら、ドローイングを交えたみなさまへの絵手紙をお届けします。

✦ 今月のエッセイ 𓅯 ⸒⸒
『今月のエッセイ』では、主に劇作家・演出家である中村大地、映像作家の小森はるか、美術家の磯崎未菜、美術・メディア研究者、映像作家の細谷修平が、交代でエッセイを執筆します。自身の活動についてや、最近ハマっていること、海外での驚きの出来事など、それぞれの視点から紡ぐ季節のエッセイをお楽しみください。

他にも、 NOOKメンバーにやってみてほしいこと、聞きたいこと、お願いしたいことなど、新コーナーのアイディアをいつでも大募集しております。各SNSでのリプライや、ハッシュタグ #NOOKLETTER にて教えてください。❀´-

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今月のラインナップ

語らいの記録：
「戦争、なんもわがんねえ（東北の海辺にて）」（瀬尾夏美）

今月の絵手紙：
「五福谷（2021年10月21日）」（瀬尾夏美）

今月のエッセイ：
『おばあちゃんとおじいちゃんが住んでいた家』（小森はるか）

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それではさっそく、瀬尾さん書き下ろしの語らいの記録からどうぞ。

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語らいの記録 ✎𓂃

14. 戦争、なんもわがんねえ（東北の海辺にて）

1928年生まれのおばあさんは現在96歳。中学校を卒業した1943年に東京に出て、国鉄に就職する。当時は、男性はみな戦地に行くので、女の子たちに募集がかかっていたのだという。

田舎の村で長女として生まれたおばあさんは、幼い頃から家の仕事や田畑を手伝い、遊ぶ時も下の兄弟をおぶって出かけるという働きづめの暮らしをしていたため、就職後の仕事はまったく苦ではなく、三食の食事（しかも白飯！）がきちんと出る東京の生活はとてもいいものだった（なにせ、人生で最も楽しい時期だった！　と語ることさえある）という。

やがて東京を空襲が襲うようになっても、ふるさとに帰ればまた働きづめの生活が待っていると思い、おばあさんは帰らなかった。一緒に働いている女の子たちもまた、帰ろうとはしなかったのだという。