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カロク採訪記

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東京の災禍の歴史をたどり、それに向き合う人びとと出会い、記憶の地層を掘り起こす。2022年からはじまった事業「カロクリサイクル」に関わるレポートです。 https://www.…
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#災害

都市の暮らしを守る(さて、どうやって?)

2022年7月24日 カロク採訪記 瀬尾夏美 頼りない堤防 中学生の頃から南北線ユーザーだけど志茂駅で降りるのは初めて。 地上に出た瞬間、日差しが刺さるように痛いし、延々とまっすぐな北本通りも不愛想な印象でついよろける。 とはいえ、実家にいた頃に使っていた隣の王子神谷駅も北本通り沿いで、印象が似ているので親近感はある。 どちらの駅も近くにはコンビニと数件の飲食店が見えるのみで、駅前という空間がない。 日々、自宅から都心へと直通でもくもくと行き来し、たんたんと働いて帰宅する

東京を歩き始める

2022年5月9日  カロク採訪記 瀬尾夏美 東北からふるさとに戻る ついに東京を歩き始める。ついに、とあえて言う。 22歳からの11年間は東北にいて、この春、ふるさとである東京に戻ってきた。東北では、津波の後の沿岸部や台風被害に遭ったまちに通い、土地に根付いて生きる人びとの話を聞き、記録してきた。 もちろん、災禍の記憶だけではない。日々の暮らしについて、生業(田畑や山仕事の話などが印象深い)について、風景について、土着的な信仰や民話について、受け継がれてきた郷土の資料に