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日々と旅の境界線はもう大人しく、かばんの奥に詰め込んで。旅の在り方を捉え直すためのホテル「石垣島・MEGURU|巡」

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旅に「刺激」以外のものを求めるようになったのはいくつの頃からだろう。

20代のわたしは確かに今まで見たこともないものを求め、食べたこともないものを味わいたくて、世界中を文字通り鳥のように飛び回っていた。
国から国へ、町から町へと出会いと別れを繰り返しながら、自分の中のリセットボタンとスタートボタンを忙しく交互に切り替えながら、時には哀しかったり、辛かったり、お腹がよじれるほど笑ったり。そういう全ての「非日常」がご馳走で、ご褒美だった。

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自分の内面と向き合うこととか自然の中で深呼吸することとか、そういうものをもしかしたら心の何処かでは斜に構えて見ていたかもしれない。
丁寧な暮らしはブランディングかファッションで、そういう自分に酔いしれているんでしょ、と、自分自身も非日常感の中にいるわたしに溺れ酔いしれながら、多分思っていた。

そういうものを自然と受け入れられるようになって"丁寧な暮らし"はファッションではなく自分に対する覚悟や理解なのだと知って初めて「旅」というものの本当に楽しみ方を知った気がする。

それを「大人になった」というには少々乱暴だし、刺激を求めるわたしがどこかに行ってしまった訳でもない。
要はきっとフェーズなのだろう。 今、わたし自身、外ではなく内の自分と繋がる必要性があるのだと思う。 そんな、自分にアクセスする旅にちょうどよく寄り添ってくれたのが、今回2泊3日で訪れた石垣島の「MEGURU|巡 」だった。 

今回はわたしが取締役として参画している 株式会社ブライトログ のメンバーと一緒に訪れた。


知らない動物の鳴き声、藍と蒼の海、星。「MEGURU | 巡」。自然のど真ん中。

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訪れたのは沖縄・石垣島。東京からは飛行機で約3時間程。ここは波照間島や西表島など、島に続く港がある玄関口で何度か訪れたことはあるけれどいつも通過してきたので、ちゃんと滞在するのは初めて。
目的地は最近オープンしたばかりのホテル「MEGURU | 巡」さん。今回は3人で新しい旅の形の提案を体験しにきた。


周辺は、気持ちが良いほど何もない。遠くには海が見え、あたりは名前も知らない草花たちが自由きままに暮らしている。
ホテルの近くでは飼いヤギがメエメエ声をあげている。

扉を開けると、やわらかな光が差し込むロビーとちいさなレストランが出迎えてくれる。


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コンビニやスーパーなどは見知っているものは見当たらない代わり、知らないものばかり。 聞いたことのない鳥の声だとか、花だとか。確かに国内なのに、もうここはまるで、海外のようだ。 なのに、ちゃんと安心感があるのはやっぱりここが生まれた自分の国だからなのだろう。緊張感のない海外のような。不思議と安らいでしまう。


より良いitemを程よい量で。「質の良いもの」

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挨拶をして部屋にあがると、薄いピンク色の壁に優しい水色のドア。小さいけれど清潔で、テラスからは海が見える。「あ、これは良い滞在になるな」と一目で感じるような、そういう心地よさがちゃんとある。

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部屋の中には「こう過ごしてみてはいかがですか?」の滞在の提案がたくさんあった。
決して押し付けるわけではなく、さりげなく置かれたそれらはみんな控えめで、だけれど今か今かと自分の活躍を待っているように見えた。 カセットで曲を聴いてみたり、ガラスペンで手紙を書いてみたり。 そういうことをやってみても、やってみなくてもいい。 やってみて嫌ならやめても良いし、続けてもいい。 気楽だ。


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朝と夜のごはんは「一汁一菜」で。体の声に耳を傾ける。

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部屋でぼーっと外の海を眺めていると、あっという間に夕飯の時間になった。 (石垣島、陽が長くて夜に気づかない) 夕飯は下のレストランのカウンターで、「一汁一菜」でいただく。

「足りるかな?」と最初は不安で、だけれど十分すぎる量だった。 自分がいかに普段あれもこれも、と欲張って食べていることだとか、 十分に食材に向き合ってないことだとか、そういうことに気づく。


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夜はおのおの星をみたり、仕事をしたり。あっという間に眠くなって眠ってしまったり。深呼吸すると、もわっと湿気を帯びた空気が肺の中まで入ってきて、妙に心地よかった。

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朝も、一汁一菜で。ご飯を食べる前には「五感」と向き合うための時間も。 味覚に集中して食べるドライフルーツは、「今からこいつを食べるのか」と思うと何だか妙な気持ちになったし、普段と違う味がするような気がした。 

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あとは、その繰り返し。 しっかり寝て、起きて、散歩をして、写真を撮って。 仕事して、また眠る。特別なことはあえてしない。


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ちゃんと日常の延長線上にある旅。


 「自分と深く繋がる」は多分ね、ちょっと大袈裟すぎるけれど

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最近すごく慌ただしかったから、「バタバタした滞在になってしまわないか」と不安だったけれど(まあそれは、ちょっとなってしまったんだけど)、今回自分の今大切にしたいものを再確認できた旅だった気がするし、こうやってちょっとバタバタしてしまう自分も、等身大として受け止めてあげたいと思えた。


観光地を回らなくても、特別スペシャルなご飯を食べなくとも、刺激的なアトラクションのように心の波をあちらにこちらに泳がせなくとも。

旅は楽しい。移動は楽しい。“住まいを変える“は楽しい。 
えい、と気合いをいれなくていい。生活の一部でいい。
そういう、自分の中の「旅」の固定概念を変えてくれる場所がここ、石垣島にはあります。

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他のふたりはどんな感想を持ったのだろう。
またふと、あの自然に会いたくなったら。鞄ひとつで出かけよう。
(飛行機と車は予約ね。そこは計画的にね。)

ここは、旅の目的地にして良いホテルだと思う。
「自分と向き合う」を試してみたくなったら。
ぜひ、訪れてほしい。

非常に良い滞在だった。



photo by : 株式会社ブライトログ のみんな














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