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放課後の保護者クレームを減らす方法

↑動画作りました。合わせてご覧いただけると嬉しくて涙流れます(制作時間3日)。

保護者の問い合わせやクレーム=仕事のしんどさ


 保護者は基本的に学校での我が子の生活ぶりが見えないから不安をもっています。
「友達と仲良く生活できているだろうか」
「授業についていっていけているだろうか」
 見えなかったりわからなかったりするとそれだけで不安になるのは、当たり前ですよね。ただわからないならまだしも、「学校が楽しくない」とか、「行きたくない」などと言われると、保護者はとても不安になります。そしてその不安は、すぐに担任への不信感につながってしまいます。
 どんなに力のある先生でも、保護者からの問い合わせや連絡、クレームはあります。保護者の信頼感は、体感で2:6:2です。
 教員や学校に対して強い信頼感をもっている保護者が2割、そして教員や学校に対して批判的な保護者も2割。あとの6割はいわゆる「普通」の保護者。良くも悪くもなんとも思っていない保護者です。
 この6割の保護者は、なにか大きな事件やよくない出来事が起こるとはじめて担任の先生への批判的な眼差しが生まれます。ですが、大抵のことは「先生も大変だから」「我が子が悪い」と思う保護者で、直接的な問い合わせやクレームをしてはきません。
 教師の多忙感や疲労感で大きなウェイトを占める、保護者からのクレームや問い合わせをへらすことで、教員の多忙感がかなり減ります。

 
学校での様子を「見える化」することの弊害


 子どもが学校で楽しく過ごしているかどうかが多くの親の関心事です。
 そこで、見えるようにするために担任はどうするか。
 多くの担任の先生は、「学級通信」というツールを使って保護者へ情報を提供したり、「電話」や「連絡帳」を使って子どもの様子を連絡したりすることで、子どもの様子を親に伝えます。

 これらの方法はどれも強力で、保護者は学校でのわが子の生活ぶりを知ることができるので安心してくれるようになります。
 強力なのですが、一つ問題があります。それは、「時間と手間がかかる」ことです。保護者へ連絡したり通信を書いたりすることが「手間がかかる」なんていうと、先生は自分の仕事をしていないとか、情熱がないとか言われると思いますよね。実際に、そう思う保護者の方もいるでしょう。
 ですが冷静になって考えてほしいのですが、そもそも私達の勤務時間の殆どは、「授業時間」に割り当てられています。にもかかわらず、教員の仕事は授業の他にも…
・プリントや宿題の丸付け
・成績処理
・校内事務や校内作業
・会議
・教材研究
・研究
・教室の環境整備
…など、かなり多岐にわたります。これらの時間を、勤務時間内にこなすことができるでしょうか。
 例えば8時15分〜4時45分が勤務時間で8時間労働だとします(30分の休憩時間を含む)。
 ですが、この時間のうち、8時15分から3時15分までが子どもが学校にいる時間だとすると、子どもが完全に下校して教員が指導以外の時間をすることができるのは、およそ1時間となります。
 この1時間のうち、会議がない日は週に2〜3日ではないでしょうか。勤務時間内に学級事務を行う時間はほとんどないことがこれでおわかりいただけたと思います。
 保護者からの問い合わせやクレーム、訴え、面談などが入るということは、これらの勤務時間での仕事ができなくなるということになります。
 教師は営業職(授業)とCS(クレーム対応)を兼業しています。それだけではありませんが、担任が独りでクラス全般の出来事に対する責任をもっているので、当然といえば当然です。

 そこで考えたいことは、「こちらから情報を発信しなくても、保護者が安心して学校に我が子を預けられる状態を作る」ということです。この状態を作ることができれば、クレームに時間を取られず、授業準備や丸付け、成績処理や校務分掌などの教師の事務に時間を割く事ができるようになります。


保護者が安心する最強のフレーズ


 保護者は学校でのわが子に対して不安をもっています。そこで、その不安を「とりあえず」払拭できる最強のフレーズがあります。それは…

 「学校が楽しい」というフレーズです。

 実は、この「学校が楽しい」というフレーズを親に話す子どもが増えると、結果的に担任が守られることになります。つまり、保護者のクレームが減る、ということになります。
 なぜなら、子どもが楽しんで学校に行っていることに安心してくれて、多少の不満はあるにせよ学校に対して強く言おう、と思わなくなるからです。それだけではなく、「学校が楽しい」と子どもに思わせる先生は、いい先生だ、と保護者が思ってくれるので、学校の教育に対して好意的に見てくれるようになったり、先生に対する信頼感をもってくれたりするからです。
 「学校が楽しい」と思わせる学級経営ができると、こんなにいいことがあります。
・保護者が安心する
・クレームが減る
・子どもが学習に集中してくれる
・学力が上がる

 はじめは単に「学校に行くのが楽しい」と思うだけだった子どもたちも、学習に集中することで学力が上がり、結果的に保護者にも認められることになります。


低学年、中学年は特に「学校=担任の先生」
 

 では、学校が楽しいと家で子どもが言うようになるためには、どうすればいいのでしょうか。それには色々な手段があると思いますが、とくに若手の先生におすすめしたいのが、「ユーモア」のセンスを磨くことです。
 教師がもしお笑い芸人みたいに面白いノリで話したり、大道芸人みたいに人を楽しませてくれたりすると、子どもはどう思うでしょう。それだけで「担任の先生は面白い」となるでしょう。もしそう思ってくれたら、子どもは学校に行くのが楽しみになるはずです。
 本物のお笑い芸人でなくても、大道芸人でなくてもいいんです。別にふざける必要はないです。
ちょっとした工夫で、担任の先生が面白い、と子どもが思ってくれるようになります。 


緊張と弛緩


 Youtuberや大道芸人が、動画やトークの途中で音楽を急に止めてちょっとおもしろいことを言う、というのを見たことがあるでしょうか。あそこで笑いが起こりますよね。これは、「緊張と弛緩」です。
 緊張とは、真面目なトークや緊迫した戦いのシーン、さらに授業で言うと先生の指導や問いかけなどの普段の状態のことです。
 そこにちょっとした弛緩の瞬間を入れます。BGMが途中で急に止まってちょっとした面白いことを言ったりするポイントを作ります。授業で言うなら、先生が途中でピタッと止まって間を明け、その後に一言「なんでやねん」というだけでも、子どもは笑います。

 お笑い芸人みたいなことをするというと、拒否反応を起こす人もいるでしょう。「私は教師であってお笑い芸人じゃないです!」という声が聞こえてきます。
 「緊張と弛緩」は、トークだけではなく、様々なところで使うことができます。

・重要な指導事項をクイズ形式で突然始める
・黒板にイラストで指導したことを表現してみる
・大切なフレーズを声を変えて話す
・表情を変化させる
・子どもに質問する
・指導したことを早口言葉で唱えさせる
・ゲーム要素を取りいれる
などなど。

 他にもあるかもしれませんが、要するに授業に変化をもたせるということを意識すること。そこに少しのユーモアを入れること。それだけで子どもは先生の授業をスキになってくれるでしょう。


変化のある授業うするために必要な「学習規律」


 ユーモアのある「緊張と弛緩」を取り入れることで授業にメリハリが出るようになり、子どもたちは授業を楽しいと思ってくれるようになります。中には、高度に知的な学習に取り組ませることによって知的好奇心を刺激することや、子ども同士の学び合いが授業を楽しくさせることが最も大切だと考える先生もいるでしょう。
 ですが、問題なのは知的には低い学習集団において、学習意欲を高める方法を考えることです。そのためにも、「担任の先生は面白い」と思ってもらうことは大きなアドバンテージになります。

 ただ、一つ気をつけてほしいことがあります。それは、「ユーモアとふざけを一緒にしてしまう集団」についてです。
 もしあなたのクラスが、ユーモアを理解してけじめある学習を行えるのなら、話はかんたんですが、もしあなたのクラスが教師の脱線やユーモアで収集がつかなくなる場合はどうすればいいでしょうか。
 その場合は、ユーモアのある授業をする前にかならずすることがあります。それが、「学習規律の指導」です。
 特に、私が「ピタドメ」と呼んでいるものがあります。ピタドメとは、子どもたちがざわついていても、教師や友達が発言するときにはピタッとおしゃべりを止めて、話している人の話を聞くということです。ピタドメを指導することをせずにユーモアある授業をしようとしても、成り立ちません。

 ピタドメの指導の仕方としては、
1.ルールを説明する
 「授業中は発言するのは1人。先生もみんなも同じ。これから練習してみる。ざわついて、先生が「話をします」と言ったらピタッと止める。やってみよう。」
2.練習する
 やってみて、結果を短く評価して何度も繰り返す。
3.授業で実践して評価する

 できたときには大げさに褒めましょう。そして嬉しいことを子どもに伝えましょう。ピタドメを合言葉にすれば、緊張と弛緩を使う土壌ができます。
 ぜひ実践してみていただけたらと思います。授業のメリハリをつけ、こどもが学校の授業が楽しいと思うようになり、それが保護者に伝わることで私達の仕事が楽になります。つまらない注意ばかりの授業を抜け出し、ストレスなく楽しく授業をすることが、教師の働き方改革の1つなのではないかと考えています。


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