プロ失格?!絶対にしてはいけない指導

 教育者として必ず直面することに、「子どもの失敗の場面」があります。失敗の内容は多種多様です。

・宿題を忘れた

・友達とケンカをした

・問題が解けなかった

・教室のものを壊した

・教師や友達の話を聞いていなかった  など

 様々な失敗に対して教師は日々対処しなければなりません。むしろ、子どもの失敗に対しての指導こそ、教師の仕事の中で最も大切な場面の一つなのではないでしょうか。

 ですが、もしあなたが「正しい叱り方」を知らずに教壇に立っているのだとしたら…もしかすると取り返しのつかないことになるかもしれません。

 なぜなら、私自身が実際に若い頃に失敗をしたからです。

 子どもの些細な失敗に対して適切ではない指導を行った結果、保護者からのクレームになったことがありました。

 一度クレームが起こると、長い時間と精神力を使って自分の引き起こした問題に対処しなければならなくなったことがあります。自分一人ならいいのですが、学年主任、管理職を巻き込むことになりました。

 そして、もっとも大切な自分のクラスの子どもが、先生に対する信頼感を失ってしまうという事態です。担任に対する信頼を失うと、そもそも教育すること自体が難しくなるので、そのような状況は避けなければなりません。

 では、失敗に対する指導はどのようにすればいいのかという問題ですが、多くの方は「昔自分に対して行われたお叱りや指導の方法を真似している」という状況ではないでしょうか。

 叱る、とか、指導する、ということに対する方法論を大学で学ぶことは(少なくとも私の場合は)ありませんでした。だからそもそもモデルになるものがないですよね。なので、過去の自分の経験とか、同僚や先輩の先生が行っている指導をみて真似をしているのが現状だと思います。

 ただ、若い先生の中には「叱られずに育った」人も多いようです。つまり、叱られた記憶がないから、叱り方がわからない・・・という悩みもあるようです。

 そこで、今回は「絶対にしてはいけない子どもに対する3つの指導」と題して、これだけはしてほしくない指導方法を解説します。

してはいけない指導とは?

 まず大前提として、子どもの失敗に対して教師がどう指導するかは、はっきり言ってその失敗の内容によって全然違います。だから、してはいけない指導なんてそもそも定義することができないのが事実です。

 ですが、これが結論となると「具体的にどうすればいいかわからない・・・」ということになり、場当たり的な指導になってしまいますよね。

 なので、全ての場合で当てはまるわけではありませんが、多くの場合で「この指導方法でやってみたけど失敗だったなぁ…」と私が個人的に感じた指導方法を取り上げ、その問題点を指摘していきたいと考えています。

 そして、最後にはアクションプランとして、「こんな指導をしたい」という方法論を提案させていただきたいです。

 この記事を読んで、若手の先生が少しでも「子どもの失敗に対する指導方法の仕方」を学べる一端となれたらと考えています。

してはいけない指導① 失敗を責め立てること

 してはいけない指導。結論から言うと、「失敗を責め立てること」です。

 責め立てるというのは、相手が失敗してしまったことの責任を追求したり、失敗したことがいかに悪いことなのかを過度に追求したりすることを意味します。

 失敗を責め立てられると、責められた子どもは萎縮します。「自分は悪いことをしてしまった」「悪い子だ」などと反省することもありますが、「どうして私ばかり怒られるんだ」「今回の失敗は仕方なかったのに先生はぼくのことをわかってくれない」などの反発した感情を生むことになります。

 そもそも、力で子どもを屈服させても、反発を生むだけです。一時的に指導した内容を納得するような顔をしますが、内心では反発心をもつことになってしまいます。

 力で押さえつけるのはよくありませんが、時には毅然とした態度で「ダメなものはダメ」という勇気は必要です。ですが、ネチネチと責め立てるのはよくありません。

 「ネチネチと言われたくなかったら先生である私の言うことを聞け」というスタイルは、言っていることは正論だったとしても子どもの心の底に響く指導にはなりません。先生のいないところで悪さをしたり、違う場面では同じ失敗を繰り返したりします。

 失敗を責め立てるのはいじめと同じです。絶対にやめましょう。

してはいけない指導② 子どもが指導されたことを改善しようとしたことを認めないこと

 してはいけない指導の2つ目は、「指導したことを改善する姿を認めたり褒めたりしないでスルーすること」です。

 実は私もやりがちなので言う資格は無いかもしれませんが、子どもは指導されたら曲がりなりにも改善しようとするでしょう。

 つまり、教師の言うとおりにやってみようと思うわけで、素直に自分の行動を律し、正そうとしたわけです。それはとても素晴らしいことだし、よくなろうとする気持ちは嬉しいですよね。

 そこで、「◯◯さんは失敗を乗り越えようと頑張っているね。偉いね」とか、「◯◯くんは気をつけることができたね。嬉しいな」などと声をかけます。

 逆に、子どもが行動を改善したとしても、それをスルーして何もフィードバックをしないとどうなるか。担任の先生に対する信頼感を失うことになります。「せっかく先生の言うとおりにしたのに、何も言ってくれない」そんなふうに思われるのはもったいないですよね。

 私も初任のときに先輩の先生に教えてもらいましたが、「子どもは褒められたいからするだけ」なんです。先生に褒められたい、親に認められたい、すごいって言われたい。だからそれが原動力となり、社会的に行動したり、失敗せずに頑張ろうとしたりするんです。

 だから、指導が叱る指導だったとしたなら、「叱ると褒めるはセット」なんです。子どもの頑張りを、スルーしないようにしましょう。

してはいけない指導③過去の失敗を持ち出すこと

 子どもと毎日接している先生は、子どもの至らないところやできないこと、失敗しがちなことを覚えています。毎日繰り返されたらそりゃあ覚えます。

 だから、失敗を指導するときに「そういえば昨日も…」「この前も同じ失敗をして、こうしなさいって言ったよね!」などと言いがちです。毎日失敗を目の当たりにし、それに対して指導した立場として、私もそういいたい気持ちはとてもとても良くわかります。そして私も、過去の話を持ち出したことはあります。

 ですが、過去の話は動かすことのできない事実なので、それを持ち出すのはフェアーじゃないです。子どもの逃げ場を塞いでしまい、指導の効果を半減させます。それどころか、反発心を起こされてしまいます。

 指導は必ず「現在」あなたがこういう状況だから、こうしたほうがいい。というように、今で勝負します。過去の動かせない話を持ち出す卑怯な手で子どもを指導するのはやめましょう。

勇気をくじかずやる気を高める、失敗に対する指導法

 では、具体的なアクションプランとして、どのように指導するのかを例示します。

1.失敗の原因を考えさせる
2.失敗しないためにどうしたらいいか考えさせる
3.次からどうするかを決める
4.改善を褒める

1.失敗の原因を考えさせる

 失敗には必ず原因があります。いきなり教え込むのではなく、まずは自分で振り返らせましょう。そうすることで、失敗に対して注意を向けることができます。ここで子どもが失敗の原因を突き止めることができればいいですが、低学年には難しいかもしれません。そういうときは、考えさせたあと教師の考えを伝えましょう。

2.失敗しないためにどうしたらいいか考えさせる

 次に、スキルとしてどうすれば失敗しないかを考えさせます。これも1と同じように、まずは自分の頭で考えさせましょう。頭ごなしに教師が伝えても、効果はありません。「教わる」というのは、子どもにとっては「押し付けられる」に近いものでもあります。「自分で答えを見つける」そのフォローをするのが教師の仕事です。自分が見つけた答えなら、子どもの記憶や意識に定着するでしょう。

 ここでも、もし失敗しないための方法を考えることができない場合は、教師が解決法を提示します。子どもと一緒になって考える教師でありたいです。

3.次からどうするかを決める

 ここでは、「これからどうするか」を決めましょう。失敗を悔やまず、次にどうするかを考えるというスタンスが、子どもに勇気を与えます。自分のした失敗をいつまでもグチグチ言ってくる先生よりも、失敗を憎んで人を憎まず、次どうするかというアクションプランを前向きに考えてくれる先生なら、きっと子どもも頑張ってくれるでしょう。

4.改善を褒める

 低学年でも高学年でも、指導された直後はちゃんとやろう、と思ってくれるものです。そこで放置するのではなく、必ず改善しようという行動や表情を見つけて、「褒める」「認める」ということをします。

 これがないと、次に指導が入らなくなります。

素直に指導に従わない場合は?

 最後に番外編として、「素直に指導に従わない児童」について。

 素直に従わない理由は何でしょうか。そもそも、指導と一言で言っても、教科指導や生活指導、人間関係の指導など指導内容は様々です。それをいっぺんに論じるのは無理がありますよね。とほほ。

・担任に対する信頼感

・反発することがかっこいいと思っている

・挑戦反抗性障害

原因は色々ありますが、もし素直に従えない児童に対する指導の仕方についてご要望がありましたら、スキを押していただくか、コメントで教えてください。ご要望があったら書こうかなって思っています。

長文になりましたが、ここまで読んでいただきありがとうございます。


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