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改善しないと崩壊不可避? クラスが荒れる5つの兆候

 長年学級担任を経験していると、「あ、これを放っておいたらクラスが荒れていくかも」という予感じみたものがあります。ただ、なかなか今まで言語化できていなかったので、この記事は私自身のためのメモのような意味合いもあります。
 クラスが荒れる兆候とは、どんなものがあるのかを、出来る限りわかりやすく解説します。もし夏休み前までのご自分のクラスで当てはまるものがあったら、休み明けに是非重点的に改善に取り組んでもらえたらと思います。
 そして、問題点だけではなく改善するためのアクションプランも提案させていただきますので、もしできそうだと思ったらやってみていただけたらと思います。それではいきます。

授業中のおしゃべり

 皆さんのクラスは、授業中のおしゃべりがありますか?
 授業中のおしゃべりは、大別すると4つの種類があります。


①指示後や活動中の無駄なおしゃべり
②教師の話しに自然と口から出るつぶやき
③活動中の話し合い
④教師の問いかけに自由に反応するおしゃべり

 この中で問題になるのはどれでしょうか? ①ですよね。ですが、実は④も問題です。


①指示後や活動中の無駄なおしゃべり
 一番問題なのは、教師の指示後に無駄なおしゃべりをすることです。多少の言葉が出るのは自然なことかもしれませんが、教師が指示したことに対してずっとおしゃべりを続けるクラスは荒れます。


 これはうちのクラスであった事例ですが、例えば、「では、プリントをしまってください。」と指示した場合、プリントをしまうのは長くても30秒もあればしまうことができるはずです。


 ですが、しまいながらべちゃくちゃおしゃべりが始まってしまい、そのおしゃべりが止まらない場合もあります。それはよくありません。


 アクションプランは、「現状を伝えて練習をする」です。
 「今、プリントをしまってください、と指示をしただけなのに、全員がしまい終わって静かになるまで3分もかかりました。プリントをしまうのは30秒もかかりません。練習をしてみましょう。今しまったプリントを一度出してください。」
 「では、指示を出しますので、素早くしまいましょう。しまい終わったら、手を膝においておしゃべりをせずに待ちます。では、しまってください。どうぞ。」


 たいてい、やり直したら素早くしまうことができます。素早く終わったら、「よくできましたね。先生に言われなくても、素早くしまうことができたら先生はとっても嬉しいな。」と言いましょう。


 ポイントは、先生が「静かにしてください」と言わないと静かにできない状態を脱することです。先生が「静かに!」と言っているうちは、クラスに落ち着きは訪れません。


 なので、普段から「先生が静かにしましょうといわせないように」と言い、自分たちでさっと静かに行動できるよう声掛けを行っていきましょう。


②教師の話しに自然と口から出るつぶやき
 これは、授業中に指導していることに対して、子どもが自分の言葉で繰り返したり、言い換えたりして発言することです。いわゆる「不規則発言」です。私は基本的に不規則発言をさせないようにしていますが、子どものつぶやきにはいい面もたくさんありますので、そういうときは子どものつぶやきをうまく自分の話の中に取り入れて話を続けます。


③活動中の話し合い
 活動中に話し合いが起こることがあります。活動中に話し合うことはいいことですが、無駄なおしゃべりはやめさせましょう。


 あと、声の大きさに注意させましょう。グループでの話し合いにふさわしい声の大きさを活動前に指導します。そして、活動中に騒がしくなったら活動を止めさせて指導します。


④教師の問いかけに自由に反応するおしゃべり
 教師が「今日の朝ごはんをちゃんと食べた人?」と聞いたとします。その答えに、「はーい!」と答えるのはいいんですが…。

 その後「私ねー、今日の朝ごはんはパンだったの。いつもジャムパンにするんだ」「いいなー、うちはいっつもごはんで、おんなじのばっかりだから飽きるんだよね」などと、子どもたちが口々に勝手に喋りだします。それが休み時間ならいいんですけど、授業中にやるのはご法度。


 これについてのアクションプランは、「今聞いたのは、朝ごはんを食べたかどうかです。手を挙げるだけでいいんですよ」とぴしっと言うことです。

 または、「今騒がしくなったけど、誰かみんなの前で今話したことを言いたい人はいますか?」とフォーマルな発言にしてしまうパターンです。教師の問いかけにおしゃべりが続くようなクラスは荒れます。気をつけましょう。

教室の床に落ちているゴミ


 教室の床にゴミが散乱していませんか? 教室のゴミは荒れの兆候です
 なぜ教室にゴミが散らかると荒れるのでしょうか。それは、子どもたちが「教室にゴミが落ちていてもいい」と思っているからです。


 教室にゴミが落ちているのが平気になると、教室が荒れていても平気、というメッセージに簡単に変わります。それに、自分が落としていないゴミは無視する子が大半になると、問題を見かけても見て見ぬ振りをする児童が増えていきます


 割れ窓理論という言葉があります。割れ窓理論とは、軽微な犯罪も徹底的に取り締まることで、凶悪犯罪を含めた犯罪を抑止できるとする環境犯罪学上の理論のことです。


 これと同じことが教室のゴミにも言えます。ゴミを放置していると間違いなく教室は荒れます。アクションプランは、「教師が率先してゴミを拾い、そのことを子どもに話す」です。


「先生は自分が落としていないゴミも拾うようにしています。教室にたくさんのゴミが落ちています。自分が生活する教室でゴミが落ちているのが、先生は嫌です。みんなが生活する教室を大切にしたいと思っています。みなさんも、自分が落としたゴミを自分で拾うのは当たり前ですが、自分が落としていないゴミも進んで拾いましょう。」

折りたたまれたメモ書き


 教室の床に折りたたまれたメモ書きが落ちているのを拾ったとします。そこには、「今日遊べる?」「今日はむり」と書かれていました。担任として、このメモからあなたはどのように指導しますか?


 これは授業中に回っているメモです。つまり、担任の目を盗んでメモを回している児童がいる、ということです。もしこのようなメモを見つけたら、私ならこうします。


 声に出して読んで、なんだこれ、捨てよう。と言ってわざとらしく捨てる。
 空気を読む子なら、これで伝わるでしょう。


 もしクラスでメモ渡しが蔓延している状態なら、そうとうやばい状態なので、即指導します。

「授業中にメモを書いて渡している人がいます。メモを書いて話す内容は、今じゃないと話せないようなことでしょうか? 休み時間に話せるのなら、そうしましょう。もし話せないような緊急なことだったら、今すぐここで話し合いなさい。」


 私はこのような、「学習規律を乱す行動」には、厳しく対処します。

学校は勉強するところで、勉強の中心は授業です。故に、授業をかき乱す子は学校の機能を損なう行動をしていますので、最も厳しく取り締まります。そういう意味で、教師は授業を守る警察官の役割があります。


 こういう問題に対してヘラヘラ対応するのは、よくありません。それは教師の威厳を損ない、授業の価値を貶め、真剣に学習したいと思う子どもすべての思いと未来を踏みにじる行為です。


 それくらいの信念や覚悟をもって、授業を壊す行動に対して毅然と立ち向かうべき。


 もしそういう担任の指導に対して歯向かってくる子がいたら、その子の心を掴むことが授業を守ることですので、厳しく対応すると同時に、その子自身に寄り添いつつ指導していく場面も必要になってくるかもしれません

休み時間に教室や廊下を走り回る行動


 当たり前のことですが、人が集まる場所では安全に過ごさなければなりません

「安全に生活しよう」と子どもたち自身が思っているのなら、教室や廊下で走り回る行動を取らないはずです。もしそういう遊びをしている子どもがいたら、即止めさせるべきです。

 走り回る行動のあとに待っているのは、ケンカと怪我です。ろくなことはありません。子どもの荒れはそういう些細な遊びから発生していくことがあるので注意しましょう。

指示を徹底しない教師


 荒れを起こす最大の要因。それは、実は教師自身だったりします。
 例えば、「プリントをしまってください。」と指示したとします。その指示による行動が徹底されないまま、「では、教科書を出してください。」などと指示をしてはいけません。


 はじめは時間がかかってもいいので、指示を出したらそれが徹底するまで様子を観察し、声掛けをします。要するに、「担任の先生は支持を出したらそれが終わるまで次のことをしない」と子どもたちに学んでもらうことが大切です。


 教師自身が自分の指示を徹底しないということは、暗に「先生の言うことを聞かなくてもいい」というメッセージが子どもに伝わります。荒れ、待ったなしです。


 最初は時間がかかるかもしれませんが、後々効いてきます。まずは自分の指示を徹底しましょう。そして、指示を聞けた子を認める言葉がけを忘れないようにして、子どもの中に「指示を聞いて素早く行動する価値観」を育てていきましょう。

軍隊?


 ここまで読んでいただきありがとうございます。最後に、「これって軍隊式なんじゃない? 厳しすぎない? 子ども、息できなくない? もっとのびのびおおらかにしたら? うわ、教室つまんなそ」というご意見があるかもしれないので、簡単にそれに触れたいと思います。


 まず、軍隊式かどうかですが、軍隊は規律を重んじます。では、規律を重んじる組織や場面はすべて軍隊でしょうか? 規律とは、礼儀でもあります。教室では、それぞれお互いの友達が真剣に学習をしたいという思いを汲み取り、大切にする礼儀があることが、落ち着いた教室の条件なんじゃないかと考えます。


 そういう意味でいうと、軍隊かどうかより、お互いへの思いやりが規律を生む、と解釈してみてはいかがでしょうか。ちなみに、軍隊で規律を守るのは、規律を乱すとみんな死ぬからです。


 お互いを大切な存在だと考えているからこそ、軍隊は規律を大切にするのだし、そうあるべきじゃないでしょうか。

 厳しすぎるかどうかですが、この程度の厳しさは必要だと考えます。学習規律は絶対に守らせる。これが厳しいのであれば、学習が成り立たない状態が子どもにとって心地よい空間になる、ということになります。


 それって、家のことですよね? 家では、規律は程々に自由に過ごせばいい。ですが、授業は厳しい場面があることで守られる学びの権利があるわけです。


 私はアウトローのいいかげん教師ですが、子どもの学びの権利を守るためなら鬼になります。何も文句も言わず、一生懸命素直に課題に取り組む子どもこそ守りたい。努力に見合う結果を与えたい。だから、学習の権利は絶対に守ります

 ちょうど今世間的には夏休みですので、是非一度ご自分の学級を振り返り、もし参考になる点があるなら実践していただきたいと思います。

 また、記事を読んでいただいた感想やコメントを募集しています。ご意見もありがたいです。肯定的にせよ否定的にせよ、1人のあなたの考えを私は尊重したいです。是非よろしくお願いします。

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↑突然すいません。これ、今年1年生のうちの娘です。カワイイです。

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