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虐待問題を見て見ぬ振りし続けてしまった未来に、何が起きるのか?

虐待は、生きる人すべてにとって他人事じゃない。
そのことを伝えたくて、今日は考察をしていきたいと思います。

私は、社会的養護出身ではないので、痛いほど知っています。
いかに世の中で「虐待問題」の重大さが認知されていないかということを。

虐待だけではありませんね。
メンタルケアや精神的な心の問題は、日本の今の社会では残念ながら未だ重要視されていません。
いまだ根性論で、うつは甘えなんてことを平気で言う人間もいます。
メンタルヘルスを取り入れていたり、理解ある会社や団体は一部のみ。しかも、かなり恵まれている部類の職場でのみになるのではないでしょうか。

頼れる家族がない=社会で信用がない、
そう定義づけられてしまうこの社会で、虐待サバイバーの立ち位置は常に危うく、恵まれている場所へ辿り着く事は困難です。
本当にケアを必要としている人に届いていないのが現状だと思います。

虐待があったり、母子家庭であっても、身一つでのし上がって来ました、なんて話もたまにあるけれど、みんながみんなそう在れたらいいのに、と思われているからこそそんな人は脚光を浴びる。
珍しくなければ、注目もされないはずだから。
逆説的にそれがとても難しいことだと裏づけてしまっているようです。

そんな現状を変えるために、多くの人に自分事にしてもらうためにどうすればわかりやすいだろう?

そう考えた時、このまま虐待問題に何も追加の対策をしなかったと仮定したら、どうなってしまうのか。その可能性を追求してみようと思いました。

【虐待問題を見て見ぬ振りし続けてしまった未来に起こりうること】
①少子化に拍車がかかる。
②障害年金や生活保護に割かれる税金が増える。増税も?
③事件、犯罪が増える。

詳しく順に綴っていきます。

①少子化問題

これはすぐ考えてみれば想像がつくかもしれませんが、結婚を避けるサバイバーはやはり多いです。
サバイバーにとって、密なやり取りで信頼関係を築いていくのは簡単なことじゃないから。
社会全体での傾向としても、結婚したくない、子どもは欲しくない、そう考える若者はどんどん増えています。
私も、結婚したいと考えられるようになるには時間が必要でした。
もちろん、現代では若者の貧困という理由も大きい。
しかし、お金がないだけではなく、単に「結婚したくない」「結婚に夢を見られない」という人も多いのも事実です。やっぱり自分の家族での経験を基に考えを持つということは間違いなくあるんだろうなと思います。

結婚したくないし子供いらないという女性の心理

親の夫婦関係が最悪だった
自分の親の結婚生活が不幸せなものだと、子供は結婚したくないと考えてしまうでしょう。

喧嘩ばかりして憎しみあいながら同居する暮らしは、ストレスが溜まりやすく憧れるようなものではありません。

性格が似ている親を未来の自分と仮定して考え、「結婚したくない」と思うようです。
「結婚したくないし子供いらないという女性の心理って?」https://uratte.jp/posts/kekkon-sitakunai-kodomoiranai-onna#h2-4137641より引用。

親の喧嘩を目の当たりにしていたり、家庭が冷えきっている状況で育ってくると、家族をつくることに否定的になる気持ちは痛いほどわかります。
親同士が日常的に酷い喧嘩をしているのを子どもに見せることも、虐待です。
家族同士が対立していると、だいたい子どもたちも巻き込まれていく。
「〇〇がこんなこと言っていた」、「貴方はこちらの味方よね?」、「〇〇みたいになっちゃいけないわよ」……
酷く苦痛だったのを覚えています。

また、虐待を受けていたとしても、共依存になってしまう場合もあります。サバイバーが自覚することも救い出されることもなく、成人してからも尚、親の奴隷同然で生きているのを私は、目の当たりにしたことがあります。
救たくても、彼女は助けを求めようとしてくれませんでした。
彼女にはその自覚がない。
虐待と言っても精神的なものが多く、綿で徐々に首を絞められているような状態で、本人には危機感がない。
危機感がなければ、親と離れようともしないし、親もずっと子どもを放そうとしないわけです。

そんな虐待のグレーゾーンの実態。
最近でいう「毒親」を持つ人は世の中に多くいて、そんな記憶や状況が晩婚化や独身者の増加を加速させているのではないでしょうか。

「子どもより親のほうが、子どもと長く暮らしたがる傾向にある」「とくに母親の、息子に対する結婚希望年齢が遅い」というデータがあり、子どもが流されている、と見る。

 天野さんは、親たちの「妻さえ若ければ、孫の顔が見られる」という考えは幻想だと退ける。ここでも先のデータから天野さんが作成したグラフを示す。男性の初婚年齢が30~30.5歳の場合、出生率は1.7なのに対し、31歳になると1.5まで減少する。出生率には女性よりも男性の初婚年齢が影響するのだ。

 また男性も女性も自分の年齢が上がれば上がるだけ、結婚相手の年齢も同じ強さで上昇する。ほぼ2歳差で両者は強く連動しているという。

 天野さんは1990年代以降、「モンスターペアレント」の台頭とともに未婚化が急増したと見ている。親による過干渉の長期化、とくに母親による「理想」の押しつけが原因だ。「毒親問題は、日本の未婚化問題を考察するうえで、看過することのできない大きな問題」と結んでいる。
「毒親が日本の未婚化を進めている」より

また、自分が機能不全家族に生まれなかったからと言って、関係ないと思うのは全くのお門違いです。

それは、身近な友人含め、将来のパートナーがサバイバーである可能性が大いにあるから。
彼ら彼女らにはケアが必要です。その多くが過去に苦しめられているけれど自覚をしていなかったり、どうすればいいのかわからずにいたりします。それを理解するためには、まだ一般的に有名でない知識や、よりリアルな経験者の声を聞くことも必要になってきます。

知識がなければ、知らず知らず大切な人を傷つけてしまうかもしれない。
それを防ぐためにも、虐待のリアルと対応方法を知って欲しいと、私は思います。

でも、自分は結婚しないから関係ない?
そう思ってる方には、今現在進行形で自分が関わっている無関係な話ではないことを次の点で説明しましょう。

② 障害年金や生活保護に割かれる税金が増える。

人は皆、税金を払って生きています。
子どもがお菓子を買うときにも、消費税がかかる。納税は生きる人にとって避けては通れないものです。
税金は何に使われているのか。
その内容は多岐に渡りますが、そのうち虐待被害者へのケアやライフラインのための項目も含まれています。
虐待へのケアに対して動く児童相談所や警察、今後設立され運用されていく子ども庁の費用も、言うまでもなく人々の税金で賄われていますし、サバイバーが十分なケアをされずにそのまま社会に出てしまったことでメンタルの問題が発生し、傷病手当や生活保護、障害年金受給者になった場合もそうです。

虐待相談件数上昇も見れば、今後さらにケアのための税的負担は増えていくでしょう。増税にも拍車がかかるかもしれません。

では、虐待問題なんて無視すればいい?
ノータッチで、放っておけばいい?
税金をなぜそこに割かなければいけない?

そう思われる方、じつは心の隅で…という方、いらっしゃると思うので次のことにも言及したいと思います。

③事件、犯罪が増える。

犯罪者や治安の問題、というよりまず知って欲しいと思う事は、『日本で起こる殺人事件の半数は家庭内で起きている』事実です。

犯罪白書によると、殺人事件のうち家族間によるものは19年で54・3%を占め、30年前から15ポイント増えた。
上記記事より引用

もちろん、家庭内で起きている理由には、虐待以外もあります。
しかし、多くは今の価値観で光を当てれば虐待だとそう見做せるような、日本の伝統的教育やしつけがそこにあると思うんです。

にほんごワークより。https://nihongowork.com/

男尊女卑、長男優遇と女子蔑視や、しつけとしての外へ放り出す、どこか怖い場所に閉じ込める。ご飯抜き、お尻を叩く、などなど。

少し前の時代では当たり前のように行われていたしつけ。それは決して帳消しにできない事実です。
これらを背景に、家庭内での怨恨や一言では言えない関係のもつれからの暴力、殺人へとの繋がりは、誰も否定できません。そしてその捜査はもちろん警察が。つまり、あなたが支払っているその税金が、ここにも必ず使われているんです。

実際に私の母は、それで逮捕されています。
相手は、彼女の実の母親、つまり私の祖母でした。

犯罪や暴力沙汰にまで発展してしまうその裏には、必ずといって良いほどメンタル的な問題が隠れています。
ここで誤解してほしくないのは、「虐待サバイバーは犯罪者になりやすい」と思われてしまうこと。
断じてそれは違います。
そうではなく、ケアが重要なんです。

虐待を受けていたとしても、ほかに信じられる頼れる大人がいたり、そこに福祉などの安定した支援があったり、友人や仲間と出会い人間関係の安定した繋がりができれば、人は孤立せず、犯罪には発展しない。

しかし、家庭環境の劣悪さが、他人との社会との繋がりの希薄さが、犯罪に結びついていく…
それは酷く悲しい事実です。

逆に言ってしまえば、貴方が、多くの人が虐待問題に興味を持ち、関心と理解を寄せてくれれば、どこかで繋がることができ、それらは回避できるかもしれません。

なぜなら多くの虐待サバイバーが傷つき、ケアや支援を必要とするのは、周囲の無関心や無理解が大きい原因なのだから。

だから私は、多くの人に、当事者の経験を知ってほしいし、過去は無くせないもので、大人になってからも苦しめられるものだと知ってほしいと思っています。

誰に関しても虐待問題は無関係ではないということを、少しは論理的に説明できたでしょうか。

子どもたち、そして加害者側でもある親たちのケアをすることで、今後の世代への負の連鎖を断ち切ることができます。
そしてそれは結果的に私たちの国の未来や、血税の使い道に大きく関わることにもなります。

当事者のケアは正解がない問題なので難問ではありますし、里親や施設といった受け皿が圧倒的に足りていない状況もなかなか一朝一夕で改善できる簡単な問題ではないです。

しかし、私たち大人たちが意識を変え、行動を変え、一般常識が変わっていき、それが次世代に繋がっていけば、きっと未来は少しずつ良い方向に向かっていく。
そう、私は信じています。

今回も読んでくださりありがとうございました。

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