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【居場所論】「くすのき荘」と「町田くんの世界」で「居場所」を考える

【最近出来たお気に入りの場所で好きな漫画を紹介した話】

こんにちは。

私は、漫画が好きでよく読んでいるのですが、面白いと思う漫画は他の人にも知って欲しいと思う性質なので、機会を見つけてはおススメ漫画を知人に紹介しています。

最近では、近所のコミュニティスペースにて、珈琲を淹れておススメ漫画を紹介するプチ漫画喫茶のような会をやらせてもらいました。

この会を行った場所は、「くすのき荘」という北池袋の木造密集地域(もくみつエリア)にある木造建築のシェアスペースです。一階がシェアアトリエ、二階がシェアラウンジ兼キッチンになっており、路面に面した一階ロビーは会員であればイベント利用ができます。

※くすのき荘の外観とホームページ

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もともとオーナーが所有していた木造賃貸アパート「山田荘」を、住むだけではない面白い活用ができればということで、山田荘から徒歩3分の「くすのき荘」とともに「足りないものは街を使う」というコンセプトのもとで、「木賃文化ネットワーク」という活動を始められたのがこの場が出来たきっかけとのことです。

山田荘の住民になれば、別棟のくすのき荘のキッチンやシェアラウンジも利用できる一方で、くすのき荘のみを利用出来るメンバープランもあり、普段は、山田荘住民やくすのき荘会員たちが、食事などの生活使いやテレワークなどの仕事使いをしています。

また、地域の人などを招いたイベントも時々行われており、外部にも開かれたいわゆる地域の「サードプレイス」的な場にもなっています。

私は、以前ご縁があって、こちらの場を利用させてもらったことを契機に、地域の人や会員たちと適度な距離感で繋がれる居心地の良さと、会員のやりたいことを応援してくれる雰囲気に惹かれて、この春から「くすのき荘」の会員となりました。

会員となってから、さっそくこの場を利用して何かやってみよう思ったときに、とりあえず珈琲でも淹れながら好きな漫画を紹介してみようと思い立ち、小規模ながら会員向けにプチ漫画喫茶を行うことになりました。

そして、今回のプチ漫画喫茶で紹介したおススメ漫画が「町田くんの世界」という漫画です。

※町田くんの世界の表紙と紹介ホームページ

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「町田くんの世界」は、別冊マーガレットで2015年から2018年にかけて連載されていた少女漫画です。すでに完結しており、単行本が全7巻発行されてます。

あらすじとしては、主人公の町田くんは、物静かでメガネをかけている男子高校生です。成績は、中の下で、運動神経も鈍く、本人は得意なことは何もないと考えてます。  

ただ、この町田くんは、人のことをよく見ており、さりげなく手助けしてあげたり、一声掛けてあげたりを自然と出来る優しさを持っているため、周りの人からとても愛されている素敵なキャラクターです。

【集英社『町田くんの世界』1巻から引用】


私が感じる町田くんの魅力。それは、町田くんが「人が好き」であり、人に対して優しく、人の心を救いあげる言葉を持っていることです。

「町田くんの世界」には、両親が不仲で家に居場所が無いという女の子や、妻に先立たれて一人暮らしのおじいさん、惚れっぽい性格で告白してはフラれてしまう男の子などちょっとした寂しさを抱えている登場人物たちが出てきます。

そのような登場人物たちに対して、町田くんはその人を受け入れたうえで、その人が気づかない良さを言葉にして相手に伝えてあげます。

(例えば、告白しては振られることを繰り返してしまう男の子に対しては、『振られても告白し続けるなんて、誰にも負けないくらいの勇気だと思う』というふうなことを嫌味なくサラリと言ってくれます)

【集英社『町田くんの世界』1巻から引用】


このように町田くんの世界は、町田くんの優しい言葉で、寂しさや悩みを抱えている登場人物たちの心が救われていくという素敵なストーリーになっています

そして、「町田くんの世界」では、「居場所」というものがテーマになっていることが漫画の中で読み取れます。

そう考えるのは、漫画の登場人物で、家に居場所が無いと感じていて町田くんと出会うことで気持ちが救われる女の子がこんなことを言う場面があるからです。

「私は、雨の日が好き。休みの日とか雨って、外に出なくていい理由になる。『そこにいていいよ』って言われてる気がする」と。

【集英社『町田くんの世界』1巻から引用】


このセリフは、直接女の子に対して町田くんが言ったものでは無いですが、町田くんは、その人自身が気づかない良さを伝えてあげることで、同じように「ここにいて良い」という精神的な「居場所」を作ってあげているのだと思います。

そして、この「町田くんの世界」を「くすのき荘」で紹介したことで、「くすのき荘」という場も、人を受け入れる「居場所」であるという点では、同じだということに気がつきました。

コロナ禍で、物理的な距離(ソーシャルディスタンス)が求められる昨今でありますが、もしかしたら私自身が、『ただそこにいるだけで良い「居場所」』というものへの渇望を潜在的に感じていたらからこそ、地域の居場所である「くすのき荘」で、精神的な居場所を登場人物に与えている「町田くんの世界」を紹介したのかもしれません。

つまり、くすのき荘の会員になって「ここにいて良い」という、ゆるやかな承認を得ることで、コロナ禍の不安が続く中でも、何か一歩踏み出せるような気持ちになったのではないかと。

コロナ禍がまだ続く中なので、人を外部から呼んでという形は取りづらいですが、今後も機会があれば、また「くすのき荘」で、会員向けに漫画を紹介をしつつ、少しずつ自分の「居場所」を広げていこうと考えてます。

そしたら、いつかきっと町田くんが遊びに来てくれて、こう言ってくれるかもしれません。

「素敵な場で、とても面白そうな漫画を紹介していますね。僕にもぜひ読ませてください。」

と。



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