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【アニメ感想】「アルテ」〜自分自身の価値を自分で決めて、自分で見つける物語

こんにちは。

先日、オンラインサロンPLANETSCLUBにて、「好きなアニメを語る会」が開催されて、好きなアニメを語る機会があったのですが、最近見たアニメでとても面白くて素敵なアニメがあったので、ご紹介させていただきました。

それは、「アルテ」です。

こちら今年の2020年春に放送されて、今夏もTOKYO MXにて再放送中のアニメです。

あらすじは、イタリア・ルネサンス期の16世紀初頭フィレンチェにて、貴族出身の少女アルテは画家を志すのですが、当時の画家は女性が就く職業ではなく、さらに女性の生き方も制限されていた時代の中で、母親からも「結婚するのが女の幸せ」だとされて反対を受け、さらに周囲の人々からも「女性に画家が務まるのか?」という非常に懐疑的な目にさらされます。

アルテは、そんな逆境に負けずに、レオという気難かしくも、アルテに対して弟子としてしっかりと絵の技術を教えてくれる工房に弟子入りし、肖像画家として成長していく、というのが大まかなストーリーです。

アルテのアニメの見どころは、男尊女卑が当たり前とされていたルネサンス期のイタリアにおいて、「女のくせに」という心無い言葉や「貴族出身者がなぜ画家に?」という偏見を何度も何度も浴びても、立ち向かっていく女主人公アルテの痛快さだと思います。

絵を描くのが好きで、画家になるために、「自分の人生を自分で選択し、自力で切り開いていく!!」という決意を持って邁進していくアルテの姿に元気をもらえます。

その上で、このアニメを最後まで見て、私がより面白いと思ったポイントは、自分の力で人生を切り開いていくアルテが周囲の助けも得て「 自分自身の価値を自分で決めて、自分で見つける物語」であったという点です。

そのポイントが、最後のアニメ11話、12話にあったので、以下、最終回のネタバレを含むので、これからアニメをご視聴になる方は、ご注意ください。

【11話・12話のストーリー】

ベネツィアの名門貴族ファリエル家のユーリから、偶然の出会いから、その貴族の出自と女性画家という点が面白がられ、自分の姪のカタリーナの家庭教師およびファリエル家の肖像画家として働いてほしいと依頼があり、アルテはヴェネツィアにて半年間仕事をすることになります。

そして、ヴェネツィアでの仕事も順調に進んでいた最中、とある工房を見学している折に、工房の男性画家から『ほとんどの徒弟が見出されることもない中で、貴族出身で教養もあり、珍しい女性画家ということで、(仕事も得られることは)、本当に素晴らしく羨ましいことです』とストレートに言われてしまい、アルテは思い悩みます。

『今まで、「女で、貴族だから」という理由で画家として否定されてきた自分が、「女で、貴族だから仕事が手に入るのが羨ましい」という逆のことを言われると、今までの自分を否定されたような気がしてしまう(自分の画家としての実力を認められているわけではない、、、、)。』

しかし、そのように思い悩んでいる中で、アルテは、家庭教師として教えていたカタリーナから『私は、貴族という出まれは変えられない。アルテも羨ましいと言われても生まれは変えられない。それを受け入れて生きていくしかない。』と言われます。

そして、ファリエル家のユーリから、絵画の実力とともに女で貴族出身ということでカタリーナの心も開かせた点を高く評価されて、引き続きヴェネツィアに残って欲しいとオファーを受けます。

さらに、アルテに対して羨みの言葉を発した男性画家から、謝罪を受けるとともにアルテの絵画を高く評価され、『あなたの性別、生まれた場所、育った環境、全てを含めて、あなたの才能だ。私を羨ましがらせるその才能を、どうか大事にしてください』と言われます。

そこで、アルテは「自分が貴族出身かつ女性で、普通とは違うことに自分の価値がある」と気づき、「自分が貴族出身かつ女性であるということは、私の価値であり、その価値がある自分を信じて、画家として仕事をしていきたい」と決意を新たにします。

そして、ユーリからは偶然見出してもらったが、フィレンチェに戻って、偶然ではなく自分の力でちゃんと仕事を掴みたいと、ユーリからのオファーを断ります。

その後、フィレンツェに戻ったアルテは、病に倒れた師匠のレオに代わり、仲間と一緒に教会の壁画を完成させ、女は嫁ぐか、修道院に行くしかないと考えていた母親とも和解し、病から回復したレオにもその仕事を認められます。

そして、レオのように人を勇気付けられる絵を書きたいので、引き続き弟子でいさせて欲しいとレオに依頼し、今後もレオの工房にて修行を積んでいくことになります。

これが、最終の11話、12話のストーリーです。

この一連のストーリーで、私が感銘を受けたのは冒頭でも書きましたが、周囲の助けも得て「自分自身の価値を自分で決めて、自分で見つける物語」であることです。

アルテは、ルネサンス期の男尊女卑の男社会の中で、「女性であること」で生き方も制限を受け、「女性であること」で画家としての職業人も生き方も否定されてしまいます。

これは、現代の日本社会でも、あってはならないことですが、その人自身の属性(性別、障害の有無、性的指向、年齢など)で生きづらさを感じてしまうことが悲しいかな起こり得ると思います。

また、アルテが「女性かつ貴族出身であることで、着目もされ仕事ももらえて羨ましい」と言われ落ち込んでしまう点は、例えば、日本であれば「女性活躍推進」の名の下に女性の指導者的地位の割合を高めるというお題目があるあまり、実力で登用されたにも関わらず、負い目を感じてしまう女性とも重なると思います。(なお、私は、この国の「ガラスの天井」を「目に見える形」で壊していくためにも、女性登用の数値目標を掲げることは必要だと考えています。)

それでも、「自分の属性があるからこそ、自分には価値があると信じる」とアルテは、最終的に思えることができました。

もちろん、アルテ自身がとても前向きな性格で、反骨心も強いという点もあろうと思います。その上で、レオから工房で働くチャンスが与えられ、カタリーナやユーリといった自分の価値を気づかせてくれる人との出会いや環境があり、そう思えるようになったと考えます。

その人自身の属性で、もし苦しんでいる人がいるとしたら、まず属性の有無に関わらず、まずその人自身の価値に気づかせてあげられる環境があること、そしてその人がトライできるチャンスが与えられること、更にそのトライの結果に関わらずトライしたこと自体を認める周囲の協力があること、が必要ではないでしょうか。

そして、その結果、その人自身が「自分の価値を自分で認められる」と世の中であって欲しいと思います。

なお、アニメは12話で終えますが、原作となる漫画はまだまだ続刊中ですので、ご興味あればぜひ。

また、声優坂本真綾さんが歌うアニメ主題歌「クローバー」も前向きで、アルテにぴったりな素敵な楽曲です。

ぜひこちらも聞いてみてください。
(クローバーPV)


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