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雪の声がきこえた

窓の外を見てみると雪が降っていた
外に出てみると雪が降っている音が聞こえた
雪は静かに降るもの、長かった雪国暮らしのせいかそう思っていたので
サーっと雨降りの時のように聞こえる雪の音に少し驚いた

地面には雪は積もっていない 積もることなく
アスファルトに白い雪が吸い込まれていく その刹那雪の降る音は発生しているのだろう
そう思ったとき、ひときわ大きな雪の粒が一粒 足元の地面に落ちてきた
ボトッという音がはっきりと聞こえた。その一粒の雪はアスファルトにあたった瞬間
音をたてて消え去った
やはりそうなのだ
この雪の降る音は雪の粒が地面にあたって消えていくときの声。
一粒ずつだと小さすぎて聞こえず、ただ地面に吸い込まれていくだけに思えていたけれど 無数の雪の粒、その一粒ずつががたてるかすかなかすかな
声が合わさって 雪の降る音、になっているのだ
そんなことを気付かせるために さっきの大きな一粒の雪は私の足元に降ってきたのかもしれない

もう気付いてしまったのだからどうしようもない
雪は確かに声を上げている
地面にぶつかり消えていくその瞬間。それは叫びなのか。
もっと密やかなものなのか。
数えきれない雪の粒が地面に吸い込まれ。
その集合体。音として。

今まで気づくことができなかった雪の声が
迫ってくる
私の周りを包んでいる雪の声
消えていく悲しみが
一粒一粒を意識されることもなく消えていくそれが
音になって 聞こえてくる
気付かなくてごめん 私もあなたの気持ちがわかる
一緒に泣いてくれるの?
なんで泣いてるのなんて それぞれ違うよね
でも今ここで聞こえる声は私の声でもあるかもしれない

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