家族、夢、性

ひどい夢を見た。実家が、地元の同級生の家族に売り払わらわれる夢だった。その家族は、歯医者を経営していた。僕の実家は完全にリフォームされて、全く別の家になっていた。大きな、大人10人くらいは入れそうな湯船とシングルサイズくらいのベッドが一緒に風呂場に置かれていた。すべて人様の物になった家の中で、母がまだその家にひとりで暮らしていた。その家には母しかいなかった。所有権は、その歯医者の家族に移っているはずなのに、住んでいるのは母だけだった。

ここで場面が切り替わる。僕と母は、もともとの実家のリビングにいた。今と変わらない実家のリビングで、僕と母は向かい合って座っていた。父が、黒髪センター分けの男性アイドルみたいになって、台所から出てきた。本来の父は白髪で、禿げ頭だ。服も、何か総柄の派手なシャツを着ていた。僕は混乱して、気絶しそうになった。

場面がまた切り替わる。実家のリビングで、父が僕に手紙を渡していた。大学からの手紙だぞと少し語気を荒げながら、僕に渡してきた。会話には加わらないが、母がリビングの隅でイスに座ってこっちを見ていたような気がする。大学から何か届くと、両親は僕の成績が悪すぎて、退学になりそうだった時のことを思い出すらしい。その時の大学からのお知らせを連想するんだと思う。手紙には、僕が大学の学生寮にDVDプレーヤーと10本ほどの映画のDVDを置いたまま卒業してしまったので、不要であればこちらで処分すると書かれていた。必要であれば、郵送するので申請するようにも書かれていた。DVDは、どれも1950年代から60年代の日本映画だった。大島渚、吉田喜重、あとはよくわからなかった。若松孝二もあったかもしれない。すると父は、手紙のDVDリストの中に大島渚の映画が含まれているのを見て、急にテンションが上がり、なにがしかを興奮したように話しながら、肩を組んできた。僕が父との身体接触を気持ち悪い、と感じた瞬間、夢も終わった。

現実の世界ではインターホンが鳴っていた。簡易書留が届いた。僕は素っ裸だったので、急いで服を着て、書類を受けとった。