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映画『怪物』をクィア的視点で鑑賞

ほぼ一年ぶりの投稿です。気づいたらサボってます。
さて、6月2日に公開された映画『怪物』を観てきました。
何も前情報がない方がいいかなと思って、本当に何も調べずに行って見終わった後に調べましたら、カンヌ国際映画祭のクィア・パルム賞受賞作でした。何でそんなことも知らないの私。なんかぼーっとしてましたね。
このクィア・パルム賞というのは、LGBTQがテーマの作品に与えられる賞です。
この投稿はネタバレばかりですのでご注意ください🙏


まず、めちゃめちゃいい映画だったかどうかというと、なんかモヤモヤ。見終わったあとに「良かった!!!」とならなかった自分の長年の勘を信じたい。そう思っていたら、意外と同じ意見を持った人がたくさんいました。

どうしてそこまで響かなかったのか。
①少年たちが美しく描かれすぎてるのが怖い
②怪物は誰?という推理部分?が強くて、事の真髄の少年たちの苦悩(LGBTQのテーマ)が薄れている気がする

①は是枝監督あるあるかもしれません。でも、今回のテーマ的には混ぜるな危険かと。
②についても監督の考え方次第で、ゴリゴリにテーマに触れる映画もあれば、節々に散りばめるパターンもあるので後者だと思います。ただ、もう少しこの2人のパートに時間をかけてほしかった。

モヤモヤしてるのは、この映画を見た人が②の見せ方かつ①の要素があり、最後は少年たちのまばゆい映像で終わったのなら「美しかったね、エモかったね」で感想が止まってしまうのでは?と危惧しているからなのかもしれません。
タイトル的に、真実があったとしても見方によっては怪物(誰もが怪物になり得る/社会の仕組みが人を怪物にさせる)というのが観客に伝えたいことかなと思う一方で、少年たちの苦悩に切り込んで、社会に問題提起しないと性的マイノリティの悩みを“エモい演出として利用した”と捉えられてもおかしくない。
どちらも美少年で純粋な子どもな点も。

結論、今作は色んなことを複合的に考えて、手放しで「良かった!」とは喜べず、ただ、キャストは素晴らしかったなと。子役もいい演技するし、個人的には瑛太が刺さりました。

この記事ではLGBTQについてフォーカスして書きましたが、この映画はそれだけじゃないという意見もわかります。実際にいじめ、シングルマザー、学校の闇…色んな問題が絡み合っていて、さまざまな形を映しています。
ただ、セクシュアリティの問題がこの映画の核となる部分なことも間違いありません。

私はこのツイートを見て反省したのですがーー

やっぱり、あの少年たちは映画の中のファンタジーでは止まらないし、ゆえにこの映画が伝えたい内容は、事前の告知とかあらゆる広報・メディアでしっかり届けてほしい。そう思いました。

ラストのシーン。私は希望だと捉えましたが、考えれば考えるほどどちらにも取れる気がして。
君たちは生まれ変わらなくてもとっても素敵なんだよ。
そういうメッセージが今も悩める誰かに届きますように。

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