見出し画像

あいみょんの貴方解剖純愛歌が好きだよ

 ねえ? どうしてそばに来てくれないの
 死ね。 私を好きじゃないのならば

 上記はあいみょんが歌作詞作曲をした『貴方解剖純愛歌 ~死ね~ 』の歌詞の一文です。
 恥ずかしながら自分があいみょんを知ったのは『愛を伝えたいだとか』からで、それもYoutubeの急上昇ランキングにあったのを偶々再生したとかいうとてもつまらない理由だ。定点カメラで撮影されたキャンピングカーで歌い、踊り、跳ね回り、ライトセーバーを振り回す姿はどこからどう見てもポン中にしか見えません。中学生のときの道徳の授業で危険薬物について解説するビデオを見た記憶が蘇ります。
 20歳でシンガーソングライターとしてデビュー、そのキャッチーな経歴と異性に対しての愛情を歌った鮮烈過ぎる曲の数々は椎名林檎を彷彿とさせます。心の表面を撫でるなんていう表現に唾を吐き、ブスブスと突き刺してくるような歌詞は、強い感情を当てられないとなかなか震えない歪んだオタクには効果てきめんです。言わずもがな僕もそう。
 あいみょんの曲の中で特にお気に入りなのが『貴方解剖純愛歌 ~死ね~ 』なんです。今どき珍しいとも言えないメンヘラ人間の歌で、人によっては自らのテーマ・ソングとして扱う人がいてもおかしくない雰囲気がある。
今どき珍しくない、というのもこの手の『病んでる人間』が一人称のソングは表現に違いがあれどいつの時代もあって、ネットオタク世代はボカロがその役を担っている。毒占欲とかリンネとか。
 ここまでストレートな、爽やか清涼飲料水のようなメンヘラソングはなかなかお目にかかれない。メンヘラソングといえば転調と電波の叫びが至るところにあって、辞書を引かないとわからんような熟語で描写される鈍色の感情が定番だ。そういうのを全てふっ飛ばして、ど真ん中にクレーターを作ったのがあいみょんの『貴方解剖純愛歌 ~死ね~ 』なんですね。
 丁重な歌い出しから、低くて伸びのある女声で「しね~~」なんてサビがある曲が好きにならないわけがない。
 特定の誰かを差さずとも叫びたくなる。しね。


寿命が伸びます