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のの花だより5月号

5月は5・5・5!

生命力旺盛な茂みの中にひっそりと、草イチゴの白い花が散って、小さな可愛い実がふくらみはじめたのを、浮き浮きして眺めているこの頃です。


さて、表題の5・5・5とは、整体で5月によく調整する、頭の5番調律点、胸椎5番、腰椎5番のこと。いずれも呼吸と発汗に関わるポイントです(皮膚は呼吸器です)。

5月の理想は、来たる梅雨と夏の時期をスラスラ快適に過ごせるように「しっかり汗をかける身体」になっていること。梅雨に入り湿度が上がるとと汗が出しにくくなります。すると腎臓に負担がかかって浮腫やだるさに繋がることもあるので、今のうちに上手に汗をかける身体を作っておきましょう。


頭の5番は後頭部の一番盛り上がったところの少し下あたり。のび太君の昼寝ポーズをイメージして、自分で手を当てて愉氣も出来ます。


胸椎5番は肩甲骨の真ん中あたり。自分では難しいので、ご家族と手を当て合うのがおすすめです。肩甲骨はがし体操など、自分で肩甲骨の可動性を高めてこの箇所を刺激することもできますが、ここに関しては是非とも「人に手を当ててもらう」ことを試していただきたいです。何故って、とてつもなく快いですから。

私は何年か前に「息が通りにくいから」と、夫に、この胸椎5番に手を当ててもらったまさにその時、野口晴哉が愉氣という言葉に愉快の「愉」という字を使った意味を知りました。手を当ててもらった途端に笑い出したくらい、パーッと氣持ちが明るく楽しくなったんです。


やり方は、掌(たなこころ)の真ん中を、肩甲骨の一番狭く寄ったところの少し下に当ててもらいます。細かい位置は、お互いが一番快いと感じるその場所が正解です。呼吸が深くなって、氣が済むまで、氣が澄むまで行います。


腰椎5番は骨盤の上端あたり。ほぼ全ての腰痛にも関連する場所です。この骨の両脇に呼吸活点があるので、掌を当てゆっくり息をして心地良さを味わってください。

太ももの裏側をしっかり伸ばすことでも、腰椎5番を刺激することが出来ます。壁ぎわに寝転がって脚を壁につけて90度に上げて伸ばしても良いですし、思い切り出来る限りの大股で歩くのもおすすめです。特に左脚を意識して伸ばしながら歩くと良いです。



5・5・5が整って、息がしやすく上手に汗をかけると、身体の余分な塩分が抜けて、筋肉の緊張がほどけ、深く眠れるようになります。

リラックスしきってぐっすり眠れた身体は、翌朝シャッキリと引き締まって良く動けますが、強張ったまま眠ると起きても疲れが抜けず、だるいままの身体を引きずることになります。当然、生き心地は良くないですね。


引き締まるべきときにサッと引き締まり、リラックスしたいときにはスーッと緩める、緊張と弛緩のスムースな弾力のある身体、張弛 = 調子 の良い身体をこの爽やかな季節のうちに作り上げておきましょう。


「わたし」の内に還る時間

日本では4月が入学、進級、人事異動などの時期にあたり、生活環境が変わることが多いので、ちょうどゴールデンウィークくらいに新生活の緊張や疲れがドッと出ることがあります。

うちも昨年は引っ越して一か月のこの時期に、子どもたちも私も一週間くらい寝込みました。

学校の登校時間も前より大幅に早くなり、様々な手続きや家の整理なども忙しく、相当緊張して無理をしていたんですね。

そして実はその時に、今のような形の整体を伝える場と「感じて動く」フリースクールの構想が生まれました。


新しい環境に入ったり、出会いがあったとき、私たちは無意識に警戒して身構えたり、つい頑張り過ぎて「ちょっと盛った自分」になっていたりします。

頑張ったり、ちょっと背伸びして自分を盛ることは成長に繋がるので決して悪いことではないのですが、その緊張が解けないままになってしまうと、身体は熱を出したり、下痢や蕁麻疹、腰痛などの手段で強制的に緩めてきます。

もちろん、それらの症状を抑えずにしっかり出し切って経過させれば身体はサッパリと、よりバージョンアップして元氣になります。しかし本来なら、そんな荒療治になる前に、自分の中の強張りや滞りに氣づいてあげれば、もっとスラスラ流れていくのです。


そう、氣づけばそれだけで流れます。揉んだり叩いたりせずとも、その箇所に意識を向ければ、そこに血が集まって流れが良くなります。

なのに私たちはなかなか氣づかないのです。痛みが出てやっと氣づくくらい、自分の内側に無関心で鈍いのです。

私たちの身体の中には血液のほか様々な体液や、それらの大もとの生命エネルギー「氣」が流れて巡っています。


この内側の流れ、普段の忙しい生活の中ではほとんど意識しませんが、お茶や書道、踊り、武道、ヨガなどをされる方、職人さんたちはよく感じていらっしゃると思います。


整体では「活元運動」と言って、無意識に任せて身体が勝手に動く運動方法があります。そこから派生して、もう少し明晰な意識状態で、自分の中のエネルギーの流れを感じ見つめながら、その流れのままに身体を動かしていくダンスが一昨年、開発されました。

私が創始者の方とともに初めてそのダンスを行ったときは、心の澱が洗い流されたように世界がキラキラ輝いて見えました。内側の流れのままに動くこと、自分の中のすべてを認め、ゆるし、解放することが、こんなに心地よく、優しく、幸せなことなんだ、と驚きの体験でした。


現代の生活は、あまりにも自分の外側に合わせることを押し付けられています。人を工業規格のように、時間や数値で縛り、そこに当てはめることばかりが尊重されて、一人一人の内的な欲求やタイミングは無視されます。

感情までも「そんな風に思ってはいけない」などと、誰かにとって都合の良いだけの「正しさ」の前で亡き者にされ、さらには幼少から絶え間ない情報の洪水を浴びせられて、それを処理することに内側のエネルギーを消耗しています。そんな状態で「やりたいことをやれ」と言われても動けるわけありません。


私たちは奴隷でも家畜でも工業製品でもないのです。大げさに聞こえるかもしれませんが、自分の内側に耳を澄ませ、その流れのままに身体を動かすことは、自由と尊厳を取り戻す力になります。そんな時間を、日常の中に少しでも持っていただけたらと思います。特に、心にたくさん溜めているものがある方には。

そんなわけで、今月は親子クラス、こどもクラスだけでなく、10日のセルフケア茶話会でもこのダンスをお伝えいたします。今後も何度か機会を設けますので、タイミングの合う時に是非ご参加ください。

https://nonohanaclub.jimdosite.com/  

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