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インナーチャイルドを抱きしめる

自分の子どもを抱きしめるとき、幼少期の自分自身を抱きしめているような感覚になることがあります。

私は子どもの頃、親の愛情が欲しくて右往左往していたのだけれど、結局それは与えられないまま大人になり、自立してからは人にも仕事にも恵まれて楽しく過ごしていたのですが、心にぽかっと空いた穴は癒えることがなくそのままだったんですね。

そしてたまにその心の穴からひゅーっと冷たい風が吹いて来て、ああ、これは良くないな、と思うと案の定、嵐のように吹き荒れて、強風が木々をバサバサなぎ倒すように感情が乱れて大変なことになっていました。

幼少期の自分が親の愛情を欲しがって暴れまわるんですね。幸せそうな家族を見たりすると特に。

インナーチャイルドは、なぜ?を繰り返し、なぜ自分は愛を感じられなかったのか、なぜそんな自分をなかったことのように普通の生活を送っているのか、過去に引きずられないように日々を過ごす努力をしている現在の私を責めるように、ものすごく主張するのです。

何度かカウンセリングに通ったりしたけど治ることもなく、どうしようもなくて、それはもういろいろと良くないことをしたり、大切な人に迷惑をかけてしまったりしたのだけれど… 息子が生まれてからはそういうことが全くなくなりました。

親になったから自制しているというわけでもなく、息子を愛することによって自然と、親になった私から幼少期の自分自身へ愛を与えることができているのだと感じます。

今まではインナーチャイルドが泣き始めると私自身も泣いていたのだけれど、今では、よしよし寂しかったね、と抱きしめることができます。

親になることで、幼少期の感情を俯瞰して見れるようになったようです。

仕事でお世話になっている人に以前、自分が親にならない限り、人は歳を重ねても属性は子どもままなんだよ、と言われたことがあり、そのとき若く子どももいなかった私はピンとこなかったのだけど、親になった今、自分の属性が親に変わったことをことをはっきりと感じます。

それでもまだ、過去の辛い出来事を夢で見たりするとガツンときて、泣きながら夫に抱きついたりしたこともあるけれど、隣ですやすや寝ている息子の寝顔を見ると、すーっと感情が落ち着いてパニックが収まり、辛かった過去の自分を抱きしめることができるようになりました。

自分がこうなるとは出産前は想像できなかったです。

まだ親になったばかりの私は、慣れない子育てにあたふたしたり、仕事に追われてバタバタしたり、夢で過去を思い出して未だに眠れない夜を過ごしたりしながら、いつでも両手を広げて、息子とかつて幼かった私自身を不器用に抱きしめようとしています。


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