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光のほうへ

私の人生のバイブルとなった小説は、間違いなく
東野圭吾の『白夜行』

或いは、大学に入る1年前ドラマきっかけで好きになった
湊かなえの『Nのために』

どちらの作品もヒロインが様々なハンディキャップを抱え、劣悪な環境にいながらも、自分の力でなんとか上の世界へと這い上がっていく物語だ。

その生き方は、
「清く、正しい」とは言えないが、
「賢く、強か」に映った。

そういう女性像に惹かれたし、田舎者である私を奮い立たせてくれた。

ミステリー小説で暗い雰囲気が漂うなかにも
唯一、救いとなるのが、どちらのヒロインにも
異性の”絶対的な味方”がいること。

白夜行の雪穂は、亮。
Nのためにの杉下希は、成瀬くん。

古くからの知り合いで両人に罪を共有している
ヒロインを絶対に裏切らない強い味方だ。

さらに、『Nのために』の杉下希は
大学時代に、暗い世界から自分を引き戻してくれる安藤という男子学生と出会い、淡い恋心を抱いたり、就職面でも指針となる人物達と運命的な出会いを果たす。

小説からはなれて、
実際のところでは私には亮や成瀬くんのような
古くからの知り合いで、私の背中を押してくれるような心強い味方はいなかった(幼馴染はいたけれど)し、

上京して大学に入っても、
安藤みたいな特別な男の子とは出会えなかった。

むしろ、大学に入って少し経って感じたことは
大学生は皆同じだ、ということ。

大半は単位を取るために惰性で授業を受けていたり、
恋愛面では、付き合ってもいないのに手を繋いだりキスをしたり、それ以上をしてしまっている人もちらほらいた。それも、平然と。

皆、高校までにそれなりに恋愛テクニックを駆使してきているから、良い雰囲気に持っていくのが巧みなのだ。

そんな中で私は恋愛上級者ではなかったから見様見真似で流されるままだった。今思えば、大学時代はまともな恋愛をしていなかったな、とつくづく思う。

何が言いたいかというと、
現実では、ドラマや小説の登場人物のような
”特別な存在”とはなかなか出会えない。


先月、誕生日を迎えたのだが、
最近密かに感じていたことは歳をとるたびに人生の充実度が下がっているというか、楽しみが減ってきているような気がする。

人間関係は会社の同僚や上司、大学時代に仲の良かった友人に限られるし、歳をとるといった点で女の価値は下がるし。。

刺激や新鮮みがない。

もちろん、いまは休職をしていて
自分のライフステージが止まっていることへの不安や不満、焦りもあると思う。


だけど、もう少し回復したら、
楽しいことを見つけていかなきゃな。

自分で行動しないと現状は何も変わらないから。

ドラマや小説のような特別な存在はいないけれど、
それでも、この世の中で生きていくしかない。

これから先も
自分の身は自分で何とかしなくちゃいけないし、
人生を途中で投げ出すわけにもいかない。

小説の中に夢を見た幼い頃のわたしに恥じぬよう
過去は振り返らないし、田舎になんか帰らない。
東京で女手一つで生きていくというリアル。

だから、少しでも自分の心地良い選択をして、
希望を持って進んでいきたい。


ほんの少しでも、
光の方へ。

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