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【前編】港区に引っ越して子どもも産んで勝ち組になれたつもりだったけど全然幸せじゃない。

私の人生は成功した方だと思っている。
生まれ育ちは山梨で、大学は東京の女子大学。
卒業後は地元の地方銀行に就職。

大学生の頃にインカレサークルに参加し、後に夫となる男、陽介と出会った。
学生時代、陽介とはただの友人止まりだったが、卒業から5年後に友人の披露宴で再会したことをきっかけに交際が始まり、以後2年間は山梨と東京で遠距離恋愛。

私の30歳の誕生日には、ティファニーの婚約指輪と共にプロポーズを受け、結婚を機に私は田舎の山梨とオサラバし上京。晴れて都会の女となれた。

この時はまだ港区ではなく杉並区で1LDK賃貸暮らしだったけど、23区に住んでいるというステータスだけで私の心は満たされていた。

だって地元組から見た私は、紛れもなく勝ち組だから。

平均年収同士の男女が結婚して、子供を2人以上産んで、戸建てとファミリーカーを買ってスローライフを送るなんていう井の中の蛙のような田舎マニュアルの人生を、私は歩んだりしない。


あ、ちなみに23区といっても葛飾区と足立区は論外ね。
あんな治安も悪くてハザードマップ真っ赤なところに住んでて「23区内在住です」なんてドヤれないし、もしそれを自慢げに話す人を見かけたら共感性羞恥で血圧上がりすぎて死んでしまいそう。
そして23区外の東京はもはや千葉埼玉。町田は神奈川。
23区外に住んでる人がインスタやツイッターのプロフィールに「都内在住」って書いているのを見ると虫唾が走る。実質千葉埼玉神奈川県民が都内在住を名乗らないでほしい。区内と区外は同じ東京でも別物よ?東京全体のマンション平均価格は1億4千万に対し23区外の平均価格は5500万。神奈川より安い街のくせに東京ヅラするなんて、まるで千葉のくせに東京を名乗るディズニーランドみたいね。




さて、ここからどうやって港区に住むことになったかと言うと、結婚して1年が経ち、私が31歳になった頃に妊活を始めたのがきっかけ。
港区は
①お互いの通勤に便利な立地であること(夫の職場は汐留なので電車で6分、私の職場は新橋なので電車で7分)
②子育てサポートが他区より充実していること
を理由に夫を説得し、田町駅から徒歩10分、築40年、2LDK北西向き家賃14万のマンションに引っ越した。
本当はもっと良い条件の物件に住みたかったけど、夫が家賃15万を超えるところは頑なに拒否していて、家賃15万位内で港区となると上記のような物件で妥協するしかなかった。
さらに欲を言えば本当はタワマンに住みたかった。でもタワマンの家賃は1Lですら20万はかかるし、20万台じゃタワマンの低層階にしか住めないし、低層階に住むくらいならタワマンなんて住まない方がいい。
だって、タワマン低層階に住んでる人っていかにも「タワマンブランドに必死にしがみついてます」感が出ていてダサいじゃない。そしてそういう人に限って「エレベーター待つ時間が短い方がいいから低層階にしたの」って見栄張りがち。
エレベーターの待ち時間すら惜しいほど切羽詰まった忙しい日々を送ってるなんて、身の丈に合わないマンションに住んでる住民は大変ね。


そんなこんなで念願の港区に引っ越しして妊活を始めてからは3ヶ月で妊娠し、その後もお腹の子供は順調に育ち、無事に産休に入った。

産院は「出産御三家」といわれている愛育病院で産むことにした。芸能人や皇室も御用達の産院らしい。
出産費用は夫に出してもらうので、愛育病院での出産は100万円以上かかることを夫に説明した。
「ちょっと高すぎじゃない?他の病院じゃだめなの?」小言を言われたが、「産むのは貴方じゃなくて私だよね?出産って命懸けなんだよ?私か子供、最悪どっちも死ぬことだってあるんだよ?それなのにお金を惜しむなんて私たちの命をどれだけ軽く見てるの?!」と返したら黙って承諾してくれた。
身体を痛めて子供を産むことができない男は、出産に関しては口を出さずにお金とプッシュギフトだけ出せば良いのよ。

それに産院のこだわりは譲れなかった。
インスタでプレ花嫁時代から繋がっている都内在住の相互フォロワー達は、挙式を終えて卒花した後、8割がママアカに変化していく。
その中でも特にキラキラレベルが高い人は「山王病院で出産しました」「愛育病院で出産しました」という、いわゆる「出産御三家で産みました」投稿をしているので、私も一勝ち組の女として、彼女たちと同じルートを辿ってみせたかった。

上京当初は東京に引っ越してきただけで満足していたけど、それは「東京の私」と「田舎の人達」を比較して、私の方が明らかに格上だったから。
でも今の私との格付け比較対象は田舎民ではなく、同じ都内の人間たち。
私はこのステージの中でも勝ち組になりたい。
それを叶えるための手っ取り早い手段が、キラキラインスタアカウントのような人生をなぞることだ。



キラキラインスタアカウントのような人生とは何か。


まずはプロポーズされた後にインスタで花嫁アカウントを作るところから。
初投稿は「プロポーズ報告」。
リッツ・カールトンとかヒルトン東京でプロポーズされました!などが良い例。もちろん薔薇の花束も必須。

そこから怒涛の「婚約指輪の紹介」「ドレス試着写真」「ウェディング靴の紹介」「デコルテ美容」「美容ルーティン」「前撮り、後撮り」そして「挙式の写真」を投稿していく。
結婚式場は格式高いホテル御三家で。(ちなみに私達の挙式会場はホテルオークラ。)


そしてウェディング関連の投稿ネタが尽きたら、今度は1〜2年後にママアカにチェンジ。


まずは出産御三家での出産報告。
その後はプッシュギフト紹介。夫から贈られるプッシュギフトはジュエリーかバッグが主流だけど、中でも最近人気なのはヴァンクリーフ&アーペルのアルハンブラのネックレスかピアスか指輪。
余談だけど、初めてアルハンブラのネックレスを見た時は、幼稚なクローバーのデザインに正直魅力を感じなかった。
これは偏見だけど、アルハンブラを持っている人たちの半分は、おそらくアルハンブラのデザインが大好きだから手に入れたのではなく、アルハンブラを持っているというステータス、いわゆる”地位財”目的で手に入れたように見えるのは私だけかしら。アルハンブラは港区の制服ジュエリーだし、憧れる気持ちはわかるけどね。

プッシュギフトをもらった次は、繭みたいに布に包まれたニューボーンフォトを載せたり、エルメスのファーストシューズを載せる。
ベビーカーはサイベックスのミオスかyoyo。
子供服はおしゃれデザインのものに加えて、ラルフローレン、ファミリア、ミキハウスを取り入れる。
ちなみにラルフローレンといえば、トイザらスで「POLO」って描かれた子供服が売っていて、あれはポロラルフローレンとは全く無関係なブランドなんだけど、田舎民はそんなこと知らずに嬉々としてトイザらスのPOLOをポロラルフローレンだと思って買ってそう。

そしてキラキラママは高確率で子連れ海外旅行をする。旅行先の一番人気はハワイ。
そして冬になったら母親はモンクレールかタトラス、カナダグース、プラダのダウンを着る。


とりあえず、ここまでが子供が1歳になるまでのキラキラ人生。
これらを一つ一つこなしていくことで、私の勝ち組人生は完成されるの。








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