わたしに関係のないところで

愛ってなんなのだろうか。ずっと愛について語っているのにいまだに分からない。

「わたしをすきなひとが、わたしに関係のないところで、わたしのことをすきなまんまで、わたし以外のだれかにしあわせにしてもらえたらいいのに。わたしのことをすきなまんまで。」/最果タヒ「夢やうつつ」

これが私の愛の前提みたいな場所にずっとあったけれど、その前提はありつつも他人と生きていく覚悟みたいなものを手に入れることもしていた最近だった。他人と生きていくこと。他人に愛を与えること。そんなことを考えていた。

私にできることなんてなにもない。私じゃなくてもできることばかりだ。それだけなら問題ないのかもしれない。でも、私だから負わせてしまう傷がたくさんあった。私じゃなくてもいいということではなくて、私だからだめだった。他人の隣にいながらその人を愛するには私はあまりに未熟だった。

愛を与えることができない私でごめんなさい。でも、私はもうしあわせでいてくださいと祈ることしかできない。どうかどうかしあわせでいて。そこに私は必要ない。私はいない方がいい。そんなことばかりだ。

愛を与えることができなくても、私はその人のことが好きで、その人も私のことが好きで、それでいいよね、と思えるひとも何人かいる。そういう人が2人くらいいればそれでいい。私はもう、与えられない愛を贈ろうとすることに疲れました。私には無理だ。私は私を愛したくて、でも今の私じゃ愛せない。こんな私で他人のことを愛するなんてことがまず難しいことなのだ。

離れることが愛なんだと思います。あなたの視界に私は必要がない。あなたの人生に私は手を触れ合わせるべきじゃない。私はあなたがしあわせでいたらいいと思うし、あなた自身や周りの素敵な人によってあなたがしあわせに笑っていれば私もすごく嬉しい。さみしいよ、さみしいけれどそれしかないよ。干渉は愛じゃないよ。

誰の人生にももう干渉したくないし、見なくていいし、知らなくていい。絶望を少し持ってもらうための発信ツールとしてのSNSは必要なのだけれど、他人の生活を覗き見するツールとしてのSNSは私にとっては害でしかない。はやくやめたい。

他人との関わりに疲れました。もう1人にさせてほしい。私は私でいたいだけなのに、たくさん責められている気になって、私はSNSに殺されているようなものだと思う。

離れます。いろんなものから距離を置きます。それで失われていく関係ならそれまでだったということで受け入れるつもりだ。私は私の行動の責任なんてとれないけれど、私の行動の結果としての出来事はそれなりには受け止めていけたらと思っている。

上手く関わることができなくてごめんなさい。私が離れることを望んでいない方がたくさんいてくれることは知っていて、それでも私は他人に不誠実を重ねていることにもう耐えられない。誰のことも大切にできない私に、愛される資格なんてないよ。そう思ってしまうけれど、それだけではないはずで、私は私を愛していけるはずだ。愛されようなんて贅沢は言わないけれど、自分で自分の生活を少しずつ豊かにしていけたらいい。

何度も言うのだけれど、完全な断絶ではなくて、私にはわりと気軽に甘えられる人も少ないながらにいるから、その人たちの存在に救われながら生きていくつもり。

断絶が愛だよ。関わらないことが愛。私は私のことが好きで、しあわせになりたくて、でもとりあえず今はそれは少し難しいみたいだ。その呪いを大切な誰かに押し付けてしまいたくない。私は私だけでこの呪いをなんとか誤魔化したりやわらげたりしながら生きていく。他人に呪いをこれ以上持ってもらおうなんて暴力だ。

1人で生きていけないのは知っていて、だからこうやって文章を書いてそれを誰かに読んでもらうことで荷物を持ってもらったつもりになることに決めている。これ以上誰かを傷つけたら私の中の何かが壊れてしまう気がして怖い。

いろいろ書きましたが、現在進行形の大きい呪いを抱えているときは、その呪いについて話せない人と関わらない方がいい、みたいなことです。中途半端に呪いを知らせることはとても不誠実だし、知らせないと決めたなら最後まで隠し通すのが礼儀だ。私にはそれができる。違う誰かを演じてしまえる私だから、あるはずの呪いをないものとしてあなたの前に立つことができる私だから贈ることができる愛もきっとある。でも、それはあまりに苦しい。私は私で生きていきたい。だから離れるよ、私が私のことも、あなたのことも愛する唯一の手段。

呪いが大きくなるほど他人に預けたくなる呪いも大きくなる。だんだん会えない人が増えていく。去年感じたその過程の入り口にまた立っている気がする。またはじまった呪いをしずかに眺めて、今度はもう少し他人に迷惑をかけずに壊れたいと願う。

しあわせになりたいな。しあわせに生きていきたいな。でも、それは難しいみたいで、私はずっと苦しいみたい。逃げないって私が決めたから何にも言えないよ、ぜんぶぜんぶ私が背負っていくと決めた呪いや苦しみばかりだ。

上手く頼れなくてごめんね、私はあなたに上手く頼れない、一度頼ってしまったらあなたまで壊してしまいそうで怖い。私に呪いを背負わされた人間が目の前で壊れていったことをずっと覚えている、私の絶望は他人を壊しうるって知ったときに決めたはずだったこと、今回こそ守り抜けたらいい。

生きる。いつかしあわせになるために。

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