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あぶない刑事


我が家の夕飯時はここのところ
もっぱらBSチャンネルを見ている。

BSは懐かしい昭和映画が沢山放映されていて
ドンピシャ世代の父はそれが嬉しいようで
毎日のように様々な作品を録画しては
リビングでひたすら垂れ流しているのだ。

私も昭和独特の空気感というか、
今の時代ではコンプライアンス的にNGだったりする描写だとか、妙にキザでかっこつけた演出だとか、現代の作品では目にかかることのできないストーリー展開が新鮮で面白くて、何気に毎回見入ってしまっている。

GW期間はBS12にて「サメジャッキーインド!!」
という特集が組まれていて、あまりにもパンチの強すぎるネーミングに吹き出してしまった。
ジャッキーって、サメ映画とインド映画と並ぶラインナップなのか…と、なんかジワジワくる。

ジャッキー映画は昔から父のお気に入りで、
放映されていた全作品をバッチリ録画。
個人的には「拳精」という作品がツボに入った。
物語に登場する妖精たちが、なんとも言えないシュールさで。全体的に雑な感じがとても可愛かった。

拳精に出てくる妖精たち。
このシュールさ、私がジワジワハマった理由が
言わなくても伝わると思う。


昨晩見ていたのはBS松竹東急で放映されていた
映画版「あぶない刑事」

この時代特有のキザさであるとか、無駄にカッコつけた演出が多様されている感じとか、やたら爆発するところとか、そういう要素がギュッと凝縮されていて、個人的にはものすごく良い。

例えばシティーハンターの冴羽獠にしても、銀魂の坂田銀時にしても、あぶ刑事の2人にしても、物凄くカッコいいのに三枚目な要素を持ち合わせているキャラクターというのは、どの時代においても魅力的だ。

人としての不完全さ未熟さというのは、時として魅力に変わる。そこに親近感を見出すことができるからだろう。なのに、キメるところはしっかりキメてしまう。そんなことされては、人の心を鷲掴みにするのも当たり前だ。

あぶ刑事に関しては「カッコよく見せる」ための演出があまりにも多すぎて、冷静に見るとツッコミどころばかり目について仕方ない。それが堪らなく面白い。

やたら斜に構えたようなポーズでサングラスを掛けながらほくそ笑んだり、警察なのに容赦なく他人のバイクは盗むし、浅野温子の髪型はコロコロ変わるし。どこを取っても無茶苦茶だ。

舘ひろし演じるタカさんが、敵に撃たれて病院に入院したシーンでも、柴田恭平演じるユージは速攻でフラフラのタカさんを病院から勝手に連れ出して、謎の廃墟のようなライブハウス?のような場所に連れていき、唐突に謎のかっこよすぎダンスを披露するという、正直全く意味のわからないシーンがあって、こんなこと言うとファンの人には怒られるのかもしれないけど笑いが止まらなかった。

そのダンス、タカさんが元気になってから見せてあげるのではダメだったのか?

それとも「このダンスをみて元気を出すんだっ」
という想いが込められていたのだろうか?

まあ、敵側の美女との密会の場面だったので、人気のない場所を選ぶ必要があったのは理解できるが、それにしても何で、踊ったのだろう。

その後も、敵のアジト?へ反撃しに行く場面でも、「ほかの車両が空いて無かったんですよ」という謎の理由でどデカいトラックに乗り込んで向かうシーンがあって。

わざわざトラックを出すということは、これは何かの伏線なのか…と考えていたが、回収されることなく終わった。
シナリオ的に、何でトラックにする必要があったのか。今も全くわからない。
(私が見落としているだけで、トラックであるべき理由があったのならすいません。)

入院しているタカさんは何故かずっと上半身裸だし。病院から抜け出すときも、上裸にジャケットを羽織るだけのスタイル。いや、病院にいたなら絶対服着せてもらえたやろ。

なんというか、すべてにおいて「かっこいい」のためだけに用意された要素が多すぎる。上裸であるのも、鍛え上げた肉体を披露するための演出であるに違いないし。
ストーリーラインに関係するわけでもない、何かの伏線でもない、そういうものに溢れている。
それが、最高に良い。

今の時代、ほぼギャグとして捉えられてしまいそうな演出だが、当時は素直に「かっこいい」とされていたものだったのだろう。この時代の雰囲気が、私は堪らなく好きなのだ。

そんな時代の色は、当時の音楽性にも表れていて、80年代くらいに流行している音楽たちも全体的にクサい感じというか、小粋というか、自分の切ない現状に酔いしれるような、そんな描写がとても多い。

クールで、いなせで、ロマンチックで、
でも恋愛ではちょっとセンチメンタルに浸ってしまう、繊細な一面もあって、それでも自分らしさは貫く、そんな自分がとってもス・テ・キ

みたいな、ナルシズム全開なところ。
自分の欲求に素直だと感じる。
私はきっとそれが羨ましくて、知らず知らずのうちに惹かれてしまうのだ。

私が10代を過ごした時代って
自意識過剰さとか自惚れとかに
周囲の目線がとても厳しかった気がする。

謙虚であることが美徳、のような
「いやいや、私なんて…」と言える人が正しいみたいな、いかにも日本人的な思想を強く感じていた。それにまんまと影響されて、今の私は出来上がってしまっている。

現代ではまた、時代の雰囲気が変化して
「自分らしさや個性を表現できる人が素晴らしい」
といった風潮が世の中全体的に強くなってきている。
それはとても素敵なことであるが、自己主張をどこか無意識的に遠慮してきた私にとって、やりづらさも感じる。
そういう自己主張の癖をこれまで身につけてこなかったので、今更どうして良いのかわからない。

どうしていいのか分からないなりに、
何か表現をカタチにしようと
こうやってチマチマ文章をしたためているのが現状。

私の性格が違えば、もっと堂々たる態度で
自分の活動を見せつける行動が起こせていただろうと思うと、切ないような悔しいような、やるせなさでいっぱいになる。

ああ、気づくとまたコンプレックスの吐露にこの投稿を使ってしまった。

でもまあ、世の中の風潮や流れに無理やり自分を合わせようとしても、本来の自分らしさを見失って、バランスを崩すことが用意に想像できてしまうので、こういうことは自分のペースで、やりたいことを見つけていくに限るのだろう。

別に誰かに、いつまでに、何かやれと
急かされているわけでもないのだし。
急かしているのはいつだって自分だけなのだし。

でも私だってたまには、あぶ刑事の2人みたいに
ちょっと間抜けに思えるくらいかっこつけてみたり、気取ってみたり、自惚れてみたり、そんなこと人目を気にせず、素直にやってみたいよな。

何事も、好転させるきっかけは
「自分に素直になること」なのだと思う。

分かってはいるのだけどね、簡単じゃないから
生きるって難しいのですよね。


それにしても、あぶ刑事の浅野温子は
おっそろしく美しくてチャーミングだった。

今、あのファッションで都会の街中を練り歩いても、道ゆく人の目を惹くことだろうな。

こんなイタズラな笑顔、
私も振り撒いてみたいゼ。
(私なりのキザな口調)

浅野温子、ほんと可愛い。
可愛くてビックリした。
可愛くてビックリするって
相当可愛いってことですから(語彙力)

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