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髪を切った日のこと


けっこう前だけど、2、3年ほど伸ばしつづけていた髪をバッサリ切り、ショートボブにした。
前髪も作った。眉毛やおでこがみえるくらい短く。

周りからは
「似合う」「そっちの方がいい!」
と、たくさん褒めてもらえる。
それがとても嬉しい。
自分で言うのもあれだけど、似合ってるなぁと思うし、というかショートヘアの方が似合うのは
前から薄々わかってた。

何で今まで切らなかったのか?
きっと意地になってたんだろうな。
「せっかくこんなに伸ばしたのだから…」
という、単なる勿体無い精神。
でも「こっちの方がいい!」と言われる
ことが多すぎるので、逆に勿体ない3年間を
過ごしてしまったなと、妙に後悔じみた気分。

でも伸ばしてたときの髪型も
個人的には気に入っていた。
というか、こうなりたい!みたいな
自分の中での理想的な姿があった。

柔らかな暗い色味の長髪を
毛先だけゆるゆるとカールさせて、
健康的で、でもちょっとミステリアスで、
そんな雰囲気になれたら…思い描いていた。

しかしながら、どれだけ髪を伸ばしても
天然パーマな私の髪質では
ただただボワボワ、ぐねぐねと広がってしまい
妙にワイルドなスタイルにしかならない。
それはそれでかっこよくて好きだけど
なんとなく、自分にはちょっと違和感。

輪をかけて私は背が低く、長い髪は
体全体とのバランスもあまり良くなかった。

思い描く姿からは、いつも程遠くて
鏡を見るたび複雑だった。


髪を伸ばしていた時期、いろんな人に
「伸びたねー、また切らないの?」と聞かれて
そのたびに「あー。短い方が良かったのだろうな」と卑屈に受け止めてしまった。

髪を切って、周りの反応をみて
これが似合っていることが、とてもよく分かった。
褒めてもらえることが、すごく嬉しくて
その半面、ちょっとだけ悲しかった。
私は なりたい自分に、憧れた姿に
なれなかったのだなぁと思ってしまって。
理想を諦めてしまったような、
つまらない人間になった気分で。
スッキリした首元を鏡越しに見つめて
ちょっとだけ切ない気持ちにもなった。

嬉しいときでさえ、切なさが後ろから
私の肩を突いてくる。
突いてくるその正体も、私。
面倒臭い性格だな。

まあともあれ、今はこの髪型が
すっかり気に入っている。
やっぱ、この髪型になってから
めちゃくちゃ褒められるし。
褒められると、自然とご機嫌になる。
単純だ。そんなもんだ。

今となっては
「もっと早く切っておけばよかった!」
とさえ思ってる。

ふと占いを見てみたら、この3年間
"大殺界"だったらしい。
大殺界かぁ。なら仕方ないかぁ
って、なんか納得した。

スッキリした首元、チラリと覗くおでこ。
やっぱしっくりくる。
自分のことを積極的に褒めることは苦手だけど、
素敵だとせっかく言ってもらえてるのだから
素直に気持ちよく、喜んどけばいいのだ。

天然パーマと低身長と相性抜群な今のスタイル。
なりたい理想とは違ったかもしれないけど、
"自分らしさ"は見つけられたのだから
もう100点、大満足。

今の私は、鏡を見るのが
ちょっと楽しい。

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