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睡眠


体力がなさすぎる。
20代もがっつり後半戦。
アラサーと呼ばれる年代がじりじり私に迫り来ている。(というかもうなってる。)

年齢どうこう関係なく、私は昔から体力が無い。無さすぎる。

もともと10代の頃から、徹夜とかオールとか夜更かしがあまり得意ではなかった。

高校時代も、受験勉強の真っ只中の頃でさえ、周りの友人たちは必死に深夜や早朝まで勉強に費やしていたというのに
「私は寝ないと無理なので!」
と、夜の11時くらいには就寝し、朝も特に早起きをするわけでもなく、怠惰に過ごしてしまっていた。

「休日何してるんですか?」
と、たまに聞かれることがある。

"本気の休み"と自分で決めた日は、
本気(マジ)で一日中寝ている。

その日は私にとって、ある種のリセットDAY。
睡眠負債の返済日なのだ。


睡眠DAYの1日の主な流れとしては、

・まず昼過ぎに起床。何かしらを食す。
        I
・その後は、ダラダラと過ごす。
 気づけばまた、ふと横になっていて、
 あっという間に意識は無くなっている。
        I
・ふとまた、夕方くらいに目覚める。
 何かしら食す。その後、入浴。
 そしていつも通りの時間にまた、眠りにつく。

そうしてただ時間だけが、スルスルと私の横をすり抜けていく。


こういう日が、可能なら週に一回はほしい。
でないと体力が上手く保てない。

私の場合、体力以上に気力の問題もあると思う。
気分が落ち込んでいるときほど、気づいたら寝てしまう。

ネットで「寝ても寝ても眠い」と検索したら、「ストレス」「うつ病」と出てきた。
違う。いや、全く違うわけではないのだろうけど、なんだろう。そんなすぐ、重い話にしないでほしい。もっとラフな解決策が欲しい。


流石に毎回、休日がこんなことではまずいと思い、私は無理にでも予定を作るようにしている。

予定とは言っても、ご飯を食べに出かけるとか、図書館に行くだとかそういうもの。
土日休みではないし、友達が多いわけでもないので、遊ぶ相手がいない日もあるが、それでも1人でどこかへ出かけるようにしてる。

でも正直な話、本当の私は、ずっと寝ていたい。

それなのにどうして、この欲に抗うかといえば、
眠ってばかりいることは、あまり良いとは思われないからだ。

悪いと言われるわけではない。
寝るなと責められるわけでもない。
ただ、キョトンとした表情で、
「寝てる時間て、勿体なくない?」
と、当たり前のように問いかけられる。
それが私は、ちょっと苦しい。

睡眠の、どこが勿体ないというのだろうか。

人生は(人生とか話題に出しちゃうけど)
喜びと煩わしさの繰り返し。
割合は、ほぼ半々と言っていいと思う。

喜びを知っているからこそ、
煩わしい出来事を、より強烈に感じる。
幸福の存在が、絶望の苦しみを際立てるのだ。

そして、その両方から逃げられるのが
"睡眠"という術。

"無"への逃避。「幸福」という概念からさえ、
逃れられる唯一の手段。

だというのに、休息がまるで、時間を無駄にしているかのように扱われることがほんのり悲しい。

でも、こういう話をすると
「何でも寝たら忘れられる」
と思われてしまうが、それは違う。

たとえ気持ちよく目覚めても、眠る前と何も変わっていない現実と直面し、絶望感がまた襲ってくる。基本、堂々巡りなのだ。

なので、寝てるだけではいけない。何も解決しない。それもよく、わかっている。

先程も述べたように、私が異常なまでに
寝てしまうときは、大抵「心」の状態が
大きく影響している。

生きていると、悩みは尽きない。
簡単に解決できることもあれば、自分1人ではどうしようもないことも沢山ある。たぶん、そっちの方が多い。

誰かに相談するのも、もちろん大切なこと。でも、何でもかんでも他人が解決してくれるわけじゃない。親身になって考えてくれる人なんて、一見たくさんいるようで、実際のところあまりいない。

それに悩みの根本的な原因は、大抵自分にあるので、自分の中で落とし所をみつけなければ先には進めない。

どんなに正しいアドバイスであっても、それを受け入れる体勢が整ってなければ解決には繋がらない。

私にとっての睡眠は、その体勢を立て直す作業でもある。素直になるために、乱れてしまった心のバランスを整えている。

目を瞑り、ぐるぐると、ひたすらに、自分と問答を続けることは辛く苦しい時間だ。
心のコンディションが整っていない間は、ネガティブな思考が延々と脳内を循環する。
それが体内にも広がっていき、また体が重たくなる。

それでも自分のペースを取り戻すために
休む、という時間は、私には必要なのだ。

素直に休もうとしているのだから、
その行為にさえ罪悪感を、抱かせないでほしい。

眠って、ちょっと元気になってから
また外に出かけてみたらいいじゃない。

そうすれば、これまで悪い風にしか捉えられなかった周囲を飛び交う言葉たちも、別の視点から捉えられるようになるかもしれない。

動き出すのは、元気になってからでいいじゃない。

みんなそれぞれ、ペースがある。
それは一見、ダラシなく見えることもある。
でも、個性なんだから仕方ない。

楽しいことと同じくらい、辛いことも沢山あるのが人生なのだからして。

寝てる時間、起きてる時間、
遊んでいる時間、働いている時間、
どれが有意義で、どれが無駄かだなんて
そんな野暮なこと、他人が勝手に決めないで。

それぞれの過ごし方に
それぞれが見出した価値がある。

必要な時間だったって
そう思わせてほしい。
私以外の人たちにも、
そう思わせてあげてほしい。


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