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地方創生の問題に命を掛けるべきか〜結城真一郎『救国ゲーム』読みました

 結城真一郎『救国ゲーム』読みました。面白かった。

 東大を経て国の官僚になったが退職し、岡山の山奥の村に移り住み、地域の再生を成し遂げたことで、テレビのコメンテーターや国のアドバイザーを務めるなど、タレント的人気を博す、地方創生の旗印であり若きカリスマまちづくりリーダーである、神楽零士。

 彼に憧れて少なくない移住者が、彼の描いた物語に乗っかり始める。

 そんな矢先、神楽氏が、自らが興した村で惨殺される。しかも不可能犯罪と思しき状況で。

 そして、ネット動画サイトに神楽殺害の犯行声明動画をアップする謎の仮面の人物、「パトリシア」。パトリシアは国を守るためには地方を切る捨てるべきであり、地方の復活が可能だなどという甘い夢を見せ国民をたぶらかす神楽氏を誅殺したと宣言する。しかも「これは手始めだ」と前置きし、国を相手取り、「全国民を東京か政令市に移住させよ。さもなくば地方都市を無差別に攻撃する」と脅迫するのである。

 この状況で政府は混乱し、対応に追われる中、地方創生を担当する内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局付きの官僚、雨宮が、事件の解決に奔走する、という「地方創生ミステリー」。

 果たして、神楽殺害の動機とは、トリックとは、パトリシアの正体とは。そして日本の地方創生の目指すべき道とは。

 という、まちづくりを仕事にしている人向けの「シンゴジラ」と言う感じで面白いお話でした。

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