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晴れの日も雨の日も

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そのとき感じたことを感じたままに綴るエッセイ集。晴れの日のように澄みきった気分のときも、雨の日のように翳りに覆われるときも、その気持ちを、透明な言葉で伝えたい。
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#アート

ハレの日の美術館

よく晴れた5月のある日、私たちは美術館で結婚式を挙げた。 結婚式といっても、参加者は私と…

如月桃子
1年前
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歯の浮くようなセリフを噛みしめて

ある映画で、イタリア人の男が言う。 ”I thank God for fear…”と。 直訳すれば、「恐怖をあ…

如月桃子
2年前
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だれかの過去が、わたしの記憶として香るとき

ときどき、春の匂い、とか、夏の香り、というよりも、もっと濃密な空気を感じることがある。 …

如月桃子
2年前
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壊れかけのマグカップの行く末

お気に入りのマグカップにヒビが入ってしまった。 ホットミルクを作ろうとして、マグカップを…

如月桃子
2年前
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先輩の芥川賞受賞に寄せて

夕飯を食べながら、何気なくテレビを見ていたら、芥川賞のニュースがやっていた。 今年は直木…

如月桃子
3年前
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母、絵日記はじめました

母が、フジコ・ヘミングに感銘を受け、あることを始めた。 ピアノを弾き始めたのではない。 …

如月桃子
3年前
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雨降る美術館

ひとりで静岡の美術館へ旅をしたことがある。 その美術館は、いつか行ってみたいと思っていた美術館のひとつだった。 クレマチスの丘という、美術館がたち並ぶ丘がある。 その丘の上にある美術館で、須田悦弘さんの展覧会『ミテクレマチス』が開催されていた。 須田さんの作品は、その展覧会以前にも見たことがあった。 はじめてみたときから強く惹かれた。 私が学芸員を務めた市でも、須田さんの作品を所有していた。 クレマチスの丘を訪れたとき、私は学芸員だったけれど、いろいろあって辞めよ

青色に魅せられた日々

高校生の頃、憧れの先輩がいた。 その人は、一つ学年が上の、美術部の先輩だった。 彼女は、…

如月桃子
3年前
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