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笑顔で丁寧に料理する

皆さんは、毎日お料理作っていらっしゃいますか?
私は家庭科の教師をしていますが、毎日キッチンに立って料理を作りません。作りませんというより作れません、の方が正しいかもしれません。作る時間がありません。
家庭科の教師はお料理の先生ではないので、お料理が得意かというと、そうでもない家庭科教師もは結構います。
私の大学時代の専門は福祉分野でした。家族福祉学ゼミに所属し、みんなが心からしあわせだなーと思える世界になるにはどうしたらいいかをかなり真剣に考えていました。
大学卒業後は家庭科の教諭として就職したので、専門とか、専門ではないとか言ってる場合ではなく、家庭科の教科書全てを教えてられなければなりませんでした。
これまでに、小学校、中学校、高校、専門学校、大学、合わせて20校の教壇に立ってきましたが、その中で1校だけ調理系列という専門コースのある高校の授業を担当していたことがあります。料理人やパティシエ、その他サービス業に就きたい生徒たちがいるクラスです。
そのクラスの授業で大切にしていたことは、おもてなしの心、お客さまはどう感じるか、相手の立場に立って考えるということです。
ただ単に、美味しい料理を提供すればいいんでしょう、という態度では、お客さまにその気持ちが伝わります。
校内でカレーライスを販売したり、バレンタインのスイーツを販売したり、いろいろなメニューを生徒たちが考えて、商品化して販売実習していましたが、必ずお客さまの立場に立って試作を重ねていました。
そして《〇〇先生へ お買い上げいただきありがとうございます 心を込めて作りました 調理系列》というメッセージを添えて販売実習に協力してくれた教員の机までお届けするのがこの実習のしきたりでした。
100人以上の教員がいる学校で何十個ものオーダーを10の職員室に分かれている教員の机に間違えずに配達するのは大変な仕事です。
しかも、温かい献立の時は温かいうちに届けなければならないし、昼休みの教員は結構忙しい。早くお届けしなければ、食べていただく時間がなくなってしまう。販売実習の回を重ねるごとに生徒たちは大きく成長していきました。
トップの写真は、その調理系列で作るフルーツプレートの見本を作った時のものです。家庭科の同僚たちと一緒に作りました。フルーツプレートをお客さまが見た時に、わー!という歓声があがることを想像して、ニヤニヤしながらカッティングするのです。自分が魔法使いになったかのように、絶対にみんながびっくりするぞ!と思って盛り付けます。
別の学校では、調理実習の復習として、お家で調理実習を再現して家族に食べてもらってレポートするという宿題がありました。中学1年生の女子生徒の母親からお手紙をいただいたことがあります。
いつも娘がお世話になっております。先日、私が体調を崩して寝込んでしまう日がありました。娘が私がご飯を作るから寝ててというので、お味噌汁くらい作ってくれるのかなと思っていたら、学校の調理実習で習ったばかりの卵焼きと、りんごの皮むきテストで練習したりんごを枕元まで持ってきてくれました。初めて食べる娘の作ってくれた卵焼きは、ちょっとしょっぱかったけれど、今まで食べた卵焼きの中で一番美味しい卵焼きでした。りんごもとても美味しくいただきました。そして、娘の成長を嬉しく思いました。これからもご指導の程、よろしくお願い致します。
また、別の家庭での復習のプリントに、赤ちゃんの写真が貼ってありました。よく見ると《1歳の弟》とキャプションが入っています。1歳の弟君は、まだおしゃべりができないので、美味しい時には人差し指で自分のほっぺをつっつくポーズをとるそうです。写真の男の子は小さな人差し指をほっぺたに当てていました。
中学1年生のお兄ちゃんが作ったみたらし団子を食べて《美味しい!》のポーズをしている写真だったのです。
お料理は、料理を作った人の感情を乗せて食べる人に伝わると思います。
あなたは、どんな表情をしてお料理を作っていますか?
忙しいときは、すべてを手作りする必要はないと思います。
内食、中食、外食、それぞれの良さを知り、うまく組み合わせることが、自分自身をご機嫌に、食事を楽しくする秘訣だと思っています。
忙しくて毎日キッチンに立ってお料理を作っていない私でも、どうすれば楽しい食卓になるかをお伝えすることはできます。


具体的な話は授業でケーススタディでお話をしています。この続きは長くなるので本編で書こうっと。

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