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不可解【日々のこと】

不可解なほどに心配性の母が住む実家には不思議なことが起こる。今回の帰省でも少しだけ妙なことが起きました。

実家の電球を全てLEDに替えて欲しいと言う母。切れたら困るし切れたらどうしようと日々不安なのだと言う。私は気乗りがしません。

母が孤立無援の一人暮らしならば賛同しなくもない。でも近所に姉が住んでいます。それも私よりも優しい姉が。すぐにすっ飛んで来ることもないでしょうが一週間以内には替えてくれるはず。それで十分です。おそらくは日頃世話になっている姉への頼みごとを増やしたくはないのでしょう。その芽を摘んでおきたい。気持ちは解らなくもないですが切れてもいない電球の総取っ替えとなると私の貧乏性がストップを掛けます。

とはいえ聞いてしまったので一応調べて回る。廊下・トイレ・洗面所は何故かLEDでした。蛍光電球は浴室くらい。確かにここが切れるのは困るだろうから替えておいてもよいかと思う。そう話すと母はそれよりも玄関と言い出した。風呂よりも玄関らしい…

正直、玄関は嫌なんです。築40年近い実家で当時の照明のまま。曇った金魚鉢のような形の重いガラス製のカバーで付け外しが面倒なんです。手で回すネジ止めのタイプなのですが、その他にもネジがあって久々に手を伸ばして外そうものなら毎回手探り状態。あと既にLEDに替えた記憶がうっすらあるような…

とはいえ聞いてしまったので、やっぱり調べる。妙なことはと言うと電球が引っ掛かってカバーが外れなかったのです。あれこれネジも回してしまったので結局電球ごと外す。重いし危ないしで手を伸ばしたままでは限界でした。下に降ろしてじっくりと眺めましたが不思議。カバーの間口よりも電球の方が大きくて中から出てきません。ラムネのビー玉状態です…

電球自体はLED。だから余計なことをしなければよかったのですが、もはやどうでもいい。そもそも、どうやって付けたのかも不思議な状態。あと電球を取り出さないといけない状態。埃まみれのカバーを拭きながら思案に暮れます。

「不思議やなぁ。」「なんでやろなぁ。」「どうやって入ったん?」「こんなことってある?」

ちょっと、お母様、黙っててください…
そうは思いながらも、私は黙々とカバーを拭き続ける。

思い当たる推測としては間口ピッタリの電球で最初は入ったと。使用の過程で少しだけ膨張して現在抜けないと。理屈としてはそれしか考えられない。LEDが膨張するのかはよく知りませんが、電球自体は熱いので冷めるまで待ってみる。最悪の場合は冷蔵庫で冷やそうとカバーを綺麗にしていました。

結果は取り出せました。古いカバーにて間口も正円ではない。冷めた電球を持っては角度を変えたりゆっくり回したり、知恵の輪の要領で無理のない箇所を探る。ここかもと思った箇所で少しだけ捻ったらキュポンッと抜けました。

「なんで?」「なんで取れたん?」「引っ掛かってたやん」「わたし、絶対に取れへんと思ってた」

ゴメン、お母様、黙っててください…
そう思いながらも、私は次のことを考える。これを戻す訳にもいきませんし、たぶん入らない。

一回り小振りだった洗面所のLEDと交換して玄関に付け直す。ようやく終わったと麦茶を取りに冷蔵庫へ向かうと「息子にお願いすること」というメモ紙が貼ってあった。

「電球→LED」「窓の鍵、ゆるゆる」「門扉の鎖のサビ」「エアコンのフィルター掃除」

頼む、お母様、休ませてください…
母の口癖は「ゆっくりしいな~」のはずなんですけどね。

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