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「ハーフですか」と聞かれる経験から考えたこと

病院や公共施設など身分証明書を提示する必要がある場所が多いですね。
こういった場所に行く時、筆者の名前を確認すると、多くの日本人は日本人の苗字と外国人の名前であることに気付きます。相手からしばしば即座に「ハーフですか?」と聞かれます。

ハーフですか?という質問に対して、敏感な反応を示す人が多いです。
筆者自身も、この質問に対して少し違和感を覚えました。しかし、他人との違いに対してレッテルを貼ったり、その人を指す言葉を作ったり、その人の特徴に焦点を当てることは、人間関係において一般的なことであると言えます。

多民族国家であるブラジルでも、実際には筆者はブラジル国籍なのに「日本人」と呼ばれることが多く、アジア系の人の肌の色はブラジル社会において「黄色」と認識されています。この事実を考えると、どの国に行っても国籍や人種について気にする人が存在し、自分自身の状況を冷静に説明するしかないと感じています。

その理由は何でしょうか?

なぜ「ハーフですか?」と聞かれるのか?

初めて「ハーフですか」と聞かれた時、正直に言って驚きました。

その理由は、先ほど述べたようにブラジルでは「日本人」と呼ばれることが多く、国籍はブラジルだと思っていても、周りの人に言われることはその通りになると考えられるため、無意識に非日系ブラジル人とは違う存在だと筆者は思っていました。もう一つの理由は、父方と母方の両家族が日本人で、筆者の外見はどう見ても日本人らしいからです。

日本人の視点からは、国籍はブラジルである場合、両親のどちらかが外国人で、ブラジル国籍になったと思われることが一般的です。しかし、実際には多くの国は出生地主義を採用しています。そのため、ブラジルに住む外国人カップル(例えば、日本人カップル)が子どもをもうけた場合、その子どもはブラジル国籍を持つことになります。逆に、外国人同士のカップルの子どもが日本で生まれた場合、帰化しない限り、ずっと外国籍のままです。この国の在り方の違いによって、「ハーフですか」と聞かれる理由の一つだと考えられます。

もう一つの理由は、単に名前です。
先ほど述べたように、日本人の苗字と外国人の名前を見ると、多くの日本人は自動的に「あー!ハーフだ!」と考えます。そのため、日本人らしい見た目であっても、名前の情報だけで「ハーフ」に結び付けられることがあります。

ちなみに、日本語でコミュニケーションができても、ブラジルポルトガル語の訛りで話すことからも、「ハーフですか」と聞かれる理由の一つとなるかもしれません。

愛知県には日系ブラジル人が多い!

地域によって考え方が違う!

以上の話は東京と仙台での経験です。
筆者は過去に名古屋、東京、仙台、高崎に住んだ経験があります。高崎市では、パンデミックの時期に引っ越したため、外出が制限され、地元の人との交流が限られていました。そのため、高崎での筆者の受け止められ方については把握していません。

東京と仙台に関しては、先ほど述べたように、「ハーフですか」と聞かれることが多かったです。一方で、名古屋に在住していた時、「あー!日系ブラジル人ですね」とよく呼ばれていました。それは、愛知県にはブラジル人の人口が多く、現地の人が日系ブラジル人と接する機会があるためかもしれません。東京と仙台には比較的ブラジル人が少ないため、「日系人」よりも「ハーフ」という概念の方がよりである可能性があるでしょう。

筆者は、初めての日本滞在が愛知県だったため、周りの人に「日系人」として認識され、一度も「ハーフですか?」と聞かれたことはありませんでした。愛知県を出て他の地域に引っ越すと、地域ごとの違いを感じ、それが「ハーフ」のことについて考えるきっかけとなりました。

冷静に答えます!

「ハーフですか」という質問への答え

初めて質問されてから暫くの間、少し感情的になったことが事実です。「何でそんなことを気にしているの?」というような反応です。

しかし、ニュースなどで人種や宗教などに基づいて世界中で過度な行動を起こす人を見て、深く考えるようになりました。自身が少数派としても、他の人に自分の立場を理解してもらうためには、極端で暴力的(暴言も含む)な行動をとることは適切ではないと考えています。少なくとも、メディア報道などを見る限り、そのような行動をとる人になりたくないと感じました。

頻繁に同じ質問がされるのは嫌ですが、冷静さを保ちつつ、自分の状況を説明することが、一人の人間として最良の選択だと考えています。また、同じ国籍や地域に住んでいても、人々は異なる経験をしていると認識しています。それぞれの背景には、他人の事情を理解していない人がいることは当然であり、コミュニケーションを通じてお互いを理解し合うことが大切だと思います。


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