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意外なつながりと発見

1.「ディスレクシア?」…って何じゃそりゃ?

単刀直入に言うと、シロはディスレクシア(dyslexia)というものを持っている。

ディスレクシア(英語: dyslexia、ディスレキシアとも)は、学習障害の一種で、知的能力および一般的な理解能力などに特に異常がないにもかかわらず、文字の読み書き学習に著しい困難を抱える障害である。失読症、難読症、識字障害、(特異的)読字障害、読み書き障害、とも訳される。(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)

シロと結婚してから、6年経って初めてその事を話された。

ある日、

「僕ディスレクシアだから…」

と何かのきっかけで話された。私はその時普通に

「何それ!?何かの病気!?何の病気なの!???死んじゃうの?!」

となった。シロは

「分かりやすい例でいうと、文字が鏡文字に見えたり、書いちゃったりする人のことだよ」

と続けた。本人曰く、文字を読んだり、書いたりするときに人より少し時間がかかってしまうというもの。シロは本を読むのが大好きだったので、まさか文字を読むのに苦労するような体質?だったということを聞いて本当にビックリした。

このディスレクシアには、色んなタイプがあり、人によって読み書きの困難などのレベルが違うと言うこと。シロの場合は、小学生の時に公文のようなところで、専門の先生から指導を受けて、ディスレクシアとしての色んな訓練を受け、その後無事大学卒業までできたという感じだった。ただ、ディスレクシアで大学卒業までできた人は、相当な苦労をしている人が多いらしい。

ただ、私はシロと出会ってからこれまで、シロに障害があるなんて思いもしないぐらい、シロとは普通に生活していた。(障害という表現が正しいかは少し保留にしたい。)たまに、何かで少し時間がかかることがあったりしていた気はするけど、本当にそれぐらいだった。

ディスレクシアの事について調べていると、アメリカなどでは5人に1人が持っているというディスレクシアに対して周囲の認識はあるものの、学校や家庭でのサポートがなっていないと、就学の途中で挫折(全体の約35%が高校中退)し、高校入学、大学入学が困難だということ。また、アメリカにある依存症患者(アルコール、ドラッグを含む)の社会復帰を支援している施設、いわゆるリハビリ施設の入居者の50%、また、少年鑑別所といった施設に入っている人の60~70%がディスレクシアということだった。(調べたのが日本の情報ではないことをご了承ください。今後載せていけたらと思います。)

ディスレクシアついて調べながら、シロはよく途中で挫折せずに大学にもちゃんと行って、卒業もできたなぁと感心した私だった。

ちなみに、最初にも書いた通り、シロがディスレクシアというものに苦しめられているなんて全然気づきもしなかった。たぶん、私はそれだけ幸せでお気楽な、恵まれた人生を歩んでいたんだと思う。

私から見てシロは本当に頭が良い。これは私が常々思っている事だった。

「人付き合いは苦手そうだけど、トリビア博士(笑)」

歴史については「お前辞書かよ!?」と思うぐらい詳細まで教えてくれるし、1度読んだ本の内容は覚えているし、私からしたら「君の頭はまるでコンピュータのようですね♪」と思うぐらいうらやましく、憧れの存在だ。「博学」と言う言葉がぴったりのシロ。前日食べたものも思い出せない私を見て、シロはよく笑っていた。

そんな感じだった。

2.依存症患者の家族の会

そんなある日、私はカウンセラーの先生から、依存症患者の家族の会があるから参加してみないかと誘われた。ラッキーな事に、シロの両親のサポートもあり、同居させてもらい、少しの間仕事は休んでも住んでいける環境だったので、時間だけはたっぷりあった。だから、迷うことなくその家族の会に参加することにした。家族の会初日、どんな人がいるんだろうかと少しドキドキわくわくしながら部屋に入った。そこには、長机が四角に置かれ、机ごとに三つか四つの椅子が置かれていた。ちょうど20人入るか入らないかぐらいの部屋で、壁にはホワイトボードがかけられていた。

その部屋は普段は依存症患者の人がリハビリで勉強合宿のために使う部屋で、ホワイトボードには、その日の朝、依存症患者の人達が依存症について学んでいた形跡が残されていた。

部屋に入ると、少し細身のお婆さんがホワイトボードの近くに座っていて、私が入ると”Hi, how are you doing ?(どうも、こんにちは)”と優しく声をかけてくれた。一人で緊張していた私だったけど、軽く会釈をし、挨拶をした。それから続々と他の家族が部屋に入ってきた。両親と高校生ぐらいの子供の家族、初老の夫婦、50代ぐらいの男性が二人、40代ぐらいの女性がそれぞれ入ってきた。みんな、フレンドリーな感じだったけど、何処か思いつめた様子が見て取れた。まぁ、依存症患者の家族なんだから、そりゃそうだろうと自分につっこんでいた。その後、カウンセラーの先生がやってきて家族の会がスタートした。

家族の会の事については、今後少しずつ書いていきたいけど、今回はそこがメインではないので何回目かの会で出てきた内容についてだけシェアしたいと思う。この時の会では、依存症患者と脳の仕組みについて学ぶ時間だった。その時に、ふとシロがディスレクシアを持っているということを参加者にシェアしてみた。すると、他の家族からは「うちもディスレクシアの家系です」とか「うちはADDありです。」とか「うちはADHDがあります」と言う声が上がりだした。たまたまかもしれないが、なんと、その日参加していた全員から、依存症患者の本人がシロのような人だということがわかった。

依存症の家族の会でそれぞれ育ってきた環境も違う参加者だと思っていたけど、まさかまさかで意外なつながりを見つけてしまった。

その日、私は、自分がたまたまラッキーだっただけで、依存症にまでなってしまうということは、脳の働き方が自分とは違うのかもしれない。でも、そこを突き詰めていけば、何とか光が見えてくるかもと確信した日だった。

振り返ってみると、この確信は間違っていなかった。

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3.ディスレクシアについてちょっと学ぼう

ディスレクシアについて、少しわかりやすい動画(1)と、私がシロとの依存症の事で一番辛かった時に希望を与えてくれた動画(2)があるので、シェアしたいと思います。

1.失読症って何?-ケリーサンドマンハーレー(What is dyslexia? - Kelli Sandman-Hurley)
2.失読症(ディスレクシア)の精神の真の贈り物| ディーンブラゴニエ| (The True Gifts of a Dyslexic Mind | Dean Bragonier | )※日本語字幕がなく英語のみの動画です。英語が苦手な方はご了承ください。


ここまで読んでいただき、本当にありがとうございます。





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