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コロナと生きる学校教育のニュー・ノーマル(新常態)

学校教育のニュー・ノーマル(新常態)

もともと自由な行動が制限されがちだった学校で、3密を避けるためのさまざまな不自由が常態化しつつあります。

座る場所を指定され、体の向きを指示され、移動できる範囲を制限され、狭い机に向かって黙々と課題をこなすことを強いられる授業。

もちろん学校教育をになう現場の教員は、悪意でやっているわけではありません。むしろ児童や生徒の不自由が、過大なストレスにつながらないように、さまざまな工夫を重ねながら学級経営をおこない、授業をしています。

それでも、オンラインではあんなに伸び伸びと学べたのに、どうしてこんな時間を過ごさなければならないのだろうかという疑問が、児童生徒の心に浮かぶのを防ぐことはできそうにありません。

そもそも学校は、新型コロナ感染症で休校措置が取られる前から、児童生徒の行動にさまざまな制限を加えてきました。

休み時間と言えども、学校の敷地の外に出ることは「違法」です。

学校によっては、別のクラスの教室に入ることを禁止しているところもあると聞きます。

授業中に飲食をすることもたいてい禁止されていますし、トイレに行くときにも許可を得る必要があります。

休み時間なのにゲームをして気分転換することもできないし、放課後になって学校の敷地の外に出たとしても、通学路や電車内での行動は校則によって厳しく制限され続けています。

たとえば、多くの学校では、下校途中で制服を私服に着替えて遊びに行くことすら許していません。

かりに、労働者に対して雇用主がここまで行動に制限を加えている企業があったとしたら、それはブラック企業であると言わざるを得ません。

このように学校に通う子どもたちの行動は、これまでもブラック企業並みには制限されてきていました。

そして従来の行動制限に加えて、学校に通う子どもたちのあらゆる行動が、厳しく制限され、管理される状況が、新型コロナウイルスへの感染を防ぐために常態化しようとしています。

3密を避けて声を出すことを極端に制限して実施されている「対面授業」は、ブラック企業以上に苛酷な行動制限を常態化させることにほかならないのです。

こういう「ニュー・ノーマル」を強いられ続けたとしたら、多くの児童や生徒たちが「脱学校」に走ることを防ぐのは、ちょっと難しいのではないでしょうか。

囚人の入浴と教室のニュー・ノーマル

あまりにも不自由な教室の風景が常態化しつつあることを、テレビで知り、家族からも聞き、よく似ているケースが記憶の中からよみがえってきました。

修学旅行の引率で何度も訪れた博物館 網走監獄で知った、囚人たちの入浴方法です。

グループごとに横一列に並ばされた囚人が、「脱衣⇒身体を洗う⇒湯船につかる⇒あがって身体を拭く」というような行動を、看守の指示で順番にこなしながら前に進んでいくという話で、初めて聞いた時は驚きました。

博物館の公式サイトであらためて調べたら、以下のような方法だったとわかりました。

脱衣に3分、第1槽入浴3分、洗身3分、あがり湯の第2槽入浴3分、着衣に3分

学校と監獄…ミシェル・フーコーをもちだすまでもなく、あまりにもよく似ています。

そこでまた、思い出したことがあります。

学校訪問、授業見学、教育実習派遣指導など、さまざまな機会に全国の公立私立の学校を訪問するのですが、訪問した学校で使われている上履きを見て、ギョッとさせられることがあります。

学校指定の上履きとして、サンダルを使っている学校があるのです。

「便所サンダル」と言うと、映像が浮かんでくるでしょうか?

「刑務所サンダル」とか「JAIL SANDALS(ジェイルサンダル)」とかで検索すると、同様のサンダルの画像がずらりと並びます。

「上履き スリッパ サンダル」で検索すると、中高生用「上履き」として同じようなサンダルがヒットします。

調べてみたら、内外ゴム株式会社のホームページ「ニューモード」という商品名で紹介されていて、以下のように書いてありました。

1958(昭和33)年の発売以来、素材、仕様は変化したものの、デザインと名称は現在まで同じ超ロングセラー商品です。/シンプルなデザインでありながら、足にフィットして履きやすく、バンド(適度に軟らかいソリッドゴム)と底のスポンジが非常に丈夫なこと、 などが人気の理由。色・サイズが豊富で、学校用上履きの定番商品となっています。

学校指定の上履きとして使われているサンダルは、刑務所サンダルと同じなのです。

着脱しやすいし、安いし、走るのには適さないので、生徒が廊下を走ることや囚人が逃げ出すことを防ぐことができます。

上履きのかかとを踏みつぶす心配をしなくてもいいし、管理する上できわめて便利です。

だとすれば、中学生や高校生が囚人と同じ扱いを受けていることになるわけです。

校内ではジャージを着替えることを原則とし、フェイスシールドをつけさせたら、(現実の刑務所がどうなっているかは知りませんが)あり得べき刑務所の風景に限りなく近づくことになります。

ニューモードでニューノーマル!

笑えません。

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