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「蝶と絃」京アニ事件に思う事

7月18日。
「毎年この日は、京アニのファンアートを描くことにしています。私なりの追悼です。」
 なんて去年に書いておきながらネタ切れで今年はどうしようかと。とりあえず好きな京アニ作品を列挙して、中から「聲の形」を選んでみました。久しぶりに作品を見返すと葬儀のシーンがあって、象徴的だなぁとようやくアイデアがまとまりました。

例によって蝶のパターンは3Dモデル&衝突解析で作成です。

 この結絃という少女は自殺願望のあるお姉ちゃんを思い止まらせようと、生き物の死骸をカメラに収めて回っている。
 とはいえ中学生の少女に死生観など備わってなんかいない。初めて人の死を目の当たりにした祖母の葬儀に、「怖い」と拒否反応を示す。そんな彼女が徐々に祖母の死を受け入れていく描写に一頭の蝶が使われているのです。

「ゆづる」という名は弦の字が当てられる事が多いと存じますが、聲の形では楽器の弦を表す「絃」の字が当てられています。この方が女性らしさを感じさせますが、つんつん突っ張った彼女を見ていると「弦」の方がしっくり来るのでは?と思ったり。生まれて最初についた名が実は「結弦」で、それが彼女のTrue Nameになってしまったのでは?なんて想像も膨らみます。

 現代物理学では、全ての理を解き明かすという超「弦」理論という新しい解釈が研究されています。
 超弦理論では、この宇宙は10次元で成り立つと考えられており、3次元+時間軸の4つ以外にあと6次元が、閉じた状態で存在していると考えられています。これら閉じた次元は人の感覚では捉えられないミクロの領域にあるため、我々の認識の外にあるというのです。

 人の魂は死ぬと何処へ向かうのか、誰しも想像した経験があると察します。私は超弦理論のいう「認識できない次元」のように、手の届くところにありながらも目にすることができない状態にあるのではないか、とぼんやり考えています。
 偶に波長がシンクロしたときに、互いの存在を認識することができるのではないか。皆さんも稀に、そんな不思議な体験をしたことがあるのではないでしょうか?

 結絃の見た紋白蝶も、そんな兆しのひとつだったんじゃないのかな。

 蝶が蛹から羽化し成虫になって飛翔する様は、輪廻転生、即ち復活を象徴するとして仏教や武家社会に広く尊ばれたと聞きます。そんな諸々のイメージをイラストに込めたつもりです。

 そういえば先日の供養碑式典で、京アニの八田社長が全焼した第1スタジオに新社屋を再建する計画を発表したとニュースになっていました。再開以降、益々熱を帯びてアニメ制作に打ち込んでいる様子が窺えます。

 がんばれ!京アニ。

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