隣に

私の横で眠る人は、いつも目が合わない。
「どこみてるの?」私が聞いても、いつだって返事はなく、ただ焦点の合わない目で見つめるだけ。

今日だって、私の事をほったらかして寝てしまった。
いつからこうなってしまったんだろう、寂しいなぁ。

いつだったか、彼が私の手をとって「ずっと隣にいてね」と言ってくれたことがあった。
彼はずいぶんと寂しがりやだった。
私はその約束を守って、今でもずっと隣にいるけど、彼はもうそんな事も覚えていないのだろうか。
彼はやっぱり何も言ってくれない。

前に比べて、彼は変わってしまった。
私が見えないのか、と思うほど関わりが少なくなった。
彼自身の性格もどこか塞ぎ込んだものになった。
ずっと隣にいたはずなのに、彼は何があってこうなってしまったのかがわからない。
私はもう必要ないのだろうか。

それでも、私が掴めないものを掴みたい時、たまに取ってくれたり、優しさが残っている。
まだ隣にいた方がいいんだ、という考えが過ぎる。

彼が言葉を返してくれなくても、彼と目の焦点が合わなくても、とどのつまり、私は彼を愛しているのだ。

こうして私はずっと彼から離れられないでいるのだ。

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