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サイバー衣装/メカヘッドの思いつき方・造り方 ④キーアイテムで情報量をコントロールしよう

はじめに

 無限にリソースがあれば全身くまなくトータルサイバーパンクコーディネートで仕上げるのは理想ですが、ハリウッド映画の衣装ですらそんなことはまれです。

 ではどうするかというと、キーアイテムを全力で作り見る人の目を一部に集中させます。

1オススメのキーアイテム

 SFを表現するにあたって、何をキーアイテムとするかすなわちどの部分に自分の思うSFを表現するかというのは永遠の課題です。個人的には頭部、手、武器(持ち物)のどれかが最適だと思います。理由は以下の通りです。

・頭部:
人体の五感のほとんどは顔に集中しています。すなわち情報を得る部分のほとんどは顔です。情報を得る技術というのは真っ先に進歩する物ですから、未来を表現するには最適な箇所です。そもそも顔は人体で一番目立つ部位ですしね。これはロボットのコスプレでもサイボーグでも真人間でも変わりません。頭に何かをつける以上そこに妥協するべきではないというのが僕の考えです。我がLIVEinVITROの製品がほとんどマスクなのはワンアイテムでサイバーパンクを表現するにあたって最もわかりやすい部分を追求した結果でもあります。

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・手(腕):
人体に置いて受動的な部分の大半を顔が担うとすれば出力は?というと顔と手です。コミュニケーションの大半は口を使いますが、ほとんどの作業は手で行います。ということは手に付けるもの、もしくは手そのものは技術の進歩をモロに受けるはずです。手に付ける物の進化は、例えばグローブ、腕時計、義手などなどネタは尽きません。
義手キャラといえばコブラ、百鬼丸、ガッツ、ジョニー・シルバーハンド、エドワード・エルリック、ヴァイオレット・エヴァーガーデン等SFに限らず大量にいますね。

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・武器(持ち物):
キーアイテムなので当然です。持ち物をキーアイテムとすると決めたのなら、この部分を妥協することはできそうにありません。
アイテムを一つきっちり作れば、それ以外の物が普通の服であっても十分にSFを表現できます。

超有名な例を挙げます。伝説的なサイバーパンク映画であるブレードランナーの主人公デッカードは特徴的な拳銃を所持しています。

デッカードブラスターと呼ばれるこの銃は劇中では少ししか映りませんが、どれも印象的なシーンであり見る人の目に焼き付けられます。合成樹脂のグリップパネルやそれぞれ2つある銃口とトリガーなどどれをとっても完璧な未来の銃です。誰が持っても未来人になることができそうです。

ところが、その銃を持っているデッカード本人はというと少し変わったジャケットを着ている、当時最新のデジタル腕時計をしている(最新であって未来ではない)等、服装はブラスターほど特殊ではありません。

それでも、デッカード本人を未来人たらしめているのは当然背景が優れているからですが、特徴的なデッカードブラスターに他なりません

もっとわかりやすい例でいえば、PSYCHO-PASSのドミネーターでしょう。あのピカピカ光って変形して喋る銃は完全な未来の銃ですが、持っている人達はただのスーツしか着ていません。

まとめ

 キーアイテムを考える、すなわち情報の緩急をつけて見る人の目を集める場所を作るということは創作において非常に重要な要素です。この部分に気づけないと、とにかく全身の隙間を埋めるためにバイクアーマーを身に着けたりするはめになったりします。

 見る人の目を引く箇所をちゃんと作りさえすれば、他の場所は無地であったりただの服であっても全く問題ない、ということを理解しているかは衣装づくりにおいて大きな差だと思います。

 キーアイテムは今回例に挙げた物以外であってもなんだって構いません。自分自身は一切生身でカッコいい未来の服を自作しても良いでしょうし、全身全くもって普通の格好にインプラント手術の跡を加えてサイボーグを表現したって良いです。

 これら全ての場合において忘れてはならない重要なことは、どの部分が進化しやすいかです。まず第一に電子機器類の進化は目覚ましいです。例えば未来人はいつまでもUSBメモリは使わないでしょう。10年後には消えているかもしれません。次に素材の進化です。前回説明した通り、機械は仕組みは変わらなくても素材は進化します。より軽くより頑丈に進化するでしょう。例えばキーアイテムに進化しにくい物(刀や刃物とか)を選ぶのなら素材が進化しているように見せるのは重要です。

次は実際にキーアイテムの作例を紹介しようと思います

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