5月12日の日記「そいつが俺の能力さ」

　日記４日目にして特に書くことがないので、今日の夕飯の話をします。なぜなら、それが現在における最新の記憶だからです。

　

　あ、その前にひとつ、書けることがあった。「書くことがない」ということについて。書くことがないといっても、１日中何もしてなかったわけじゃない。自分はこの春から社会人で、現状リモート研修をばりばりやっているため、今日も８時間やることはやっていた。でもこの日記では、仕事のことはあんまり書かないと思う。「プライベートに仕事のことは持ち込まないゼ？　お前と仕事なら断然お前のが大事だゼ？」的な価値観を持っているからとかじゃない。現状、仕事は仕事で言語化して出力する場所があるからってのと、こういう場所で仕事のことをどれくらい詳らかにしていいのかわかんないから、っていうのが主な理由だ。逆に、仕事しているうちに思い浮かんだ抽象的・観念的なこととかは書くかもしれない。やっぱ書かないかも。わかんないや。でも、わかんないから未来は面白いんじゃないですか？　ワンピースだって正体がわからないからロマンがある。ルフィも「つまらねェ冒険なら　おれはしねェ!!!!」って言ってたし。ルフィも成長したらnoteとか書くのかな。『海賊王に求められる5つのマインド（有料会員限定）』とか。そんなルフィは偽物だな。ツギハギ漂流作家だ（ちょうどジャンプ読み始めた頃に打ち切りになった記憶）。

　……別のことを考えていたらどんどん夕飯の輪郭が朧げになってしまってゆくから、ささっと書く。今日の夕飯、ビーフシチューでした。一人暮らしなんで親が作ってくれたわけでもなければ、自分で作ったわけでもないです。一年前くらいにコンロが点かなくなったことを「自炊しなくていいという神のお告げだ」と解釈し、全然飯作らなくなったので（マジの宗教にも構造は似ているのでは……?）。すんません、セブンイレブンで買ったやつです。だから、サムネイルのビーフシチューは完全にイメージ画像っす。普通に現物の写真撮ろうと思ったんですが、なんかスマホのカメラが綺麗に映らなくなっちゃって。俺の周りのものどんどん壊れてない?　祟り?

　このご時世、そこらへんの飲食店にほいほい入るわけにゃあいけませんし、だいぶコンビニ飯してる。その中でも今日夕食に選んだ『セブンイレブンの金のビーフシチュー』はなかなかうまい。味も濃いし、肉もでかくてほろっとしているし、金だし。肉とじゃがいもの見た目の区別が異常につきにくいのは玉に瑕だが。初めて食べたときは具が4個連続で肉で「えっこれ具材全部肉なの!?　すげっ!!」ってなったけど、残りの3個全部じゃがいもで損はしてないはずなのになんかテンション下がった記憶がある。これが駄目なUIってやつなのか。

　そういや「シチューにご飯はアリかナシか」みたいな議論はあるあるだけど、そのときのシチューってクリームシチュー前提だよね。ビーフシチューはだいたいの人が米と食えるはず。って思ってたけど、自分の昔のバイト先に「ビーフシチューも米と合わない」って人がいた。それを聞いて俺はその人に、「……もしかして、天丼も嫌いだったりしませんか？」と聞いたらまさにその通りで、「なんでわかったんですか！？」と驚かれた。今思えばその瞬間が、僕の人生の絶頂期だったな。その推理について詳しく説明すると、ビーフシチューはがっつり洋風感出してるけど、実際には具材的にも味付け的にも米とは相性良いはずで、逆に天ぷらはまさに和食って感じだけど具材も味付けも淡白で本来はさほど米に合わず、天丼は味の濃いタレで両者を無理やり繋ぎ止められてるに過ぎない。てんやでご飯おかわり無料の文字につられて天ぷら定食頼んだけど、天ぷらで白米が全然食えずほうれん草のおひたしに醤油ぶっかけて無理やり二杯目のご飯をかき込んだ俺にはわかるんだ。要するに、僕はその食材のごはんとの相性はいかほどか、先入観やイメージに惑わされることなく冷静にジャッジし、ビーフシチューが合わないと思っているならいわんや天丼をや、という結論に達したわけだ。「白米とその料理との距離間を正確に測ることができる――『主食への距離（ロード・オブ・メジャー）』、そいつが俺の能力さ」って感じ。ミュージシャンの名前を能力名にしたのは、ジョジョのスタンドっぽいかなーって思ったからです。

　昨日の日記を書いていても思ったけど、日記といいつつその日に起こったことは単に思考の呼び水に過ぎず、大部分は時間も空間も関係なしに好き勝手なことを書いてしまってる気がする。日記というよりは、ただ5月12日に書いた文章ってだけか。まあでも、日記の完全な正解を書く必要もないよな。個人的には日々起きたことだけを淡々と書き続ける、本来の意味での日記の方が狂気を感じるので……