オレンジワインを学ぶ!醸造方法や起源も解説!
近年、ワイン市場を賑わせている、「オレンジワイン」。
ワインと言えば、赤や白、ロゼが一般的ですが、今ではオレンジ色の色調を持つ独特な見た目のオレンジワインも人気を博しています。
ここではオレンジワインとは何か、さらにその起源について学んでいきましょう。
オレンジワインとは
オレンジワインとは、白ワインを赤ワインのように造ることでワインの色調がオレンジ色になったワインの総称です。
“オレンジ”と名付けられていることからオレンジを原料としたワインとイメージされますが、あくまで原料はブドウのみで造られているワインになります。
オレンジワインの歴史
オレンジワインという用語自体は、近年登場したものです。
そのため、全く新しい画期的なワインカテゴリーとイメージしている方も多いでしょう。
しかし、オレンジワインの歴史は古く、約8000年前にまで遡ることができると言われています。
コーカサス地方に位置するジョージアはワイン造り発祥の地としても知られており、当時からクヴェヴリと呼ばれる陶器でワインが造られていました。
クヴェヴリとは、素焼きした粘土を卵型に成形した容器で、地中に埋めてワイン醸造、さらに熟成や保存としても使用されています。
当時は現在のような白ワインを製造する技術がなかったと考えられており、白ブドウも赤ワインと同様に果皮と種子、果汁と一緒に醸していたと推測され、それがオレンジワイン の起源だと考えられているようです。
ただし、当時はその白ワインを、“オレンジワイン”と呼ぶことはなく、あくまで白ワインの一種として扱われていました。
しかし白ワインに求められる需要の変化や技術の進歩により、長い期間オレンジ色のワインは忘れ去られることになります。
そんな中、1998年にイタリアのフリウリ・ベネチア・ジュリア州の生産者がジョージアのオレンジワイン造りに影響され、オレンジワインを誕生させました。
その後の2004年、イギリスのワイン輸入業者デビッドハーヴェイが、“オレンジワイン”の名を使い始めたことをきっかけに、世界中にオレンジワインというネーミングが広まっていったと考えられているようです。
オレンジワインは、起源と言われるジョージアだけでなく、イタリアやフランス、スペイン、カリフォルニアなど今や世界中で造られるようになりました。
オレンジワインが、赤ワイン・白ワイン・ロゼワインだけではない、新たな色のカテゴリとして定着する日もそう遠くはないかもしれません。
オレンジワイン の特徴
オレンジワインの特徴は大きく分けて下記の3つです。
オレンジ色の色調
一般的な赤ワイン・白ワインとは違う多様性のある香り
骨格のある味わい
その特徴があらわれる理由を下記で解説していきましょう。
オレンジ色の色調
オレンジワインは、白ブドウから造られているワインです。
一般的に白ワインを醸す際には白ブドウの果皮と種子は取り除かれ、果汁のみでワインが醸されます。
一方、オレンジワインは白ブドウの果皮と種子、果汁を一緒に発酵させるといった手法が取り入れられており、通常の白ワインよりも色合いの濃い、オレンジ色がかった色調のワインが仕上がります。(一般的にオレンジワインは一緒に醸したものを指している場合が多い)
酸化など空気中の酸素による影響などを除き、ワインの色調を左右するのはブドウの果皮に含まれるアントシアンと呼ばれるポリフェノールの一種です。
赤ワインはアントシアニンが豊富に含まれている黒ブドウの果皮も果汁と一緒に醸されるため、その成分が影響して赤色のワインとなります。
一方、白ブドウの果皮も黒ブドウほどではないものの、アントシアンが存在しないわけではありません。
グリ系ブドウをはじめとした灰色、淡い紫色の白ブドウなどはとくにアントシアニンが多く含まれており、果皮と果汁を漬け込むことにより、ほんのりとオレンジがかったような色調のワインができあがるのです。
色合いは品種や果皮と果汁が接触する期間、醸しの期間によっても変わります。
一口に、“オレンジワイン”と言ってもその色合いに差があるのは上記の理由が関係しているのです。
一般的な赤ワイン・白ワインとは違う多様性のある香り
オレンジワインが人気を博している理由はその美しい色調ですが、一方で一般的な赤ワインや白ワインと違うユニークな香りが楽しめるところにも注目が集まっています。
ワインの香りはブドウ由来、発酵由来、熟成由来の3つに大別されていますが、オレンジワイはそれら全ての要素をしっかりと感じられるユニークなワインです。
白ブドウ由来の柑橘や花などのアロマティックな香りはもちろん、果皮に含まれる香り成分もアルコール発酵の過程で酵母によって生成されるため、アプリコットやヴァニラ、オレンジピールなどの香りや風味も楽しめます。
さらに一般的な白ワインよりもタンニン(それらポリフェノール)が多く含まれているため熟成能力があり、熟成由来の香りが楽しめるオレンジワインも存在します。
複雑かつアロマティックで心地の良い香り・風味を持つところも、オレンジワインが人気を集めている理由のひとつでしょう。
骨格のある味わい
オレンジワインは、白ブドウを赤ワインのように醸すワインです。
そのため、一般的な白ブドウよりもブドウ由来のポリフェノールが多く含まれています。
ワインの渋みに関連するタンニンなどが含まれているため、赤ワインやロゼワインほどではないものの、ほど良く骨格を感じる、“ボディ感”のある味わいが特徴です。
またブドウ品種によってはほのかな苦味を持つものもあるため、適度な渋みと苦味を感じることができ、ワインの全体像をしっかりと引き締めてくれます。
さらに、オレンジワインはタンニンがある程度存在するため亜硫酸などの添加物を一般的な白ワインよりも控えることができ、ナチュラルな造りのタイプが多いところも特徴です。
白ブドウを技術でフレッシュ&フルーティーに仕上げるアプローチとは違った、伝統的な造りでオレンジワインを醸す生産者も世界中に広がっているなど、その人気はますます拡大していく可能性があります。
オレンジワインは覚えておきたいワインのひとつ
オレンジワインはワイン関係者や愛好家だけでなく、あまりワインを知らない方やナチュラルなワインを楽しむ層、気軽にファッションとしてワインを取り入れている層にも人気のワインです。
そのため、通常のワインの、“亜流”として扱うのではなく、伝統的でありながら新しいワインとして学んでおく必要があるでしょう。
なぜオレンジ色なのか、味わいはどうかなど、オレンジワインの基本をしっかりと押さえておいてください。