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5時間のうちに、5本の映画を観た。お腹いっぱい。少しずつ消化しながら、それぞれ少しずつ残しておく。


『魔法(よりもっと不確か)』(『偶然と想像』より)


濱口監督作品で一番好きかもしれない。登場人物の年が近いからだろうか。大した場面展開はなく(これはどの作品にも共通するのだが)、小気味良い会話で事態が二転三転していくのは痛快である。と同時に、芽衣子(古川琴音)の心の揺れが伝わってきて、痛い。何度も観れる映画。何よりも、古川琴音の演技が素晴らしく、かわいい。
印象的な言葉は、「"魔法"よりももっと不確かなものを信じられる?」


『扉は開けたままで』(『偶然と想像』より)


あまりにも印象的な作品。演技のことなんて何にも知らないけど、それでも渋川清彦の絶妙な機微に惹かれる映画でもある。エロ要素多めながら哲学要素もあるシュールさが面白いし、一方でそのシュールさを打ち消す現実問題が起こり、最後は皮肉に戻る、展開の妙が光る。
印象的な言葉は、「自分を否定するものやものやことへは、徹底的に抗うこと」


『もう一度』(『偶然と想像』より)


コント、なのに最後の最後でなぜか泣ける。ずっと噛み合わない夏子(占部房子)が、あや(河井青葉)の日常を変え、心情を変えていく。高校を卒業して20年ぶりの設定、ということは今から10年後。高校時代というのはきっと、いつまでも、心の錨が降ろされている場面や、一方で心の穴が空いている状態であったりするんだなと思う。
印象的な言葉は、「幸せかなんて考えたことない、ただ目の前にある日々を過ごしていてそこに大きな不満はない」「なんでもできる気がしていたのに、なぜ自分がここにいるのかわからない」


『永遠に君を愛す』


コミカルにシニカルに、『結婚』を描いた作品。撮られた年代も古めで荒削りな感じが否めなく、特に元カレやバンドを取り巻く関係の表現は理解できなかった。一方で、本筋ではないが、突如として現れる女の子(菅野莉央)の、物語における役割は好き。『寝ても覚めても』の唐田えりかみたいに、実際にいるのかわからない存在のあやふやさがよかった。
印象的な言葉は、「ごめんね、これからもきっとごめん」
人のダメな部分(失敗し、わめき、最後に開き直る)の本質と、同時にどん底を感じた。


『不気味なものの肌に触れる』


ちょっと、ムズイ。音声なしで観るくらいでちょうどいいかもしれない。意味がわからないし、ようやく物語が展開したと思ったら続編へ繋ぐ感じで終わるので、煙に巻かれた気分。
好きな所は、ジャンルとトーン。ジャンルについては、ヒューマンドラマでありつつサスペンスホラー要素がある点。日常に即しながらも、不可解で、気持ち悪いタイプの恐怖を与えられる、ゾクゾクする展開だった。トーンについては、画面の暗さ、画の不穏さ、音楽の気味悪さ、行動の意味深さが絶妙に相まっていた点が素晴らしかった。
あと、素直に感じたのだけど、「人間って美しい」と人の体や顔の造形にやたらウットリしてしまったり、「表現をしたい」と表現欲を掻き立てられたり、した。なんか、瞑想状態になる映画。眠くなっただけ?


全体を通じて、
100じゃないいつもの自分、いつの間にか殺している部分を大切にしたい、
と思えた。

あと、
なぜここにいるのか、ここはどこなのか
とか考えた。

最後に、
河井青葉とか渋川清彦とか、複数の作品に出て、しかもそれが目を引く演技や役目だと、どうしても注目してしまうことに気付いた。接触効果。

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