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『2000日の海外放浪の果てにたどり着いたのは山奥の集落の一番上だった』(坂本治郎)を読んで

旅の紀行本を、そういえば、あまり読まない。高橋歩を少しばかりと深夜特急を一巻くらい。どこか目的地があって、それの情報収集の為なら良いが、人様の旅をただなぞるだけはつまらないと思っていた。それに旅は自分でするものだ、とも。

この本は、福岡県八女市の山の上にあるゲストハウスのオーナーが書いた、自身の半生を綴った自叙伝である。旅の連鎖でたまたまこの本を知り、ついついハマってしまい、宿にお邪魔もしてきた。

宿のことを言う。圧巻の景色と自由な雰囲気が魅力的であった。集落の一番上に立つ本宿からは、段々と連なるお茶畑が見下ろせ、しかも夕日が目の前に沈んでいくのだ。ぼくはここで、一日中この本を読んでいた。宿自体は、  「屋敷」というだけあるすごく広い空間を持ち、かつ、今どき流行りの改装型古民家ではなく、ほぼそのままの古い状態で残っている。そこに、オーナーの人柄に惚れた、あるいはオーナーがその人柄から許容している、自由な人々が集まり生活していた。誰にも干渉されず、素敵な景色と空間でのんびりできる場所だった。

こんなカッコいい置物、ほしい

本のことを言う。前半が世界旅のパート、後半が宿開業のパートであった。旅について、はじめに書いたように、あまり人の旅の本を読むのは好きではない。どうしても自慢が見え隠れするから、という理由もあるかもしれない。この本にハマってしまった理由は、まずは自費出版であること、次にそれ故に失敗談が赤裸々に直接的に書かれていることがあった。見栄を張ろうという気の見えない話が続き、気が付いたら、再び旅に憧れていた。宿開業については引き寄せの法則が強く働いているように感じた。それもこれも、行動したから、ということなのだろうけど。特に惹かれたのは、『貰い受けたおばあちゃんの家を旅人が泊まりに来れる場所として提供していたら、地元の人に認められて宿開業の後押しをもらった話』と 『いきにくい場所に宿があるおかげで、自然と来訪者にフィルターがかかる話』だ。ここでも、運営している側の飾らない事実を学べる。

もっと失敗しても大丈夫だ。だからもっと大胆に、多く、行動したほうがいい。そんな勇気をもらえた。

福岡の八女は、高速道路を使って、市内から約2時間くらい。その時の出会いを楽しみつつ、伸び伸びと自由に過ごすのにおすすめ。

最後まで読んでくださいましてありがとうございます! 一度きりの人生をともに楽しみましょう!