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寂しいから

私は、いつも寂しい。

いつだって寂しいから、人から一緒に何かしようと誘われると断れない。断りたくない。

つい数日前、一度会っただけの同級生から食事に誘われた。男と2人きりは危ないからやめな と友人から止められたけれど、結局行くことにした。

予定を立てている間、チャットの無機質な文字なんかじゃ濾しきれない下心をうっすら感じ取りながらも、「ご飯食べにいこう」って言ってるんだからきっと本当にご飯食べるだけだ なんて都合よく解釈してノコノコと会いに行った。都合の良い存在なのは私の方なのに。

結果はもちろんお察しの通りで、「爪が綺麗だね」と言いながら私の指に触れていた手がいつの間にか腰に回されていたりする。最初は小さな破片だった下心がどんどん大きくなっていくのを感じながら、たしかに悲しいのだけれど、もうなんかどうでもいいやと思った。
ほら やっぱりね と馬鹿馬鹿しくなってきて、いっそこのまま手を振り解かずついて行ってしまってもいいんじゃないかとさえ思った。

でも、ホテルに連れ込まれる寸前で怖くなった。怖くてショックで、握られていない方の手で旧知の友人に連絡し助けを求めた。
なんとかその同級生を駅まで送り返して友人の姿を見た時、懐かしさと安堵で腰が抜けた。
ほっとして、だけどまた私は性の対象としてしか見られていなかったんだと悲しくて、少しだけ泣いた。

私はいつも、どこかで期待しているのだ。
私の心を必要としてくれる人がどこかにいるんじゃないかと。いま私を食事に誘ってくれたこの人が、もしかしたらそうなんじゃないかと。

あまりに寂しくて、SNSで知り合った男と会ったこともある。
私はその人と会う度に、漫画を貸してもらっていた。
お金のやり取りはなんだか悲しくて断ったけれど、それでもタダで体を許しているという事実に耐えられなかったから。
その人と関係があった間、嫌なことも痛いこともされなかった。私が今日はしたくないと言えば、その日は一緒にゲームをするだけだった。バカな女だとも、都合の良い女だとも言われなかったし、もしそう思っていたんだとしても彼はそれをおくびにも出さなかった。

もうすぐ大学生になるからとお別れを伝えた日、彼は「出会い方もやってたこともあまり綺麗じゃないけど、でも会えてよかった。こんな綺麗な友達になれるんだってびっくりした。またいつか会おうね」と言ってくれた。

びっくりするくらい優しかった。
この人は私を、体はまあそうだろうけれど、心をも必要としてくれていたのかもしれないと思えた。
だからこそ、私はいつかホテルで彼の腕に包まれて泣いたのだ。「家族仲があまり良くなくて、恋愛が怖くて、ずっと寂しかった」と言ってぽろぽろ泣いている私を見ても、彼は嫌な顔ひとつしなかった。
空いた方の手で頭をぽんぽんしてくれただけだったけれど、その時、私はまったく寂しくなかった。幸せだった。

男は欲を満たすために、私は孤独を埋めるために。
きっと私はまたこうして誘われる度にそれを受けるのだろう。
人から変な噂を立てられてもしょうがない。そんなものが聞こえなくなるくらい、私は寂しい。

今これを書いている間も、私は 寂しい。
寂しい、寂しい、寂しい。

寂しい。

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