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映写機

ここは、深呼吸が追いつかない時の流れ。
包まれるように、夜に呑まれていく。
音もなく、沈んでしまえ。
誰にも気づかれないような深いところへ。
手首の傷は、お手製だ。
散り散りになってしまった。
数打ってもあたらない、
とりとめのない言葉。
時間を喰い潰していく。
(あなたが招いたことなのに)
淡い思考だけがうごめいて、止まってしまう。
嫌悪に浸る。
自分自身を嫌うことに、安心している。
(もう戻れないのでしょう。あとにも引けないのでしょう?)
後悔の跡が、大きな深淵になっていく。
誰か、この心臓を引き抜いて!
淡いぬくもりは、記憶の奥に仕舞われてしまった。
裁かれない罪、許容される悪。
(誰も止めてくれないのね。)
自分に蝕まれる。

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