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帰省

酔った父と話した。

一人で生きられる人間になってほしい
一人で社会を回せる人間になってほしいと
父は言った。

地元を出てから親を頼ることはなくなった。
どことなく頼るなと言われている気がしたし
頼るほど頼りにしていなかった。

上京当初はご飯も十分に食べれなかった。
学食を買うお金すらなくて
友人が学食を食べる中、
タッパーにもやしを詰めて学校へ持参した。
他の住人と共同で使う家電。
4畳の部屋。

いつしか一人で十分な生活を
作れるようになった。
一人で命懸けで作り上げた日常だからこそ
意味があると思うようになった。

だから、
酔った父に最近のこの思考について伝えてみたのだ。

父はこう言った。

親が助言した選択も
親が手助けする生活も
自分の為にならない
全て自分で完結してこそ意義があるのだと。
全て自分で選んで進んで欲しかったと。

親から助けられる大人になって欲しくないと。

とんでもない親のエゴだと思った。

でもありがたかった。
私は父に似ているのかもしれない。

もし私が親を頼れる人間だったなら
全く違う将来だっただろう。
もっとキラキラしていたのかもしれない。

でもきっと、
こんな過去があるから私は確かに輝けると
思っている。

後ろ盾なんてもう必要ない。
自立ほど楽しい生き方はないだろう。


私は一人で社会を回せるような人間には
ならないと父に伝えた。
ただ自身の市場価値は確実に築いていくつもりとも。

それでいいと言われた。
もうどんな選択をしようが父親である自分に
何も関係がなくなったと。

俺の子育ては成功したのかもしれないと
溢していた。


成功したかは父にしか分からない。
ただ私は自分の子供を助けられる親になろうと思う。

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