相手を出し抜くリスク

【アイルランド留学178日目】

語学学校の授業で、あるゲームを行いました。

2チームに分れ、交互に先生から出される質問に答えていきます。質問は、100点、200点、300点、400点、500点、1000点と5パターンあり、難易度が高いほど得点も上がるというやつです。

自分のターンになると、①回答する、②パスのどちらかを選べます。自信があれば回答するといいですが、答えが間違っていると、その得点分がそのままマイナスになるため、高ポイントの質問の場合は特に注意が必要です。パスをすると、ポイントは変動せずに相手チームに回答権が移り、そこでも回答するかパスが選べて1ターンが終わります。

このゲームの肝は、自分のターンで答えが不確かな時に、挑戦するか、パスをするかです。パス自体にはリスクはないので、自信がないときには選んでしまいがちですが、相手チームが答えを知っている場合は、その得点が奪われてしまうので、迂闊にパスをするのも危険です。

ゲームが始まり、序盤は100〜400点くらいの質問に集中し、両チームとも得点を得たり失ったりと、拮抗した状態が続きました。

ゲームが動いたのは、相手チームが1000点の問題を選んだところです。どのレベルの質問を選ぶまではその内容自体はわからないのでドキドキです。

ちなみに質問は、ある意味を表すphrasal verbs(句動詞)を答えるというやつです。簡単なやつだと「飛行機が離陸する→take off」みたいな感じですが、難易度が高いとマイナーなやつになるのでなかなか馴染みがありません。

そして、1000点の質問が告げられたところで、「これはわからん」ということがわかりました。笑

ただ、相手チームの方を伺うと、そちらも答えがわかってはいないようでした。パスをするのか、一か八かを回答するのかをボソボソを話し合っているのが聞こえました。

ここで、私は、「あ!!わかった!!」とあえて少し聞こえるくらいの声で呟きました。答えを考えるのは諦めて、相手にプレッシャーを与える心理戦に移行したのです。笑

先生も、相手チームも私の声に気づき、「パスをするとそのまま答えられてしまう」という認識を持ったようで、リスクをとってでも回答をした方がよいという空気になっていきました。

最終的に、相手チームは回答し、結局不正解でマイナス1000点となりました。

その後、私のチームに回答権が移り、みんなが息を飲んでその状況を見守る中、私は「パス」とゆっくり答えました。

えええええ、という相手チームのリアクションと、爆笑する先生の声が教室に響きました。

私自身も、してやったり感を出しつつ、「どちらにせよ答えがわからなかったから、相手のミスを誘う方を狙った」ということを説明しました。

先生も、「いや〜面白いね〜」みたいに笑っており、ここまではよかったのですが、想定外だったのはそれによって相手チームの子がまぁまぁガチ目にキレていたことです。笑

相手チームはスイス人の女の子二人組だったんですが、「だから男はクソ」という男性全体の評価を下げる自体になってしまいました。笑

「ごめんごめん!」と慌てて謝まって、向こうも「いや冗談だよ!」という感じで一旦場は治りましたが、腹の奥底には憤りが残っているのが感じられました。

結局ゲームは私たちのチームが勝ちました。

「ゲームは勝ったけど、何かを失ったわ」ということを呟いたところ、みんな笑ってくれましたが、相手チームの子の目は笑っていませんでした。怖い。笑

この一件で改めて思ったのは、「相手を出し抜いて勝つことが必ずしも正解とは限らない」ということです。ちょっと大げさですが。笑

営業をやっているとき、目の前の商談をこちらの都合よく進めるために、相手をどう言いくるめるかみたいなことを考えるよりも、そこでは相手の要望にしたがって、こちらが少し損をとるみたいにする方が、信頼関係の構築に繋がって、長期的には利益が上がるということも多々ありました。

なんだかんだ、誠実にやっていくのが最終的には一番トクするのではないかと思います。

まぁゲームの中くらいは許してほしいですけどね。笑


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