「効率」の逆にあるのが「遊び」

今日IKEAに行った。恥ずかしながら初めて行ったがなかなかに面白い。

徹底したセルフサービスの追求によって金額を抑えているということは聞いていたが、一見手間なその「セルフ」を楽しめてしまったのがすごいと思った。

行ったことのある人にとっては今更感があるとは思うが、さながらテーマパークにいるような気分でお買い物ができてしまう。倉庫に積まれた在庫の山から商品をピックすることもアトラクションのようだった。食事もできるし半日くらいは楽しめる。

ただ2014年くらいから業績は伸び悩んでるみたいだ。要因としてはこのセルフサービスへのこだわりのあまり、EC化に乗り遅れている部分なんかが大きいらしい。

確かに買い物の便利さや手軽さの観点でみると時代に逆行しているともいえる。ささっと効率よく買い物を終えるにはあの長い順路は相性が悪すぎる。

一方、同業のニトリは絶好調だ。商品の配送サービスにもかなり力を入れているという物流会社的な側面も功を奏しているらしい。全部客にやらせるIKEAとは対極的だ。

最近だと、ショールームとしての機能に特化した店舗もできているとのことだ。店内では家具をおしゃれなレイアウトで展示し、気に入った商品のバーコードをアプリにかざすと購入が完了するという、家具選びのワクワクと利便性を両立させた素晴らしい施策だ。31期連続で増収増益という実力は伊達じゃない。

こうなってくるとIKEAができることはなんなのであろうか。世界共通製品を大量生産することやセルフシステムによって、おしゃれなインテリアを低価格で購入できるという点が大きな強みではあるが、今ではニトリと比べて大して金額は変わらないように感じる。そして便利さでも負けている。

いっそのこと振り切って、もう店舗を本当のテーマパークにしてしまったらどうか。インテリア雑貨による北欧的な生活スタイルの提案というコンセプトは保ちながら、オリジナル映画を上映したり、ショーをしたり、脱出ゲームをしたり、物語的な要素を店舗で表現し、「家具を買う場所」ではなく本当に「遊びに来る場所」にしてしまう。イベントのチケット代とかも取れば家具が購入されなくても収益が上がりそうだ。

極端な提案かもしれないが、技術が発達し、各業界の境目がどんどんなくなりつつあるこれからの時代においてはそれくらい大きな経営判断をする企業も増えてくるんじゃないかと思う。

効率性、利便性という市場原則から唯一逃れらるのがこの「遊び」だと思う。効率よく2秒でクリアできるゲームなんてつまらない。非効率を逆手にとるにはエンタメしかない気がする。

「便利」を追求する企業と「遊び」を追求する企業の二極化が進むんじゃないかなぁ。できれば「遊び」の方に携わっていたいな。

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