「事実」と「主張」

【アイルランド留学172日目】

語学学校には、大学に入学する前の準備期間、ギャップイヤーみたいなやつで英語を勉強している人も結構います。スイスとかイタリアとかヨーロッパからきている人が多いです。

そういう人たちを見ると、ふと自分の学生時代を思い出しますが、総じて思うのは、「もうちょっと社会のこと知ってたらな」ということです。

中学の頃は、「この高校に行くためにはこれくらいの成績、実力が必要」、高校の頃は、「この大学に行くにはこれくらいの成績、実力が必要」というということくらいしかわかりませんでしたし、教えてもらえませんでした。

まぁネットもある時代だったので自分で調べておけよと言う感じですが、最終的にそれがどういう職業に繋がっているのかくらいは知っていたかったなぁと思います。

例えば、理系の大学に進むと、研究室の推薦がある企業には簡単にいけますが、それ以外を目指すと特にアドバンテージがなくなります。それでいて、たとえ推薦企業に行ったとしても、研究で学んだこととはあんまり関係ないことが業務になることが多いです。面接の場でも、学業以外の課外活動の話が好まれます。そして、年収的な面でも、文系の人と比べて大差ありません。学費も高いし、大学在学中の勉強量ははるかにしんどいわりに、見返りが少ない気がします。笑

そもそも、世の中にどんな会社があって、どんな職業が存在するのかみたいなのも、学生時代はフワッとしてました。医者、税理士、弁護士といった士業とあとはサラリーマン、以上みたいな。笑

そして、普通に学歴フィルターみたいなやつもあるので、キャリアの選択肢は選んだ大学によってかなり変わるとかありますけど、こんなこと誰も教えてくれませんよね。

世の中にはこんな職業がある」ということと「その学歴、経歴はその進路に繋がっているか」という事実は知っていたいよなぁと思います。

今相談している転職エージェントからも、「前職の会社と学歴の格がもう少し低かったら、未経験でコンサルいける可能性はほぼないです。」みたいに言われて、「うわ〜学生時代の自分グッジョブ」と思いましたが、そのへんの裏側の仕組みは、その時にならないとわからないって結構恐ろしいですよね。30歳越えると業界や職種を変える転職はかなり厳しいとか、そういう重要な事実も誰も教えてくれません。

今の時代は、ネットとかニュースサイトとか本とか、色々情報源はあるっちゃありますが、ここでネックだと思うのは、だいたい「こうすべき、ああすべき」という主張が混じった情報がほとんどで、事実そのものをフラットに教えてくれるものが少ないと言うことです。

さっきの例で言うと、「この学歴がないとこの会社に入社するのは厳しい」というのは事実ですが、だからといって「だから学歴は大切!いい大学いこう!」というのが正しいといわけでありません。それは個人の見解であり、そんなものは人それぞれ考えるべきことだと思います。その事実を知った上で、自分がいいと思う道を選ぶべきです。

事実が、強い主張に包括されていると、主張に馴染めない時に、その事実そのものも否定してしまいがちなのが注意しなきゃいけないポイントだと思います。「学歴フィルター」も、「そんなの差別だ!それで人の価値は測れない!」みたいな意見はあくまで主張に過ぎず、事実として存在するのであれば、それを受け止めた上で自分の動き方を考えねばなりません。

自分も含めて、大体の人は、声の大きな人たちのああすべき、こうすべきという「主張」にうんざりしてしまって、そこに隠された「事実」までも否定してしまいがちなのがよくないよなぁと思います。

自分が今後下の世代に何かを伝えるときには、「事実」と「主張」はちゃんと分けて話すようにしたいですね。

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